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どこから奇譚 離労デット  作者: 西高 英哉
34/34

ここまで

まだまだ暑いですが、「どこから奇譚 離労デット」ここまでで完結と相成りました。

 後藤三世が陸奥六郎にビジュフォンで畳み掛けるように話し掛けてきた。

「新しい仕事は如何でしょうか? こちらは、相変わらず、ぼちぼちですが」

 陸奥六郎が皮肉っぽく返事をした。「お疲れ様です。なんですか、その情報やらんけどアップデートをよこせ系の打診は(笑)」

 陸奥六郎が続けた。「衛星天草の約三週間の旅を終え、ひと段落って感じですね。本当に地元産かは不明ですが魚や肉と温泉を堪能してきましたよ。ついでに、某放送協会さんにマネーが入るシステムに貢献して胸が詰まる思いですね。金を稼ぐには、魂を売るということか・・・そんな心境です。十五日で、一か月分を稼いだから、まぁ、割りは良かったかも知れませんが―― 不審者として扱われるのさえ我慢すれば、ですね。湯上り後は、日本酒が旨かったです。それより、惑星アステロイド郵政のお祭りは賑わっていますね。ポンカン保険センターは、十七パーセント上昇ですから、一億ボッタクリ円程度のはしたガネを盛ってたら、一日で千七百万儲かる理論値でしたね。まぁ、貧乏人には傍観するアンド絵空事なんでしょうけど――」

 後藤三世がいつもの調子で。「仕事エンジョイされているようで何よりです。人を騙そうが苦しもうが、一滴も胸の傷みを感じない自称反乱同盟軍のヨーダ元師匠みたいな方もいますから、胸が詰まるくらい大したことないでしょう。惑星アステロイド郵政は天上の出来事ですね。ピラミッドの最下層の私などには無関係な話です。アメーロデフォルとアステロイド連動デフォルで、第ニ次世界大恐慌にでもなってくれたら、一株十園程度で買いますけど――」と後藤三世が、ダビドフ葉巻をふかしながら続けた。「しかし、集金勧誘人の仕事、なかなか良いんじゃないですか。一軒一軒、宅訪問して歩く訳ですから、四点五次元の大型地図購入の見込み顧客リストが作れるじゃないですか。惑星熊本城下町のマネーがうなるほど余って税金払うより地図買いたい方々、ウジャウジャでウハウハじゃないですか!」

 陸奥六郎がめげずに返事をした。「集金勧誘人の仕事なんて、一言も書いて無いですよ! 相変わらす、文章理解力が乏しいですよね。着流しが似合う元上司さんか、博打勝負師の元上司ミスター小暮氏を想像してしまいます。私の仕事はそれぞれの家を訪問するわけじゃありましぇーん。家の外からアンテナの向きとケーブル、光、パラボナの有無を目視はしますけど。集金勧誘人が、そこに現れるのは、私のような眼のいい調査員が調査した数ヶ月後でしょうね。私の調査したデータベースを持って! もう一度言いますけど、集金勧誘人じゃ無いですよ。まぁ、関係の無い後藤三世さんには、どっちでもいいと思いますけど」

「そうですか。それなら、なおのこと辛さが少ないうえに自由度が大きな仕事じゃないですか。ということは、四点五次元包ケー地図購入見込み顧客も、その確かな目で探し出してリスト化できるじゃないですか――」

「エリアは、惑星熊本城下ではなく、そこから一光年離れた衛星天草でした! 惑星横浜から一光年も離れた僻地を想像して下さい。衛星天草では、江戸後期か明治時代と、さほど変わらない生活しているので、六次元立体仕様であろうが、二十四の瞳ケー仕様であろうが、世界地図なんて必要無いですよ。村の地図くらいですかね、要るのは――」

 陸奥六郎が一息つきながら。「彼らには、世界を牛耳る闇のロス茶フリーソーメン金融資本主義なんてあんまり関係無いし、目の前の田んぼで米を作り、野菜を植え、目の前の海で魚を捕る。カネが必要なら、飼っている黒毛和牛を売りさばく。そんな感じでしょうね」

「陸奥六郎さんが巡回するブルーオーシャンの営業フィールドは、衛星天草ですか。私は想像力が貧困なんで『島原の乱』しか思い浮かびませんが、田舎ほど家が広い。広い家にはデカイ、インテリアが似合うでしょう。牛を売った金で殺風景な持ち家にモダンで無駄にデカイ、四点五次元の大型地図がマッチしますよ。お客さん、と違いますか? 衛星デジタル放送を見てる訳ですから、本物を見る目は、明治時代だろうが、良いものは良い。てな感じ違いますか。こんなイメージですね。『島原の乱で、天草四郎時貞を始めとする2万人近い信者が惨殺された。しかし魔界の力を得て蘇った四郎は、徳田幕府へ復讐を決意。蘇った四郎はグリモワールを身につけ、エロイムエッサイム、我は求め訴えたりと唱えながら、自らと同じように現世で無念の思いを抱き、死んでいった者たちを魔界衆に引き入れようとする』というのはどうでしょうか」

 陸奥六郎が相変わらずの後藤三世節になかば、あきれながら。「衛星放送は、有明オーシャンを挟んで直線距離で一光年近く離れているから、あんまり綺麗に受信出来ないみたいです。アンテナとかも付けたけど、ほとんど見ないそうです。何人かの農家と立ち話したけど。 四郎の功罪は、よく知りません。それ、魔界天性でしょ、沢田研二でしたっけ? 時の権力者に消されるのは、江戸も平成も同じなんですかね――」

 後藤三世が視点を変えて返事をした。「ある方のご意見がありました。そんな物々交換の天草四郎さん達でもスマホを持ち、スマホにはグーグルマップが入っており、ナビまでしてくれるから、世界地図も村の地図もいらない――」

「ある方?」

「ヒフ民ブラザーズです。魔界転生を引用したら、こうデスられました。『オメーの書くような本、売れねーわ。一冊の定価十万ボッタクリ円位にして密林書店で売って、定価の半額で国会図書館に買ってもらえ』だって」

「ヒフ民ブラジャー、社長になって更に元気になった感じですね。 オメーの本ってなんですの? 一冊の定価十万ボッタクリ円とは?」

 後藤三世がいつもながら質問には答えずに持論を展開した。「しかし、農家の人とお話されているようでなかなかいいんじゃないですか。遺産相続大変でしょうから、この土地にアパートを建てませんか、そしてアパート経営しませんか。それには資金がいるようですから、ガルス銀行から億円借りて下さい、というような、流行りのトレンディな商談ができるじゃないですか? あぁ、これは虎の穴建託の安田さんの仕事でしたね。アンテナ調査員やりながら、虎の穴建託の嘱託やりながら、大型インテリジェンス地図インテリアの見込み顧客探しもできる、一粒でいくらでもしゃぶれる仕事ですね」

 後藤三世が葉巻をふかしながら続けた。「ちなみに私の書こうとしている本のあらすじですが、こんな感じです『超資本主義社会が頂点にまで達した紀元前一億年前のムーア・トランティス大陸での出来事です。そこでは社築だらけの忖度市民ばかりがいて、しかもタバコも吸わないものだから酷いストレス社会となっていました。そのため、画期的なクローン技術を開発した超美人の女科学者が真理の追究にも成功したにも関わらず、世間から厳しく排斥を受け、身ぐるみをはがされて、地位も名誉も仕事も全てを失ってしまいます。しかも、師匠にあたる教授も奴らに殺されてしまったことから、魔女にそそのかされて、賢者の石を探しに行くという話』です。これを書いて英語に翻訳して海外で出版しようかと思っています」

「それ、本にするんじゃなくて、ハリウッドに原作として、映画のシナリオライターに売るというか、拡散するってな感じですね。 農家の敷地には家や小屋が建ちすぎだから、『建てて』ではなく、『壊してくれ』ってニーズでしょうな!」

「確かにそうですね。次回作は、やはり、美人科学者ドクタースタップ・ミスミゾレ博士を主人公にしようと思うんですよ。書き出しだけ書いてみましたんで、査読をお願いします。ここからです」


 かつて、ブルードラゴンと呼ばれたマスターオブユニバースの叡智を備えた蒼龍の左腕には、三つの爪に司っている黄金の玉、其の名を龍籠宝珠と呼ばれる、この世のあらゆる願いが叶うという誉れ高き、魔の奇石の歴史は、人類が誕生する何億年前も前、カンブリア紀元前に前人類が熱核戦争によって赤き火星を放射能の業火で包んでしまったために地球に箱舟と呼ばれる宇宙船で移住してきたことから始まる。

 前人類が地球で新たな世紀を創めた頃、虹色に耀く空を駆け抜けていたブルードラゴンは、圭与の業火に焼き尽くされて、その美しき蒼き鱗で覆われた青く耀く身を大河のほとりに叩きつけられた。其の時、ブルードラゴンが持っていた龍籠宝珠は、七つに砕けて、二十三の方角に飛び散った。その内の数かけらは、のちの人類が誕生してからの名前であるヒマラヤ山脈の山奥に落下して、夜な夜な、紫色のほむらを放ち、誰も居ない雪原を静かに照らしている。


「どこから奇譚 離労デット」ここまで。製作著作:西高英哉


また次回作でお会いしましょう。

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