未来
士郎は自分の部屋で優希と自分の事を考えていた。
血は繋がってない=結婚できる、か。
ただ妹を女として見る事に抵抗があった。ずっと兄妹として育ってきたのだ。当然と言えば当然か。だけどあんなに優希が純粋に恋心を告白してきたのだ。これ以上優希を悲しませたくないのも本心だった。
どうしたら正解なのかまったく分からなくなったから困る。
そうだ! これならどうだろう?
士郎はとある事を思い付いた。
日曜日だがまだ午前中だ。優希はまだ家にいるだろう。
すぐに優希のいる所を探そう。
リビングで優希がぼーっとしている所を見つけた。
「あのさ、優希」
「あ、お兄ちゃん」
「俺から提案があるんだけど」
優希がきょとんとする。
「提案?」
「今の俺はお前を恋人にはできない。それはわかるよな」
「……わかっているよ。わざわざまたそんな事確認させに来たの? 嫌だなぁ」
「最後まで聞けよ。だったら未来はどうなるかわからないって事だ」
「え?」
「もしあと十年以上経ってもお前が俺を好きでいてくれたなら、俺も覚悟する」
「どういう事?」
「俺がお前を恋人として好きになる可能性はゼロじゃないってわかったんだよ。今は嫌だけど」
優希は驚いた顔で士郎を見つめている。
「俺がお前を『女』として見られるような未来がもしも万が一来たなら……一緒になろう」
優希の目からぽろぽろ涙が流れてきた。
「お兄ちゃん、本当に?」
「ああ。だけどあんまり期待するなよ。妹のイメージまだ取れてないんだから」
「う、うん」
優希が泣いている。嬉し涙だろうか。
「もしお兄ちゃんと結婚できたら本当の家族になれるね」
「? 俺たち本当の家族だろ」
「だって私だけこの家の家族で血が繋がってないんだよ。夫婦の絆で結ばれれば本当の家族になれる気がするんだ」
そういう事だったのか。優希はそんな事を考えていたのか。
士郎は優希の頭を撫でてやった。優希が泣き止むまで時間がかかってしまった。
第一部完




