2話
「⋯おはようございます⋯」
撮影現場に着くと、待機させられる。
「佐伯くん、おはよう⋯」
「っ⋯霧島さん⋯!湊さんが⋯」
「⋯知ってる。ニュース見たから⋯」
「陽向くん、凛ちゃん、おはよう⋯」
「由紀乃さん、おはようございます⋯」
「っ⋯成瀬さん⋯!湊さん⋯」
言葉を遮るように、成瀬さんが静かに頷く。
「⋯ニュース、見たわ⋯自殺だって⋯」
「っ⋯自殺なんかじゃ⋯!」
「何で、自殺じゃないって⋯言い切れるの?」
「っ⋯それは⋯昨夜、電話してたんです⋯湊さんが亡くなる直前⋯」
霧島さんが眉をひそめる。
「⋯亡くなる直前?」
「ニュースでは、23時頃に亡くなったって⋯でも、僕と23時過ぎまで⋯」
「⋯話してたの?」
「⋯陽向くんを責めるわけじゃないけれど⋯」
成瀬さんが、言葉を探すように目を伏せる。
「⋯湊くん、何か悩んでなかった?」
静かに首を横に振る。
「⋯いつも通り⋯っ⋯それに、また明日って⋯」
思わず涙がこぼれる。
「⋯そう⋯陽向くんに、心配掛けたくなかったのよ⋯」
「っ⋯でも⋯!⋯自殺する直前に⋯また明日、なんて⋯」
「⋯それは確かに、違和感あるね⋯」
「でも、警察が自殺だって言うなら⋯認めたくないけれど⋯そうなんじゃないかしら?」
「⋯まあ、警察が嘘を付くとも思えないですからね⋯」
「っ⋯でも、間違える可能性なら⋯」
「⋯陽向くん、気持ちはわかるけれど⋯」
成瀬さんが首を横に振る。
警察の発表を信じろ、ということらしい⋯
納得がいかないまま、渋々言葉を飲み込んだ。
しばらくすると、スタッフに自宅待機を言い渡される。
主演が亡くなったことで、今後どうするか時間を掛けて協議をするらしい。
モヤモヤした気持ちを抱えたまま、自宅へと戻った。




