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ダブルサイココライド2 ―Saga Of Hermitー  作者: KJK
12章 円卓の勢力衝突・君主同盟VS悪魔党 
84/111

絶対絶命の塔2 塔内決戦


___悪の塔・上層


クラウス・ローゼンベルグ


どうしてこうなった!


痛い!


もうどうにでもなれ!

方向転換し、化け物骨馬に変身しながら駆けだす。


背後で何かあったような気がしたが、無我夢中で逃げた。

二手に分かれて逃げたので途中でベアと離れ離れになってしまった。

壁の隙間から運良く逃げだし、やっとの思いで外壁を出る。


外を見れば異様な光景。


2つの太陽が空に浮かんでいた。

一つは日蝕が起きているように黒い。

もう一つは本来の太陽よりも更に輪をかけて爛爛と黄金色に輝く日。


空は薄暗い青に黄金の光が捻じれているかの様に混じりあった色をしていた。

眼下には見慣れぬ大型機械。それに見た事もない生き物…


ドラゴンだ……

フィクションの中だけでしか見ることのない生き物がヘル上空を飛んでいた。

大きい。象を片足で掴んで簡単に攫ってしまうだろうというほど。

そして速い。小回りなら戦闘機よりも利くと言われたら信じてしまうほど。


そんな伝説の生物が空を自在に舞い、

恐ろしい破壊の息吹を機械人に吹き付けていた。

機械人と戦っているのは竜だけでない。

マネキンと機械が合体したかのような兵が戦闘している。


両者の違いは、機械人は人間が改造された存在だが。

アレは人形の兵士だ。クラウスはそう思った。

人間なのは形だけの様に見える。

党が言っていた例の自動人形の魔物だと合点がいった。

魔女の話が本当なら味方らしい。しかし自分を味方だと識別してくれるかは不明。


塔の外ではとてつもないことが起きていた。中層に降りて

壁の隙間から塔内へ入ると端末に信号が送られてきた。

負傷した肩の傷に支給された薬品を振りかけて手当をしつつ

端末のボタンを押す。



塔内にいる筋肉質な眼鏡の男。学者のような雰囲気がある。

ベアと別れた地点を送信。一度アジトへいく事も伝える。


アジトへ入るとレジスタンスたちが何人かいた。

肩に包帯を巻いてもらいながら起きたことを説明していた時。

扉が勢いよく開けられた。

振り返ると魔女が恐ろしい速度で走って来て抱えられた。

そのまま変身しろと言われるのが先読み出来たので変身。


塔内には機械人が増え始め、住人の被害などお構いなしに魔物と戦闘を始める。

シェルターに居ても安全じゃないと判断した住民たちがあちこちに逃げ出し、地獄絵図と化す。


魔女は変身した私にブーストの技を使用するように指示。

さらに協力技能を発動。


一気に天馬としての私のトップスピードが底上げされ。

魔女が魔力フィールドを張り空気抵抗を最大まで無くしてくれる。


一息で壁の隙間に飛んでいき、再び外に。

外壁から出た頃には戦争は終わっていた。

正確にはヘルシティの戦争は、である。


塔内の戦いはまだ終わっていないのだ。


魔女を乗せ塔の上層まで飛び上がる。


魔女が両手で掴んでいた私の鬣を片方放し、片手を天に向けた。

プリズムのような何かが魔女の手に出現。

馬の化け物となった私の視野の広さだから見えた。

しかし眩しすぎて直ぐに目を前に向ける。


黄金色の太陽の光が一身に魔女の手に収束したののが分かる。

頭が、背が熱い。

とてつもない量のマナが今私の首の後ろに存在している。

思わず鼻の穴が広がる。


ソレを魔女が外壁に放った。


一瞬の出来事だった。塔の外壁が崩れ落ちた。

50m四方の大穴が出来上がる。


@@@


魔女と天馬が塔の上層。通称天空庭園に降り立った。

そしてジェシーとオジーに捕縛されそうになっているベアトリーチェを見て戦闘を開始した時。


下層では巨大ロボットが出現。


ビッグ・ゼフ

30mの高さ。

屈む様な態勢で滑るように動く人型巨大ロボット。

メカデビルを遥かに超える悪魔党の決戦兵器。

暗い火を放ち、装甲は蜘蛛や狼では傷一つ付けられない。

それがコックピットにゼフとコンラッドを乗せて下層を暴れまわった。


塔内の魔防壁は解除された。もはや塔内に秩序など何処を見渡しても無く、

悪魔大統領が駆る『ビッグ・ゼフ』が下層を縦横無尽に移動しては、

フロアの支柱や一部の壁にある杭を抜いていく。

抜くと大きな棺桶と車両が鎖で繋がっていて、その杭の接着部位をビッグゼフの腰に繋ぐ。





@@@


悪の塔上層にて鉢合わせした二人の男と2頭の化け物。


白とマザーを相手にして余裕を見せる二人のブラックスーツの男。


クラウス・ローゼンベルグと二手に分かれ上層階のセキュリティと

悪魔党の高位能力者を振り切ったベアトリーチェは物陰に身を隠しながら

この戦いを見守っていた。


特に茶髪の男が連れている猫が何かしている。

転移系か、幻術系の力を持つ魔獣なのは明白だった。


あの巨大エイリアン蜘蛛と白い狼は同盟勢力の幹部。

以前は魔女の客将だった時に見た事があった。

しかし今は足並みがそろわないと言う話は聞いてはいたが……


どうにもこの二人とは相性が悪そうであった。

これ以上戦闘が長引けば2匹は死ぬかもしれない。


そしてベアはこの二匹に死んでほしくない。焦るような気持ちになった。

やはり味方なのだ、この二匹は。

そうベアは思った。


楽園最強の一角を担う【天才】吸血鬼狩りのベアトリーチェ・ドナテッリ。

それが自分だった。しかしここで出て行っても勝算は薄い。

黒スーツの男達はあの化け物2匹ですら苦戦する相手なのだ。それでも…


ベアトリーチェは決心する。

「お姉ちゃん… 見つけられなくてごめん。」


自身の魔力と魔道具を触媒にして燃え盛る猟犬を召喚。

1匹の猟犬が目にもとまらぬ速度でスーツの優男に襲い掛かる。


閃光弾を投擲。この隙に逃げて! 二匹に向かって微かに思念も載せた。

運が良かったのは二匹がこの機会を無駄にせず撤退を選んだこと。


ベアもこの隙に逃げ出そうとする。


塔の破壊されたエレベータの穴に逃げ込もうとする前に

鉄柱が派手な音と共にその壁に突き刺さった。


振り返ると茶髪の男。猫が肩に乗っていてこちらを見ていた。


(見つかった!)


更に触媒を使用。6匹の燃え盛る猟犬を召喚。

男のけしかけ、自身は距離を離し背中から弓を取る。

茶髪の男はベアに関心が無さそうにして、それよりも2匹が逃げた方向へ

走り出した。


速い! 猟犬と共に男を追おうとするが巨大な鉄柱が壁から

抜け出しベアに迫りくる。間一髪、鉄柱を避けられた。


ーあのさぁ、俺の事忘れてない?


眼鏡を直しながら、もう一人のスーツの男が目の前に立ち言った。


ベアトリーチェが言葉を紡ぎ出す前には背後から先ほどの鉄柱が突撃してくる。

間一髪で回避。鉄柱が土を抉り慣性にしたがって

前方に吹き飛んでいる間に、アレがまた舞い戻って来る間に

この男を仕留める!


吸血鬼狩りの女は動いた。

腰から30センチほどの杭とショートソードを抜き

目にもとまらぬ速さで距離を詰める。


否、距離を詰めたはずであった。


経った今いた場所にいる。

ベアトリーチェは混乱して頭が真っ白になった。

自身の体勢は飛び出す寸前のもので

スーツを着た眼鏡の男との距離は相変わらずだった。


全く持って意味が分からなかった。

今私何処にいた? 何故ここにいるままなの?


ニャニャニャオン


背後に気配。あの猫ともう一人の茶髪の男の気配だった。

戻って来た!? こいつが何かした?


ーあの二匹は見失いました。まぁ、それは別にいいんですが…

ここは退いてくれませんか?


「言動と行動が一致しないけど?」


自分から逃がさないように来て。

……こいつ何を言ってるんだ。やばい奴。

言葉を返すとフロアの天井を仰いで、

その後何かもう一人の男に伝えた。


こいつ何かオカシイ…

ベアは更に警戒する。


ーまぁまぁ。事情が変わったんだよ。お話しーましょ? ねぇ?


眼鏡の男が言う。

気持ち悪い! と言うのがベアの正直な感想だった。

何を企んでいるのか。遊んでいるのかも知れなかった。

恐らく悪魔党の最高幹部の二人。こんな奴らがいるなんて全く事前情報に無かった。

魔女に知らさなければいけない、何とかして…



挟まれている。先ほどの猟犬は既に消された。

絶体絶命かと思われた時、庭園近くの建物の扉が開く。


スーツの男二人がそちらを見る。

ベアの相棒。ずっと共に戦ってきた楽園最強の男がやって来た。



----【戦狂い】テリー・グラント



息を吹き返したように戦闘意欲が湧いて来る。

テリーとなら。善戦出来るはず。そうでなくとも……


テリーが腰を低く構えた。ゾーンに入る。

ゾーンに入ったテリーは戦闘中に極限の集中状態へ。

特に半径10m以内で行われるあらゆる現象を本能で理解する。


最初猫といる男に向かおうとしたテリーにジェスチャーで合図。

そっちじゃない! 眼鏡をお願い!


ベアの天才の直感が告げたのだ。

その猫、そして茶髪の男とテリーは相性が良くないと。

そしてそれは当たっていた。実際にオジーとテリーが同格の能力者ならば

結果はテリーに僅かに傾いたかもしれない。


しかしテリーとベアにとっては残念な事に

彼らが相対している相手は同格の能力者では無かった。


テリー、ベア双方ともに。こと戦闘においては楽園で最強の能力者だった。

賢人連盟でいう所のA格の平均よりも更に上だろう。

そしてジェシーとオジーはSに限りなく近いA格の能力者。

Sに限りなく近いAと言うのはAの平均や少し上とは別物である。


同じA格であってもその差は同格ではないということであって。


いや、それはいい。相性の話に戻ろう。

仮に同格だったとしてジェシーはテリーを問題にしないだろうし、

そしてテリーよりもベアの方がジェシーを

相手にして生き残る確率は実際に高い。

しかしそれはほんの僅かな差である。


そんな相性を別にしてもそれはジェシーが

彼らの命を取ろうという気が無いこと、

出来るなら女性に手をかけたくない人間であったこと。

それ以外にもジェシー、及び賢人連盟が

魔女と敵対しない道を現実的な選択肢として

検討していること。


もろもろの要素が重なり合って今もベアは生きている。


一方この時ジェシーが考えていたのは。

ベアとは対照的な問題だった。


魔女と戦争中の悪魔党をスカウトしに来たのがバレたら拙いのかどうか。

ゼフの居所がどさくさに紛れて分からなくなった事について。

ゼフからジェシー達に降るのか答えを聞き出したいのだが、

ここで諦めて撤退するべきか等だ。


一方、極限の集中状態の中オジーですら感嘆する戦闘技能を持ってテリーは

8合も10合もオジーと渡り合ったし、

ジェシーはその間ベアトリーチェの気が済むまで彼女の強化剣術や

戦闘途中で召喚された猟犬を闘牛士が怒り狂った雄牛を避けていくように

対処した。


オジーはテリーをいなしながら考えていた。

この二人の高位能力者は魔女の人間だろう。

ジェシーのいうように今ここで魔女と敵対するべきでない。


そのきっかけを作るべきでないことには同意する。


だが正直この二人を殺すことには

何の躊躇いも抱かないのがオジーという人間である。

人間がそもそも好きでないのだ。

どうでも良い理由で魔女と敵対しないため。

その一点だけがオジーに自制を促していた。

要はここで何をやっているかって?

考えているのだ。賢人連盟に帰還するのかどうか。

そのためにジェシーのペットが

塔内でゼフの居場所を探し回っている。


正直あの化け物2匹とこの2人のせいで

色々とタイミングがおかしくなってしまった。

最初多少やり合ってしまったのも良くなかった。


悪魔党の人間だと勘違いしたのだ。党の職員の制服を着ているし。

どさくさに紛れて攻撃してきたと

思いゼフの居場所を知っているのなら吐かせようかと思ったが…


こちらとしては魔女の潜入している配下など全員は把握していない。

いくらかは知っているが……

この男女も恐らくジェシーとオジーの事を侵入者と見做して戦闘しているはず。

魔女に対してゼフと自分たちの交渉は言う義理も無いし、

バレずに済むなら其方のほうが良いだろう。

という事は侵入者でなくてこの男女が知らない

党の幹部と思われた方がいいだろうか?


途中でジェシーから魔女配下の

潜入者の可能性アリと伝えられてから手加減しているが

ゼフの居場所が分かり次第。

さっさとこの場を離れるつもりであった。


離れられない理由は……

もうすぐ約束の時間であり、ゼフたちが

ここに来る手はずになっているからだ。そして居場所が分からないのだから

ここで待っている。


約束通りにゼフが来たらこいつらを直ぐに攻撃する可能性があるから

その時は守ってやるように、とジェシーが思念で伝えてきた。

あーめんどくせぇ……

オジーは頭が痛くなってきて独り言ちる。


ジェシーは魔女は配下を大事にしているだろうと。

そう読んでいるみたいだし。

実際悪魔党に比べればはるかに部下を大事にはしてるだろうけど。

まぁ、恩を売れる可能性もあるのかな?


オジーとしては至極どうでもいい事であった。


ジェシーは善行がしたいらしい。無理やり悪事を働かせられた人生の男なのだ。

彼の悲願である。良いことに人生を使いたい。能力を使いたい。


オジーにはその気持ちが良くわからなかったし、

自分はお人好しのジェシーについて行くだけである。

ついて行くのはジェシーは有能でかつ強いからである。

ジェシーが他者にかける情けなどは快いものだとは思うが、

不合理でもあると思っていた。


別に自身が損さえしなければ他者などどのように扱ってもいいのだ。

自分にとって近しかったり特別な人間でも無ければ、だ…

そのほうがシンプルで良いだろう。


ぼんやりと目の前の男の相手をしながら鍛冶師は

自身とジェシーの違いなどについて考えていたのだが。


段々と目の前に意識が向き始めた。

オジーの、【伝説鍛冶】の血が騒ぐほどテリーは優れた戦士だったからだ。


この男が自分の創った武具を使ったらどうなるかな。

もう少し鍛えてやれば……

自分以上に自分の武具の力を引き出すかもしれない。

テリー・グラントはそんな想像が出来るような男だった。


この時初めて他者、特に女や動物を殺したくない

ジェシーの気持ちがオジーにも少しだけ理解出来た。

オジーも動物を殺すのは好まないが。


ジェシー、そしてオジー共に相手を殺す気が無い。ただどちらかと言えば

後輩や新入りを見守るような目で戦闘が続くと言う妙に落ち着かない僅かな時を

それぞれが過ごした時。


塔の外に巨大な魔力反応。


それはジェシーの猫が驚いて目を見開き、

大魔槍オジボルグが突然放電するように霊気を吐き出し

突如ショートしたかのように煙を上げる程の霊量。


何かが塔の外にいるのは確かだった。


ジェシーとオジーが目を見開いた時、塔の外壁が吹き飛び崩れ落ちた。

50m四方の大穴が開く。


禍々しいほどまでに黄金色に輝く太陽とその光を反射する雲を

背に天馬の化け物に乗った黄金色の髪の女がやってきた。


ールネー!!


ベアが叫んだ。


まるで時が止まったかのようにジェシーとオジーは反応出来なかった。


次の瞬間理解したのは、この瞬間に自分たちの相手が

格下から格上に変わったかも知れないという事だけだった。




====

ベアトリーチェ・ドナテッリ

型 ヴァンパイアハンター lv8

天才 直感 猟犬召喚 

吸血回復 強化剣術 強化弓術

枷の杭 隠密移動 

影縛りの杭 影に対象体内のマナを影と共にその場に固定する杭を打つ

影人間化ーー1呼吸の間だけ影人間に自身を変化させる




テリー・グラント

型 コンバットマスター lv9

達人の呼吸 戦闘のゾーン 鋼の身体 武器の達人 見切り2・0

武器錬成


見切り加速:見切り成功時。瞬間的に動きが加速

戦狂い:分の悪い状況での集中状態大補正 限界を超える

武器纏い:武器を変化させ身に纏う





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