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第9話 望んだ夢の先にいくために


 その後、小国は互いに支え合いながら大国へと並ぶ勢力となり、やがて、大国とも和平を結びました。こうして、大陸は平和なまま栄え続けていきました。


 また、ホムンクルス達は王族の命令以外の心を持つようになった後も、王子――今はもう、王となってしまった彼に忠誠を誓い続けました。なぜなら、彼らはずっと傍で彼の苦悩を見続け、知っていたからです。


 彼の秘めたる願い――誰かに愛されたいという気持ちを……

 誰にも裏切られたくないという気持ちを……。


 そして、彼らはそんな彼を愛していました。父親や母親のような、兄や姉のような、そんな気持ちを抱いた彼らは、ずっと、王の傍に居続けたのです。もちろん、王もそんな彼らのことを愛していました。初めは、王にも彼らを創ってしまった負い目があったようですが、今は純粋に彼らの愛に応えていきたいと思うようになっているようです。


 もちろん、もう、ホムンクルス達を悪魔と呼ぶ人はいなくなりました。ホムンクルス達の優しい心を感じ取った人々は、ホムンクルス達を天の使い――天使と言うようになりました。


 そして、大陸内ではある噂がささやかれるようになりました。秘めたる願いを口にした時、どこからともなく仲の良さそうな夫婦が現れる……と。そう、その夫婦には不思議な力があるらしいのです。


 一羽の大きなカラスを連れた夫の方は、過去と未来を見通す力を持っていて、綺麗な金髪と澄んだ青い瞳の天使――妻の方は、並外れた身体能力を持っており、手に持っている小箱からは、澄んだ女性の声で様々な知識を授けてくれる……そんな噂を信じ、今日も誰かが秘めたる願いを口にします。




  望んだ夢の先にいくために――。





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