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第123話:【再起動】笑う天才――画面の外にも、宝物はありました



HALの「地声配信」から数ヶ月。 かつて「電脳の要塞」に閉じこもっていた少年は、今、誰も予想だにしなかった姿でファンの前に現れていました。


聖蘭高校の廊下。 かつてはフードを深く被り、壁際を歩いていたHALが、今は真っ直ぐ前を見て歩いています。


「……あ、HAL! 昨日のコラボ、めちゃくちゃ笑ったわ!」

「あ、うん。……ありがとう。あのゲーム、実は僕も必死だったんだ」


クラスメイトからの声かけに、HALは少し照れくさそうに、でもハッキリと肉声で答えます。


対人関係が苦手だった彼は、今でも少しだけ言葉に詰まることはあります。


けれど、相手の目を見て「ありがとう」と言えるようになった彼の周りには、自然と穏やかな空気が流れるようになっていました。


配信者としてのHALの人気は、以前を遥かに凌ぐ勢いで爆発していました。


かつての「近寄りがたい天才」というブランディングを捨てた彼は、今では**『一期生の愛され末っ子』**としての地位を確立。


特に、ましろやアイリスとのコラボ配信で見せる「素の反応」が、リスナーの心を掴んで離しません。


今日の配信は、ましろとの協力ゲーム実況。


「ちょっとHALくん! 右から敵が来てるってば!」

「うわ、本当だ! 待って待って、今キーボード操作ミスった……あはは、ごめん!」


マイク越しに聞こえるのは、ボイスチェンジャーで加工されたクールな声ではなく、お腹の底から楽しそうに笑う、一人の少年の声。 ゲームでミスをしても、かつての彼なら「計算ミスだ」と不機嫌になったでしょう。

でも今の彼は、失敗することさえもリスナーと一緒に楽しんでいます。


 コメント:「HALくんが笑うと、こっちまで幸せになるわ」  

 コメント:「天才がこんなにゲラ(笑い上戸)だったなんて知らなかったww」  

 コメント:「地声になってから、配信の『温度』が全然違うよね」



佐藤家のリビング。 咲子のスマホに、HALから一枚の写真が届きました。

それは、学校の屋上で、友人と一緒に、少しぎこちないピースサインをして笑っているHALの自撮り写真でした。


メッセージには一言。

『咲良さん。外の空気は、意外と美味しかったです。』


「おほほ……。現金なものですわね、HALさん」


咲子は目を細め、嬉しそうに扇子で口元を隠しました。

かつて電源を引き抜かれた時の絶望した顔はもうありません。


「みゆちゃん、見なさいな。彼が手に入れたのは、数千万の回線ではなく、たった数人の『本当の仲間』。……それこそが、何物にも代えがたい最強のセキュリティですわ」


HALはもう、暗い部屋でアンチの住所を特定して自分を守る必要はありません。

彼には今、一緒に笑い、一緒に失敗してくれる仲間と、ありのままの彼を愛してくれるリスナーという、最強の盾があるのですから。


【実況板】最近のHAL、マジで「光」の属性すぎない?

1:名無しの生徒 今日、廊下でHALが普通に笑ってるの見て、なんか泣きそうになった。 あいつ、あんなに良い笑顔するんだな。


2:名無しのVオタ わかる。昨日のましろちゃんとのコラボも最高だった。

「完璧なHAL」も凄かったけど、「よく笑うHAL」の方が100倍推せる。


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