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chie
ピッ!
実に機械的な音とともに画面の表示が消える。家庭学習用のプログラムがちょうど終わったのだ。
「あーあ、つかれたー!」
手足をうんと伸ばす。
今日は土曜日。学校はお休み。なのにどうしてお勉強を、それもわざわざうちでしているかというと、あたしが真面目だから!……という訳ではなく、単に成績が悪いので、特別の課題を出されてしまったからなのだ。
「まったく、母星史学なんて、何の役に立つのか」
ディスクを片付けながらぶつぶつ独り言。
母星史学っていうのは、地球史、つまり地球の歴史のことよ。
今は西暦二四五六年。宇宙暦四八七年。六月七日。あと一ヶ月ちょっとで後学期が終わる。学校は二期制だから、もうすぐ学年終了ってわけ。おかげで単位をとるためにとっても苦労してるのよ!
「マリノー、お茶の準備ができたわよ。降りてらっしゃい」
室内用インターフォンでママがのんびりと言った。
「はーい」
ぴょんとイスからはねおきて、ダイニングキッチンへと向かった。
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あたしは早瀬毬乃。十六才。火星生まれの火星育ち。
おじいちゃんの代に火星に引っ越してきたから、あたし、母星(地球)を知らない。
教材用のホログラフとかでは見たことがあるけど。
空を見たところでドームに映る人工の星しか見たことがない。
そういえば、二、三年前地球を映したことがあったっけ。
『地球は青い』って有名な言葉があるけど、あたし、金星のほうがよっぽど青くてきれいだと思う(暑いけど)。『私は今ビーナス(金星、美の女神)に抱かれた』っていうのが、金星に降りた人の最初の言葉よね。すっかり都市に発展した金星に、今度旅行する予定なんだ。
★
キッチンには、焼きたてのワッフルとアップルティーの香りが漂ってた。
旅行先は最初木星の衛星のつもりでしたが、金星に変更。
このあたりからSFじゃなくてSF(少し不思議)のほうだねと察していただければ。




