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: 5p.

――時は、下水道通路まで遡る。


「…はッ!?」


ベンは、ローラの要望に耳を疑った。


「私を、()()()()()()()


穏やかな口調からして、聞き間違いではないらしい。


「はッ!? ちょっと待て、なんでそうなるッ!?」


ベンは唐突なことで困惑してしまう。


「…私は、()()()()()()()()()()()()()()

もう時間がないの」


「なん、で…」


「どうやら、お兄さんの効果は、一時的だったみたい」


「だったらッ! 定期的にオレの血を飲めば――」


「いずれ限界が来るし、お兄さんの血だけじゃ済まなくなるよ。

それに、無関係なお兄さんを巻き込んだ責任もあるしね」


彼女は追い目を感じ、失った右腕に視線が行く。


「私はね、もう悪魔になりたくないの。

人目を避けるため、人に危害を加えないために、一生下水道(ここ)で過ごしたくないの」


「他に…、何か手はあるはずだろ…?」


自信の無い声で反論するが、ローラは首を横に振る。


「今の私にとって、この世界は生きづらいみたい」


その若さで疳之虫を覚醒し、人として見られない彼女に、味方となってくれる者は、限りなく少ないだろう。


少女にとってその答えは、あまりにも極端で、早すぎる悟りだった。




「――ローラッ!!」


ベンは、すぐに倒れた彼女を抱える。


ローラは、ベンの後を追い、自身の右胸に突き刺さったボーガンの矢を最後の力を振り絞って引き抜き、リアムにとどめを刺したのだ。


乖燠製の矢のおかげで傷を塞ぐことができず、体力が失われていった結果、風穴から血が止まらなかった。


「ローラッ! しっかりしろッ!!」


意識が遠のいていく彼女に、必死に呼びかける。


「お兄さ…」


虚ろな瞳でベンを見上げる。


「返事を…、返事を、ちょうだい…」


か弱い声でささやかれ、一瞬思考が停止する。


「オレは…」


対応に躊躇っていると、()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()


「おいッ!? 勝手なこと――ッ!!」


すると、ローラは笑みを浮かべ、右目の艾肯眼も徐々に薄くなり、青白い火が消えていく。


「やめろッ!! おいッ!! ローラッ!! ローラッ!!」


霊圧が尽き、やがて、生気も感じなくなった。


ローラは、満たされた表情で息を引き取ったのだった。


「…ッ」


複雑な感情が押し寄せ、今までに感じたことのない経験を味わった。


これを機に、欠けていた心臓が完成し、脈を打ち出した。


鼓動が全身に響き渡り、心層の奥まで伝わっていく。


そして、それに呼応するかの如く、悪魔が目を覚ました。




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