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ダブルサイココライド2 ―Saga Of Hermitー  作者: KJK
11章 魔女と塔・傀儡師の最後
73/111

3バカと讃美歌・最初の男と天才少女

 

救いの塔 3階


土系の道路が申し訳程度に整備され工場や倉庫のような建物が多い。

工場内では機械人がスズメなどの小鳥に注射を施し、

その後小鳥たちはベルトコンベヤーで違う部屋に運ばれていく。


これは悪魔党の機械獣増強計画の一環で、獣の改造に成功した悪魔党

が当初目を付けた猛禽類だけでなく小鳥たちにも改造を施し始めたため

3階工場の一部では一日数時間このような作業が行われている。


その工場の裏手を音を立てないように動く影があった。

3階では何処からともなく讃美歌が聞こえて来る。

作業員たちが作業を中断して讃美歌を聞くために外へぞろぞろと出ていく。

暗い、夜のような屋内を照らす街灯が丁度それに合わせるように消える。


塔の中は昼も夜も無い。ほぼ一日中街灯が点いている。

景色は2階まではヘルに似た街並み。

3階からは薄暗い荒野の中に建物が無理やりにポツポツと建てられて

後は倉庫と物資を運ぶための土系道路に少しの常緑樹が僅かばかりに

色を足す。


まだ同じ下層ではあったものの随分と雰囲気が違っていた。

共通していることは人は日光を浴びたいということ。

そして塔もそれに応えている。

街灯が消えてほんの少しタイムラグがあったものの

光が差しこんできたのである。


一日中暗く、決まった時刻にのみ何処からか鏡によって反射され

運び込まれた日光が塔内に満ちる。それでも昼間のようにはならない。

洞窟に陽光が差し込んでいるようなものだ。それでも

ほとんどの塔民たちは日光浴に建物の外に出て来る。



光が塔に差し込んでくる時間になると

讃美歌が聞こえて来ることが増えた。

誰が始めたのかは不明だったが、それなりに好評らしく

近くで讃美歌を歌っているグループが来ると

塔の住民が多数集まって来るようなった。

この外界と隔離された塔においての貴重な楽しみなのだろう。


そのかけがえのない陽光を避けるようにして動く3つの人影。

暗い色の迷彩柄のクロークを羽織っている。

フードを2つの影が深くかぶり、もう一つの影は黒いハット。


「トニー」


(おいっ! トニー! こっちだ!)

(マリオ! あまり声を上げるなっ!)


思わずこちらが声を上げそうになったのを見て

マリオが舌打ちをしてきた。

(こいつ!) 

とカッとなってまた声を上げそうになったが何とか堪える。

こめかみに指を当て何度か短くため息をついて自分を落ち着かせた。


風鈴(ウィンドチャイムス)魔女(ウィッチャリィ)の傘下勢力になってから

暮らし自体は安定した。生き残った他の皆も喜んでいた。

だがほっとしたのも束の間。

次から次へと問題がやって来る毎日であった。

厄介なこと極まりない竜もどきに対処するために楽園の奴らと

共同での防衛作戦に、魔窟の調査。


そして今回はこの「救いの党」なる勢力の本拠地への潜入作戦。

驚いたことに既に魔女は動いており、楽園(エデン)の部隊も潜入済みだと言う。


「うぉぉーい! お前らぁー!!」


(ジェイソン!!!)

少し遅れてついて来ていた熊のような大男に

マリオと同時にシー! とジェスチャーをして黙らせる。

アッと言う顔をした後

ゴホンゴホンと咳をしてごまかし、

黒いハットを深くかぶりなおしながら足早に此方へ来る。

手招きして3階フロアの「旧倉庫街の中の廃ビル」に向かった。


交差点の信号を過ぎて直ぐの横道に入ると

幾つかの倉庫と建物が建つ行き止まりの道。

左手には廃棄寸前の車両などが多く放置されていた。

右手にあるビルと倉庫が一体化しているような建物。

R3Dと書かれている。

間違いないここだ。


中に入ると入口付近の床に座り込んでいる人間がチラホラといた。

皆一様に肌が干からびたようにしわくちゃ

生気は無く、ふらふらとしている。


「チッ、ジャンキーだらけじゃねぇか…」

マリオが苦虫を嚙み潰したような顔で言う。


「それでいいんだ、この奥に事情屋の婆がいるはずだ。」


座り込んでいる薬物中毒者達を避けながら

入口からオフィスエリアを通り過ぎて奥に進む。

廊下にピアスだらけの男。


一人で壁に背を預けてジロジロと舐めつけるように見て来る。

レゲエのアーティストが被っているような大きな頭ごと覆うような帽子。

この帽子とピアス、内部協力者のはずだ。

右手を挙げて、やぁと挨拶して

その後すまんといった後左手を上げてハーイと言う。


「誰だお前ら?」

ピアスだらけの男がアゴを払うように触りながら聞く。

堂々としている、あまりにも自然な演技だったので逆に

協力者じゃないのじゃないのか、と一瞬緊張。


「兄弟。従兄の顔を忘れちまったか? ハリーだよ。」

これでいいはずだが

あちらは答えない。右手を差し出して握手して

指先でとんとんと手のひらを押すとあちらも返してきた。

左手でその手を覆って僅かに相手の親指の間接あたりの肌をサッと払う。


「汚れか、ゴミが付いていたか?」

相手が2回耳たぶを触りながら言った。


やばい! この意味忘れた!  なんの合図だ?


マリオを見ると

血走った目でこちらを見返してきていた。 何故だ?

俺が意味を忘れたのを気づいてか?

それともこいつも忘れている? 


「薬が欲しいならトイレで手を洗ってからにしろ、あっちがトイレだからな。

それと今来た場所と違う出口から出ろよな。」


ピアスの男の声がもう少し友好的になりそう言った。

ちょっと待て、事情屋の婆は?

トイレ?


幸い耳たぶの合図に反応しなかった俺を気にしなかった。

まずいことは起きてないはず。

つばをごくりと飲み込みながら


「ああ、問題ない。任せておけ。」

と言ってサムズアップした。

どうか本当に薬の売人じゃありませんように…

マリオを見ると血走った目で俺のようにサムズアップしていた。


了解してトイレに3人で向かう。

トイレに入ると明るい。

白い壁に陽光が反射されている。

丁度ここにも塔に持ち込まれた光が差していたのか。


便所は少し汚く、仕切りもボロボロだった。人はいない。

婆は何処だ…

個室の奥に破壊された壁。

雑に修復されたような箇所に貼ってあるベニヤ板がある。

外していく。もはや婆がいなくとも構わない。



「マリオ、焦るなよ。」

大男のジェイソンが冗談めかして言うと

「焦ってねーよ! いつ俺が焦ったんだよ!」

食い気味に反応するマリオ。


(うるさい! やめろお前ら!)


板を外して中に入ると狭い部屋。

瓦礫や木材が散らばっている中に

人が入れるほどのロッカー。婆はいない。

そこに一人ずつ入っていく。


静かな霊気がそのロッカーに流れる。

中には足を置く場所と手で握ってマナを流すための

ハンドルがある。

ほとんど使ったことはないがゆっくりとハンドルを握ると

手の平から血流、魔力、指紋などが計測され始める。

名前を忘れたが、あいつの作ったものだろう。


突如意識がいきなりブラックアウト。


ガタン!

衝撃で意識が戻る。ロッカーから出ると

真っ暗な部屋。少し寒いな。

たった今さっき自身が開けたロッカーを閉める。


十秒ほどして

ガタン!

「電気もねーのかよ、クソッ。」

ふらつきながらマリオが出て来た。


ガタン!

「おお、狭いし暗い! お前たち何か言ってくれー!」

最後にジェイソンが出て来てそう言った。


「大丈夫、俺もマリオもいるし。ここまで順調だ。」


暗闇に目が慣れ始めたあたり、事情屋の婆を探す。

部屋の天井の隅のほうから光が微かに漏れているのが見えた。

あそこが扉だろうと見当をつけて近づこうとした時、眩しい光。

真っ暗な部屋の上へ続く階段の扉が開き見覚えのある顔をのぞかせた。



「お! 風鈴の三馬鹿じゃねぇか! 久しぶりだな、

ハハハ!」


「てめー! 誰が三馬鹿だ!」

マリオが声を荒げる。

「コナー! 2馬鹿にしといてくれ! 俺が可哀そうだ!」

ジェイソンが言う。


コナーは笑って

「違いねぇ歓迎するぜ!」


と言って家を案内してくれた。

今日からしばらくここがアジトだ。


この家屋、今は塔1階の岩山の前の一軒家。

地下室から「3階の倉庫街の廃ビルのトイレ」

2階の何処かへも通じているはず。


コナーの他にもう二人男がいたが

誰だっけ。レオと無口な男だ。

無口なほうは嫌ではないが少し苦手な部類。

この二人が場所を繋げたりできるようだ。

詳しい技能は知らないが正直凄いと思った。

そんなことが出来るとは。


家についてリビングで休んでいると

3人は直ぐに仕事があると言って出て行った。

今日からしばらくこの家をうまく使って

アジトを強化しなければいけない。

そのために風鈴が来たのだ。


正し一気には出来ない。ここは思いっきり

敵の腹。可笑しなことをすれば直ぐに気づかれる。

慎重にやらなければいけない。

そのためにあの3バカがいる。


夜になり

あの無口な男から許可が下りて

ジェイソンが手始めにこの家屋の改造に着手した。




@@


「最初の男」



地獄都市ヘル郊外

救いの塔 


丘の朝も昼も影になっている部分の一部が動いた。

蔦と苔で覆われていた岩壁がカーテンのように捲られ

戦闘服を着て軍用のキャップを被っている、

見目麗しい女が出て来た。

クールだが愛らしい顔立ちに赤茶色の髪、

ほっそりとしなやかな体つきはモデルのよう。

これは魔女の勢力に所属しているイーヴィーという女だった。


ボストンバッグに無理やり重そうな機械を押し込んだようで

ジッパーは開けっ放しである。口を結んで両手でうんしょと運ぶ。


朱いベレー帽を被った機械兵らしき男が女の後に続く。

(この男も大きなボストンバッグとリュックを持っている)


らしきと言うのは迷彩の戦闘服やベレー帽は機械兵が着用するには

不自然なものではないが、どうにも綺麗すぎたからだ。

通常の機械兵たちは戦闘服を支給された後はボロボロになろうが

殆ど修復してもらえない故。ベレー帽というのも珍しかった。

殆どの機械兵はヘルメットをかぶる。


女の方がトランシーバーの様なものをとりだして何か支持をだした。


丘から出る前に200mほど向こうの藪の方から

走る人(スプリントボット)が2体。駆け足で荷物を受け取り

女に指示され去っていく。

普段よりも走る人は元気そうで、走り去る前にはお辞儀までしていった。

これは走る人にしては非常に珍しいことである。


「よし! これで部品は結構集まって来た! もはや我らに死角なし!」


ね?

と言いながらイーヴィーが男を見上げる。


男は無表情、見返した後何か言おうと口を開くと

口内に電流が走ってバチッと音がした。

男は何か言うのを止めて腰から出したドライバーのような物を首に刺す。

目立たないように穴が存在していたらしく、出血もせずにドライバーは入っていくが

上手く修復作業が出来ない。


「ドライバーで直るわけないでしょ、全く!」

見かねて女が手伝う、男の背負っているリュックから

喉奥から首にかけて通っているケーブルを

新しいものに変えると状態は良くなった。

それでも男が瞬きすると火花のようなものが目と耳の穴から

バチッと時たま出るのだが。


「アリガトウ、イブ。」

「いいよ! でもイーヴィーって呼んでね!」

「ウン、でもアリガトウ。イブはあのイブより優シイ。」

「だからそんな人知らないの! それより森の隠れ家に急げ!」

「ウン、イソゲ!」


女が

行くよ、アダム! と赤いベレー帽の男に言った。


丘から北にある原生林に二人が入っていく。

木に刃物で付けられた目印を確認しながら進んでいく。

森に入って直ぐに二人は地面に隠されていた袋を取り出す。


「ほら、またホバーブレードつけるからね。」

「ウン、ツケル。」

軍用ブーツの上から取り出したものを

腰、膝、靴に装着。

マナを流すと靴底に付けた金属製の車輪のようなものが

静かに回転を始める。


2人の身体が10センチほどだが僅かに宙に浮く、この森のデコボコ道を

まるでアイススケートをしているように滑らかに動いた。

どのような原理なのかグリップも良く効くようで

昇り坂は滑れないが問題なくグングン進んでいく。


平面と下り道はスケートするように進み、

昇りはまるでバネを仕込んでいるかのように。

途中で何度かアダムと呼ばれた男が盛大に転んだので

どうやら多少コツがいるらしかった。


この森に入って30分ほど、かなりのペースで二人は森を潜っている。

その速さは通常の人間がマネするにはとても難しいほどで。

もし存在したのなら

ビッグフットでも舌を巻いただろう。


途中で霧から通せんぼにあったが

少し迂回しただけで大した問題ではなかった。


木々が他の場所よりも少ない、森の中の空き地に出る。

女の方が息を切らせながら

「ここだ、魔女の土地だ。」

と呟いた。


その地を囲む木の枝や、藪の中にはスピーカーが設置してあり

それにベレー帽の男が触ると空気が揺れ

音は無かったが周囲の景色に溶け込むようにしてあった山小屋が出現。


扉が開き、下半身が4つ脚の機械化兵が現れて二人を迎える。

通常の機械兵とは何かが違っていた。目に恐怖以外の感情が宿っていたのだ。

2人はホバーブレードを外して小屋に入っていく。


アダムが山小屋の中の暖炉に火をつける。

男が床に降ろした大きめのボストンバッグの中をイーヴィーが開けると

そこには銀縁の眼鏡をかけた女が体育座りをするように

体を縮めて入っていた。良く眠っているように見える。

何処か人形のような無機質な寝顔だった。



ーえーと、これが隠者の傀儡で…

塔の外に出した方が良かったんだよね?

あれ? 隠者って、これなの? 女の子なんだ?

うわぁ、びっくり…


あと、な、何だっけ。重大な任務なのに…

重大なのに記憶から消えちゃう場合があるって

間違えても絶対アタシのせいじゃないよね?

とにかくこれ、……どうするんだっけ?


あわわ、と固まって震えだしたイーヴィーが

アダムを不安そうに見る。

大柄な半分機械の男は首をかしげてイーヴィーを見返した。

耳からは小さな火花と煙が出ていた。




使徒 エヴァンジェリカ

型  魔導機械技師 





作品


魔導装甲車 

魔導装甲トラック 

魔導ヨット 

魔導ボート  

暗黒生物索敵レーダー


魔導ランチャー改

魔導ライフル改  


ファイナルオーラガン「グリーンティー」

ハンディアームガン「コブラ」

etc






改造人間アダム

型 大機械技師

・弾丸パンチ ・ロケットパンチ ・マシンアーム

・霊気霧散スピーカー  ・スーパーキャノン

・幻影生成スピーカー


作品

魔導列車 

魔導巨人兵 イブ

改造人間 アダム

対暗黒生物 消滅爆弾

各種スピーカー



ルーシーとの合作

機械兵ハッキングチップ

(チップを取り付けた機械人を乗っ取る)


ルネー及びイーヴィーとの合作

イントルーダートランシーバー(付近の機械兵への指令に割り込み、上書き)


魅了のドッグタグ+ハッキングチップ入り


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