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どこから奇譚 離労デット  作者: 西高 英哉
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故あって儲からず

今回は、思い病をわずらいながらも毎夜、論文やら再生資料の準備をしている後藤三世の暗い過去と現在の苦悩を描きます。


 今日は、後藤三世が持論を語り始めた。

「いやー、私の病が暴走しているので、毎日ネットで感染症のことを調べていて、ある気付きがありましたよ。それは、感染症でも最強のリスクグループレベルⅣのエボラのことです。今のところ、エボラ出血熱に効く薬は、この世に存在しないと言われていますが、それは真実ではないそうです。実はよく知られた物質がエボラウイルスを退治することができるそうです。それは『銀』です。銀は金属ですが、人間に対して無害であり、冷凍や冷蔵保管の必要性がなく、安価に提供することができます。銀は大昔から殺菌効果があることが知られています。吸血鬼の退治には銀で出来た十字架、狼男を退治するには、銀の玉を使った銃弾であることからも、言い伝えの中に真実を封じ込めていたわけです。銀は、赤ちゃん、妊婦、そしてお年寄りまで、治療に使うことができます。銀は体内に存在する善玉菌や健康的な細胞にダメージを与えずにあらゆる病原菌を殺菌することができると言われています。これは既に、世界中でテストされていて証明済みです。なのに、なぜ、今でも、エボラに効く銀応用治療薬が紹介されないのでしょうか。銀は今でも大量に入手可能で、銀の効果は絶大なことは自明の理です」

 陸奥六郎が早速反論を開始した。

「エボラの発生地区に、鉱区か何かの権益があって、そこでエバラ黄金の焼肉のタレのような銀応用薬品で検疫されたら、困るからじゃないんでしょうか?」

 後藤三世が大真面目に。

「最近、自分の病も含めて気づいたことは、病院は病気を直そうとしていないこと。エボラも癌も、もっと、安い方法で治すことができること。細菌を殺す魔法は、イギリスの細菌学者であるアレクサンダー・フレミング博士が実験に使っていた細菌培養皿にたまたまカビが生えて、そのカビ周囲の細菌が死滅していたのに気づいたことから、ペニシリンの発見につながった。蚊を落とす魔法は、たまたま、家に飾ってあった菊が枯れたとき、まわりに蚊が死んでいたので、除虫菊の成分が蚊を殺すことができることに気づいた。銀は、吸血鬼や悪魔を滅ぼすのに使われていて、昔から殺菌効果があることが知られていました」

 陸奥六郎が半ばあきれながら。

「医者は、半導体商社のサポートエンジニアみたいなものですよ。適切な治癒薬としてのアドバイスは、提案してくれますが、お客の会社の設計や購買の根本的な問題は解決してくれませんよ」

「サポートエンジニアなんかは、そんなもんでしょう。医者は人の命がかかってますからね。報酬も最低商社のサポートエンジニアどころじゃないですし」

「貴殿の病気が、ヤフーニュースに出てますよ。国内三十万人だそうです。そのネタでブログ書いたら、トップ取れますよ。惑聖マリアンナ医大の、食事、歩行、排泄のデータ欲しがってるようですよ。じっくり、あせらず直してみては。今までの負の活動の累積にも原因があるかもしれませんよ」と陸奥六郎が同情しながら言った。

「確かに載っていましたね。ただ、病気認定された人の話ですね。認定されるまでに何十万ボッタクリ円もかかるんですが。しかも私は原因わかってしまったので、いつの日か、超高度確定資本主義が滅びの呪文により、滅びたら、私も晴れて内科医デビューできますよ。まあ、惑星アステロイドがこの世から消えて滅びるようなことが、たまさか、あるとは思えませんが」

 陸奥六郎が、病気ネタに飽きたのか話題を変えてきた。

「連休はレジャーですか? ビジュアルフォンに受信なかったですよ。日曜日は、小衛星天草にイルカを見に行きました。イルカは見れたんですが、ジェットスキーの連中が多くて、さながら、世紀末救世主伝説、北斗の件かマッドマックスのようなシーンでした」

「なかなか、これからの時代を予見していますね。こちらは、休み明けで身体がつらい一日でした。昨日、朝までずっと根を詰めて個人再生の資料を作っていたからですが。本当に! ものすごい分量のディスワークです。現場仕事がメインの会社の社長では困難などペーパーワークです。どのようにして、このような事態になったか、今後どういう模範的な生活態度に変えていくのかというテーマの論文もありますし、裁判所をクリアするには、まだまだ、いくつものハードルを乗り越えて資料を用意しないといけません」

「塀の外のお努め、ご苦労様です。サギノ宮ックスもどんどん進んで、クアトロダイヤやマンダの飛行機も使う方面が、本当にあの世の彼方になるかもですね。資料作成は、後藤三世さんのお得意分野だったのは不幸中の幸いですかね」

「まさに、お勤め」と後藤三世がポツリ。

 陸奥六郎が後藤三世を励まそうとして話題を変えて来た。

「S棒やが上場以来初の無配に転落。後藤三世易学の五年来の予見が、現実の容となってきましたか」

「まあ、終了ですね。デジカメのコア部品に変わるものは開発していませんからね。リストラ初期に『選択と集中』で、その時、売上があるものだけを残して、あとは人間も含めて捨てましたからね。あの時は日本中の会社が『洗濯と集中』って騒いでいましたからね―― 私は違うと言い続けましたが――」

 後藤三世が続けた。

「今日の言葉。未来がどうなるかは誰一人わからない。市場も顧客も変わる。さらに人は、いくつになっても成長し続けるものだ。むしろ、常に『やるべきこと』『やりたいこと』を考える。そして実行しながら学ぶ。変化が激しい現代は、成功の方程式も変わる。だから場合によっては過去の自分を否定する。『過去の自分の否定力』は、実は来るべき未来を基準に考える、未来志向の考え方なのだ。『成功は失敗のもと』の罠から抜け出すヒントは、意外と単純なことに、過去の成功体験を一旦リセットした上で、『やるべきこと』『やりたいこと』を考えることにあるのだ――」

 早速、陸奥六郎が反論してきた。

「『やるべきこと』『やりたいこと』を考える、だから最近犯罪や戦争が増えてるんですね。生物は、倫理観など無く、元々生存競争で『奪う、略奪する』という論理、流れだから。やっぱ、純正社畜になると『過去の自分の否定力』が身についてきた感じですか。今、過去のどの辺りを否定している感じですか?

惑星大崎勤務時代ですか(笑)」

 後藤三世が返す刀で。

「やー、入った学校、入った会社で、一生の八割は決まるということに、今更ながら気づきましたよ。やり直しできるなら、技術系なら医者か薬剤師、それ以外なら、公務員でも官僚クラス、または銀行か、最低限、不動産業の社畜を目指したかったですね。間違っても、電気、半導体は選んではいけない、最悪なものでしたね」

「もし、後藤三世さんが不動産で成功してたら、今頃は、不動産屋のピューマの社長のように、闇に葬りさられますよ。惑星アステロイドでも著名なロボット会社で、医療用ロボットでも造れば良かったですね」

「闇に葬られても、良い思いできたでしょう。こちらは、ずーっと、技術畑で男子校もどきの学校で、勉強ばかりしてきたので、良い思いなどナッシングです。卒業間近になると卒業研究で毎日のように夜中まで計算式を伴った論文を書き続けていました。毎日ですよ! あ、今も毎日夜中までというか朝まで論文を書いているから一緒か―― 兎に角ですね。同じ量の勉強したら、今頃官僚になれましたよ。真剣にまじで。著名なロボット会社は、惑星アステロイドの辺境の地に本社がありますからね、どちらにしても、そのうち、医療ロボはやるでしょうね。私は冬の日に遭難する前に早々に辞めさせてもらいましたが」

「単に、子供の頃、タイム母艦やら、改造人間ジョッカーを見すぎたのと違いますか?」と陸奥六郎。

「まあ、とにかく、過去は過去。これから、どうやって億円稼ぐか、どうやって億り人になるかですね! 重要なことはそれだけです。内容など無関係ですよ」


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