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第252話:【守乃みゆ、限界突破コラボ】(後編)


「……ふふ、でも本当。そういう『不器用な騎士様』がいてくれるから、私たちはこうして楽しく配信できているのかもしれませんわね」


私が少しだけしんみりと、感謝を込めてマイクに向かうと、コメント欄には『いい話だ……』『裏方さん泣いていいぞ』と温かい空気が流れました。


しかし、その「感動」が最高潮に達した瞬間、異変は起きました。


「(……っ! 琴音の心拍数が通常時より十五パーセント上昇。さらに佐藤の音声に、情緒的な揺らぎを検知。これは……極度の精神的負荷がかかっている証拠だ!)」


裏方でモニターを見つめていた五十嵐くんが、悲壮感漂う顔で立ち上がりました。彼にとって、私たちの「照れ」や「感動」は、体調を崩す前触れの「異常事態」にしか見えなかったのです。


「待て、二人とも! 今すぐリラックスしろ。僕が導入した緊急鎮静システムを……!」


「ちょっと、兄様!? 今いいところなんだから、変なボタン押さないで……っ!」


琴音さんの制止も虚しく、五十嵐くんが操作盤のスイッチを叩きました。


その瞬間、配信画面のルル・アイリスと私のアバターの背後から、**「ドゴォォォン!!」という爆音と共に、ド派手な虹色のエフェクトと大量の花吹雪デジタル**が吹き荒れたのです!


『えっ!? 何!?』

『演出過剰すぎwww』

『お嬢様が埋まった!』


「ちょ、ちょっと! 画面がキラキラすぎて、私の顔が見えないよ!」


「あーっ! またやったわね! 私がちょっと照れたのを検知して、特製の『リラックス・パーティ・エフェクト』を強制起動したでしょ!」


五十嵐くんが「良かれと思って」仕込んだ、心拍数連動型の癒やし演出。それが、感動のフィナーレを文字通り「お祭り騒ぎ」に変えてしまったのだ。


画面は金銀のテープと回転するハートマークで埋め尽くされ、アバターの表情すら読み取れません。


コメント欄

『ルル様、また昇天したのか?w』

『感動を物理エフェクトで殴るスタイルwww』

『伝説のハッピーエンド暴走回』


「……。ふふ、あははは! やっぱり最高だよ。もう、めちゃくちゃ」


あまりにカオスな画面を前に、私はお腹を抱えて笑い出しました。


完璧に整えられたはずの配信が、彼の「重すぎる愛」によって台無しになる。


でも、そのドタバタこそが、私たちの日常で一番愛おしい時間なのだと気づいたからです。


「……解せない。彩度を最大まで上げれば、精神的な高揚が中和されるはずだったのに……」


画面の隅で、設定をいじろうとして必死にマウスを動かす航太くんの気配と、琴音さんの元気なツッコミ。


ルル・アイリスと守乃みゆの初コラボは、配信史に残る「伝説の過剰演出事件」として、リスナーの記憶に深く刻まれることになったのでした。

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