十二話 逃亡ミッション
ゼルクラッドは崖にところどころ出っ張った岩に積もった雪の上を、滑るとも転がるともつかない動きで落ちていった。魔王城に全力攻撃したため、魔力切れで古代魔法は使えない。
神速を発動。モノクロの世界の中で受身をとり、落下先を予測し、少しでもダメージの少ない落ち方を選択していく。アドレナリンがどばどばと分泌され、全身の血流が十倍の勢いで流れているような錯覚に陥った。頭の中は真っ白で、ほとんど反射的に体を捻り、丸め、落下の勢いを殺していく。それでもまるで何十回と練習したスタントアクションをなぞるような精密な動きで、ゼルクラッドの体は崖下まで落ち、ゴロゴロと雪の上に一直線に跡を作りながら転がって止まった。
「っはあ! はー……ふぅー……」
仰向けになって神速を解き、息を吐き出した。数度深呼吸すると手足の震えはすぐに収まる。死にかけたのは初めてではないし、死んだ事すらある。命の危機を味わった動揺はすぐに消えた。
上を見上げると、崖の上からパラパラと小石が落ちてきていた。耳をすませば、魔王城が崩落していく低い音に混ざって遠ざかっていく討伐隊の声が聞こえる。
雪に半分体を埋もれさせたまま崖の上を仰ぐ。崖下の様子を見に来る者はいない。ゼルクラッドは諦めるように目を閉じ、
「ゼルクラッドだったか?」
「!?」
反射的に跳ね起きて小刀を抜き、声の方向に構えた。
ゼルクラッドの落下地点からほんの数メートルの場所に、若い女性が岩に背を預けて座っていた。
全身の至る所から染み出す血で雪と防具は赤く染まり、無造作にひとまとめに括られた紫紺の髪にも赤い斑ができている。濃密な血の匂い、青さを通り越して土気色になりかけている死人のような顔。にも関わらず妙に生き生きとしていて、重傷が独特の美しさと覇気のアクセントにしかなっていない。下手なアンデッドよりも強く死の臭いが感じられ、それ以上に鮮烈な生命の凄みがあった。
八十四代ナルガザン帝国皇帝、討伐隊総大将、サフカナがそこにいた。
サフカナはゼルクラッドの小刀を一瞥して淡々と言った。
「私を殺すか? 無能な総大将だったからな、殺したくなるのも無理はない」
「……いえ、そんなつもりは」
観察した限りではサフカナの体からまだ血がほんの少しずつ染み出している。アンデッドは負傷しても血を流さないので、それはまだアンデッドになっていないという証になる。
ゼルクラッドは武器を収め、サフカナの傍に行こうとして、足首を脱臼しているのに気付いた。一度しゃがんで両手で足首を持って嵌め直し、足を引きずりながら近づいて跪く。
「失礼しました、声をかけられるまで気付かなかったものですから。御無事で何よりです」
「あまり無事ではないが。戦況はどうなっている? 勝ったのか?」
「それを話す前にひとまず隠れましょう。今の我々の状態ではゾンビが相手でも危険です。見つかるのは不味い」
「ふむ? 分かった、そうしよう。しかし畏まる必要はない。敗軍の将に敬われる価値はない」
「了解し……た。サフカナ」
「よろしい」
本来階級を無視するのは良くないが、本人がそういうのならと、ゼルクラッドは頷いた。色々な意味で余計な口論をしている余裕が無かったというのもあるが。
ゼルクラッドはサフカナに肩を貸し、崖上から転がり落ちてきた岩と岩の間の隙間に引きずり込んだ。血痕に雪を被せて手早く偽装し、自分もサフカナの隣に潜り込む。出入り口をのぞき穴だけ残して雪でなるべく自然になるように塞ぎ、そこでやっと一息ついた。凍えるような寒さの中で、サフカナの体温は燃えているようだった。
「応急処置をしながら話しても?」
「構わん」
ゼルクラッドはどう考えても自分よりも重傷なサフカナの手当てから優先した。自分の装備を脱いで地面に敷き、そこに座らせる。傷を見るために服を剥がれてもサフカナは何も恥ずかしがらなかったし、ゼルクラッドも何も反応しなかった。
戦況の推移を話しながら診察をしている間、ゼルクラッドは何度も何度も脈を確かめ、未だ力強く脈打っているの事に驚きと畏怖を感じた。それほど傷は酷かった。
負傷は大小二十四箇所に及んでおり、このうち重傷は左大腿部裂傷、頭部打撲傷、頸部切創、腹部貫通刺創、左腕熱傷の五箇所。さらに右肩捻挫、右足首脱臼を負っていた。
また、崖からゼルクラッドと同じように転がり落ちたのか、肘や足は服が擦り切れてボロボロになっており、出血量も多く、火傷と全身二十箇所に食い込んだ石や木の破片によって、さながら幽鬼か亡霊のようだった。
常人ならこの半分の負傷でも死んでいる。魔法めいた生命力だ。
診察を終えて手当に入る頃には、ゼルクラッドが落ちてきた所まで話し終わった。古代魔法については伏せ、魔王にも大きなダメージがあったという事だけ伝えてある。
「なるほど、痛み分けといったところか。悪くないな」
「本隊は撤退したようだが、どこまで退いたかは分からない。少し痛いぞ」
外れた関節を嵌められても、サフカナは微妙に顔を顰めただけだった。
ヒビが入った蒸留酒の瓶を出し、傷口にかけるゼルクラッドを茫洋とした目で眺めながら、考え考え言う。
「本隊が近くで止まっているようなら合流しよう。見つからなければ二人で下山する」
「ああ、それが妥当だと思う」
「別に私を置いて――――」
言いかけたサフカナの首を軽くはたくと、声もなく悶えた。
「自分だけで下山するつもりはない」
「足手まといになるとは考えないのか? 私はこの様だ。手当を受けた身で言うのもおかしいが、一人の方が楽だろう」
「友軍は見捨てないさ。そうしなければならない理由が無い限りは」
「……精霊使いにしておくには惜しいな。帝国に来ないか?」
「考えておこう」
こんな事もあろうかと服の裏に仕込んでおいた針と縫合糸で縫合を始める。この縫合糸はゼルクラッドが切っ掛けになり進められた医療計画で開発されたもので、異物反応が小さく感染源になり難い。麻酔無しの縫合で想像を絶する痛みがあるはずだが、サフカナは目を閉じて石を強く握りしめ良く耐えた。気を逸らすためかとりとめもない話をする。
「精霊魔法では治せないんだな?」
「今俺のそばに精霊はいない。無理だ」
「は、精霊も頼りにならないな。やはり最後は己の身しか信じられない」
「精霊がいなければ最後どころか途中で力尽きていたと思うが」
「なんだ精霊贔屓だな、ゼルクラッドは精霊派か?」
「いや、精霊派でも人間派でもない。そういう事は全てに決着がついてから考えればいい」
「まったくだ」
つらつら話している内に縫合は終わった。服を割いて作った包帯で止血処置をする。
できる事はやった。後は体力勝負だ。滋養の付くものは食べられないし、体を暖められないし、安静にできないし、落ち着いて眠れる状況でもないが、とにかく体力勝負だ。
「ん、手当は終わったのか」
「ここでできる事は一通り」
「そうか、助かった。本国に戻ったら勲章の二つや三つ送ってやりたいところだ」
サフカナはほっと息を吐き、握りつぶされ粉々になった石の残骸を離して脂汗が滲む額を拭った。
しばらく沈黙が降りる。石室の中には冷気と血の臭いが二人を締め殺そうとしているように籠り、べっとりと血で濡れた服の水分は蒸発して体温を奪う。サフカナの呼吸は安定しているが、それが逆に危険に思えた。動かなければじわじわ死に近づいていくだけだが、動いたらそれはそれで死期を早めそうでもある。
「行くか」
迷うゼルクラッドの心を読んだように、サフカナが立ち上がった。岩に背を預けたまま、ふらつく彼女を見上げる。
「行けるのか?」
「行くしかない。ここにいれば確実に死ぬが、動けば助からない事もない。案外すぐ近くに討伐隊がまだいるかも知れない」
「…………」
実際、崩落が止まった魔王城に討伐隊が様子を見に戻ってきているかも知れない。それなら無理をして崖を登るか、遠回りして上がるルートを探せば合流できる。その間にアンデッドの残党に見つからない事が条件ではあるが。
ゼルクラッドは頷き、立ち上がって石室の出入り口を塞いでいる雪壁を蹴り開けた。
空を仰ぐと雪は止み、辺りは薄暗くなっていた。陰気に空を覆う厚い雲が西日を通さず、太陽の暖かさも遮断している。夜になればますます寒くなるだろう。
ゼルクラッドは布に広げた状態で固定して紐をつけ、腰から垂れ下げた。これを引きずって歩けば、雪に刻まれた足跡を自動的に消してくれる。完全には消えない気休め程度のものだが、気が休まるだけでも充分やる価値はある。
二人は肩を貸し合い、落石の陰に隠れながらその場を離れた。しばらく進んで振り返ると、ゾンビらしきオオカミがついさっきまでいた即席石室を嗅ぎまわっているのが見えた。間一髪だった。しかしまだそれほど距離は離れていない。
「不味いな。追跡されたら振り切れない」
「任せろ」
サフカナは指を舐め、少し高く上げて風を読んだ。
「風下。風速はそこそこ。誤魔化せるか?」
ぶつぶつ言いながら近くの大人の身の丈ほどもある岩に近寄る。岩の陰には厚手のローブを着た精霊使いと思しき死体があった。死体を引っ張るが、動かない。足を岩に挟まれているらしい。
サフカナは顔を真っ赤にしながら下からぐっと岩を押し上げた。目で合図され、ゼルクラッドが素早く足を岩から引っ張り出す。岩を音が立たないように静かに下ろし、サフカナは血が滲みだした傷口を押さえて蹲る。
「後は頼む」
「分かった。服を」
ゼルクラッドはサフカナの意図を把握し、隠蔽を引き継いだ。サフカナが放って寄越した服と死体の服を取り換えて渡し、自分の腕を浅く切って血を死体に振りかけ、あたかもその死体が石室から歩いて来て力尽きたように偽装する。服の交換と血で臭いもかなり誤魔化せるはずだ。死体の血ものたうち回った風を装って不自然にならない程度に周囲一帯にばら撒いた。
「まだか? 急げ」
「もう少し……できた」
雪の臭いを嗅ぎながら近づいて来るオオカミをチラチラ見ながら焦れるサフカナを横抱きに抱き上げ、ゼルクラッドは足跡が残らないように雪の無い岩場を跳んでその場を離れた。女性とはいえ、負傷した身で人ひとりを抱えて跳ぶのは辛い。
崖下の陰に潜り込み、息を潜めて様子を伺う。オオカミは臭いを辿って死体の場所まで来ると、死体の臭いをスンスンと嗅ぎ、首を傾げる。
固唾を飲んで見守るゼルクラッドの祈りが届いたのかどうか、オオカミはしばらくその場に座り込んで瞑想のような姿勢を取った後、来た道を引き返していった。ゼルクラッドは安堵の息を吐きだした。
「危なかったな。良い機転だった……サフカナ?」
返事が無い事を訝しんで振り返ると、サフカナが目を閉じて動かなくなっていた。一瞬呼吸が止まった。
震える手で脈を取る――――脈打っている。気絶だった。流石に無茶が過ぎたらしい。
ゼルクラッドはサフカナを背負い、日が完全に落ちるまで少しでも距離を稼ごうと、負傷を押して再び歩き出した。
翌朝、雪洞の中で抱き合って眠っていた二人は、空気穴から差し込む朝日で同時に目を覚ました。比較的軽症で失血は少なかったゼルクラッドはとにかく、サフカナは自分が目を開けられた事に驚いていた。死体から剥ぎ取った厚いローブのおかげだろう。
それでも全身は冷え切っていた。唇は紫色で、肌が青白い。サフカナはかじかむ手で凍った髪をほぐしている。
ゼルクラッドは少し悩んだが、やむを得ないと判断した。一晩で回復した魔力を使って、二人の体温上昇・体力回復をする。蝋が塗られた服を水袋代わりに雪をお湯に変えたところで魔力が尽きた。サフカナは不思議そうに首を傾げた。
「うん? 精霊はいなかったのではないのか? 詠唱も聞こえなかったが」
「秘儀、かな」
「ほう。それはあれか? ヨガとやらか。聞いたことがあるぞ、ヨガの達人は体内の気を練って体温を上げ、口から炎を吐いたり、瞬間移動したりするという」
「……そうだな」
「そうかそうか、なるほどゼルクラッドはヨガ使いだったか。古代魔法使いだと思ったがそんな事はなかったな」
思わずサフカナの顔を見ると、ちょこんとウインクされた。無理のある誤魔化し方だったらしい。サフカナの頭の回転が速いのも確かだが。
熱い湯を黙って分け合って飲む。空っぽの胃に湯が入り、空腹が紛れ内側から体の隅々まで暖かさが広がった。
どちらからともなく雪洞を出て、また進み始める。崖を大回りに登って魔王城が見える高さまで行こうとするのだが、熊や狼のアニマルゾンビが時折近くに来るため、見つからないようにほとんど常に匍匐前進だった。雪に跡が残らないよう剥き出しの岩肌を這いずり、時には雪の下に潜りやり過ごし。二人は大した高さでもない崖を半日もかけて登った。
魔王城は完全に崩壊していた。最早単なる瓦礫の山でしかなく、原型を留めていない。修復するよりも別の場所に建て直す方が早いだろう。
「エクスカリバーはあの瓦礫の中か?」
「恐らく」
「……回収は無茶だな」
聖剣エクスカリバーはアンデッドを問答無用で浄化する人類の希望であり、ナルガザン帝国皇帝の象徴でもある。サフカナは残念そうに言ったが、それほど執着する様子はなかった。 その時ゼルクラッドは空を飛ぶ鳥を見つけ、即座に自分とサフカナに砂利を被せて岩陰に身を寄せた。鳥もアンデッドでないとは限らない、用心に越した事は無い。
大人しく押し込まれたサフカナが小声で言う。
「魔王城の周りにはやはりまだアンデッドが多い気がするな。低位ではあるけれど数は多い」
「討伐隊に合流して、無事な者が多ければ取って返して追い討ち……無理なら帰国、再編、再出撃」
「フム。それは面白味がないな」
「おい」
「いや、面白味はないが現実味はある。そうしよう」
討伐隊のものと思われる足跡はずっと向こうまで続いていて、ところどころに砕かれた白骨や首の無い死体が転がっていた。撤退中にアンデッドの追い討ちがあったらしい。これでは生死不明のサフカナやゼルクラッドを気遣って休止したり、捜索したりする余裕はなかっただろう。
二人はアンデッドの目を避けながら足跡を辿る。夜を徹して匍匐前進でじわじわ距離を稼ぎ、道中で打ち捨てられた馬車に残っていた僅かばかりの食糧を貪り、体力気力共にギリギリのラインで下山を続ける。
二日経ち、雪が降って討伐隊の足跡を隠された時、二人は追い付くのを諦めた。厚い雪雲に隠されて星が見えず、太陽の位置も判然としない。方角が分からなくなり立ち往生するかと思われたが、サフカナが解決した。
ゼルクラッドから縫合用の針と糸を受け取ると、糸に吊るした針を布で擦って簡易電磁石にしたのだ。針の擦り始めた端がN極になり、北を指す。原理を知ってそうした訳ではないようだったが、この知恵には元地球人も感心した。
なぜ生まれついての皇族がこんな事を知っているんだ、という問いは飲み込むのが賢明だろう。戦闘関連に関してだけはナルガザン帝国の知識水準は非常に高い。サバイバルも戦闘行動の一種として考えられている。
とにかく方角が分かったため、道が分からず地図も無い中でも、方角だけは定めて進む事ができた。
四日目、魔王城からかなり遠ざかり、アンデッドの姿は減り、多少余裕ができた。雪中ビバークしながらゼルクラッドはサフカナの怪我の経過を見た。サフカナは道中異常を訴えなかったし、じっくり診療する暇もなかったので放置していたが、化膿や炎症を起こしていたら大事だ。いや、起こしていなかったら奇跡だ……と思って診察し、唖然とした。
奇跡だった。痣や細かい擦り傷・切り傷は痕も残さず完治し、縫合した重傷部位は瘡蓋の下に皮膚ができ始めているようだった。化膿も炎症も無い。信じられないほど経過は良好だった。
「私は生まれつき傷が治りやすい体質なんだ」
診察が終わり、サフカナは服を着ながら取ってつけたように言った。ゼルクラッドは頭痛を覚えて額を押さえた。体質。そんな言葉で済ませられるのだろうか。まだ精霊の加護と言った方が信じられる。
「途轍もない膂力も?」
「ん? ああ、あれは違う。『壊力』といって、帝国の精鋭部隊で開発された技法だ。特別なものではない、というほど普及はしていないが、驚愕するほどのものでもない。訓練すればゼルクラッドにもできる。……たぶん」
聞けば、つまるところ火事場の馬鹿力を任意で使っているらしい。とんだびっくり人間だ、と呟いたら、人の事は言えないと返された。ゼルクラッドも走馬燈現象を任意で使える。どっこいどっこいだろう。
サフカナに強請られ、神速と壊力のコツを教え合いながら再び下山を開始する。日数が経過し、体が治るにつれ、二人の進行速度は上がった。標高が下がり、視界に映る雪の割合が減っていく。
何度もヒヤリとする場面はあったが、全てサフカナの機転とゼルクラッドの知恵、古代魔法で切り抜けた。どれが欠けても途中で死んでいただろう。
「ゼルクラッド、無事に帰ったら帝国の武術大会に出る気はないか?」
山の麓の半要塞化された村が遠目に見えた時、何故かゼルクラッドよりも元気になっていたサフカナは熱を込めていった。
お互い、短いながらも生きるか死ぬかの決死行を共にした仲だ。ゼルクラッドはサフカナを既に身分を超えた親友だと思っていたので、誘いに二つ返事で頷いた。元々この世界の武術には興味があり、武術の本場帝国の最強を決める武術大会は一度見に行きたいと思っていたのだ。参加できるなら断る理由はない。もちろん魔王との戦いが最優先ではあるが。
「そうか! ゼルクラッドなら本戦優勝も夢じゃないぞ?」
「おいおい、本戦は次代皇帝を決める勝負だろ。俺は皇族じゃないから参加資格がない」
「私が推薦しよう。なに、優勝して前代皇帝を嫁に取れば誰も文句は言わんさ」
「……ん?」
「好きだ、ゼルクラッド」
サフカナは言うやいなやさっと唇を奪い、呆気にとられるゼルクラッドを置いて、笑いながら最後の下り坂を駆け下りていった。
サフカナの元ネタは舩坂弘。「ふなさか」を並べ替えると「さふかな」になる。フィクションよりフィクションじみた御仁ですので、気になる人は調べてみると面白いと思います。
「生まれつき傷が治りやすい体質」の人というのは稀にいるそうです。剃刀負けの切り傷程度ならその日のうちに治るとか。常人の五倍程度の回復力らしいですね。
『壊力』は造語です。『火事場の馬鹿力』だと長いので。実際には人体の構造的に火事場の馬鹿力を使うと骨に過負荷がかかり、ヒビが入ったり折れたりするそうです。サフカナが無事なのは地球人とエーリュシオン人の人体構造が微妙に違うから。エーリュシオン人は地球人と比べて男女の身体能力差が小さく、地球人の地区代表クラスがエーリュシオンの一般人の身体能力です。