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ヴィリジアン  作者: 千月志保
第7章 ロソーの森
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夕食の約束

「何か他にお手伝いできることはありますか?」

「ううん。ありがとう」

 グレンの笑顔を見てデュランもほっとして笑う。グレンの笑顔にはいつも心を癒される。

「では」

 席を立って椅子を元の位置に戻すと、デュランは突然何か思い出したように動きを止めた。

「グレン将軍」

「何?」

「久しぶりですし、もし調子が悪くなかったら、今晩夕食一緒にどうですか? クレッチと約束しているんです」

「うん。行かせてもらうよ」

「六時過ぎにお迎えにあがります」

「分かった。待ってる」

 デュランはドアを開けた。

「また旅の話、聞かせてください」

 一礼してデュランはグレンの部屋を出た。すると、そこにソードが立っていた。

「ソード将軍」

 少し驚いたようにデュランは立ち止まった。もたれかかっていた壁からソードはゆっくりと身を起こした。

「グレンを連れてきてくれたそうだな」

「あ、はい」

「礼を言う」

 いつもどおりの静かな口調でソードは言った。見えない威厳がある。

「いえ、部下ですから、当然です。あ、あの、お待たせしてしまって申し訳ございません」

「いや。私が勝手に来たのだ。構わない。もう帰るのか?」

「はい。どうぞ」

 デュランは道を譲ってそのまま去っていった。

「グレン、私だ。入ってもいいか?」

 どうぞ、と中から声がする。ソードはゆっくりとグレンの部屋に入った。勝手に通り道にあった椅子を取り、グレンの横に座った。ソードの体もまだ重そうだ。

「やり過ぎたか?」

 グレンの有様を見てソードは苦笑する。

「ううん。僕が本気でってお願いしたんだ。これでいい」

 しかし、そこまで言うと、穏やかだったグレンの顔が急に険しくなった。

「これくらいやらないと、意味がない」

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