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ダブルサイココライド2 ―Saga Of Hermitー  作者: KJK
10章 精神衝突 
71/111

4話 信念衝突ー克服の騎士ルーベンと正義の騎士ドレイク / ジョン人形乱入 

旧デッドマン領土


ニュー・シン・シティ



「ルーべン! 裏切ったのか貴様ぁ!!!」



竜騎士の長が声を張り上げる。

その声は怒りの感情を暴力的に纏い眠たそうにしている男に

浴びせられた。

カドゥケウスと蛸人がサングラスの男と戦闘に入った。

竜と騎士達がそれに加勢する。あの男は脅威だが

あれだけの戦力が一人に集中すれば大丈夫だろう。


ドレイクが聖雷を纏った愛槍と手に「英雄」に迫る。

眠そうな男は懐から20センチほどの鉄針を取り出して戦場と化した

街に放り投げた。投げると同時に赤茶色い革のコートを翻し逃げる。

英雄が腰の刀を抜くころに避霊針が上空から降り注ぎいたるところに設置された。


一瞬で距離を詰めたドレイクが怒涛の勢いで突きを繰り出す。

男は雷槍を腰から抜いた刀でいなしていたが


「間違えた、こっちだ…」

そう言って途中で腰に下げているもう一振りのショートソードに武器を変えた。

竜騎士のこめかみに青筋が立ち

戦闘の激しさが増す。



ー悪いね。私は眠たいんだ、ドレイク。

別にここで戦っててもいいけど、そんな場合ではないだろう。

しかし本当に今日は眠い。


「貴様、正気か!? それに何を言っている!」


ースケアクロウ。

案山子(カカシ)の1「英雄」

の軍は既に東方騎士団の各領土に攻め入った。

もう落ちる頃と思うが、気づかないか。

察するよ、お前も眠いのだろう。


言って直ぐに欠伸をする。



「騎士団が落ちるわけがない! それに何故西方騎士たちが裏切る!」


ー皆わかってくれた。

眠い中。話ながら戦うのは疲れるね。


「そんなわけがない! お前が何かしたのだろうが!」


ー東方騎士団達は正義の心と実力を推奨、評価され力をつけて来た。

西方騎士団は己を克服すること、力をつけること。

挑戦と成長をもって力をつけて来た。

それだけだ。それだけの違いだよ。


「それが何故裏切りに繋がる!」


ー新しい世界の流れは誰にも止められない。

そして停滞した意義のない正義はその波に飲み込まれて消える。

正義が何故強く、そして勝つのか知っているか?


「貴様は何を言っているのだ! 意味が全然わからない!! 」


ー正義はあるべき場所にあるべき調和をもたらす力。

それは元に戻る力と異物を取り除いた後に調和する目的に乗っ取って動く。

しかしその後は停滞と腐敗をもたらす。そして停滞し意義を失った正義は

次のより健全な正義によって取り除かれる。お前は旧世界の価値観を

持ち込んでそれを守りたいだけだよ。


「……」


ー数と環境は力でありそれは多くの場合正義につく。悪についても一時的に。

舞台も役者も正義の味方だ。だから強い、だから正義は勝つ。

だが世界も魂も常に流れるようにして動いている。

動く速度は皆違ってもね。それはお前が今正義だと思っている物や状態は

いつか調和から外れることを意味する。

つまり行き過ぎた秩序、調和を求める正義もまた秩序、調和から外れた悪になる。

お前の求める正義はそこまでで終わる。

お前にはそれ以上がない。


「黙れ、貴様は裏切りを正当化する詭弁をいっている。」


ー阿呆の子にはわからないだけじゃない? 皆眠たいんだ。

眠りたくて仕方ないんだ。

意義や意味のない人生を送るのなら眠り続けて死ねばいいけど。

楽だし、気持ちいいだろう。でも起きてこの人生を歩むのなら。

私は真に意義のある人生を歩みたい。

正義も悪も超越した所で世界とそして自分自身と調和するんだ。

3FAITHのヴィジョンがそれを可能にしてくれた。

愛と信仰と真正性は正義よりも大事なことだよ。


空気が爆発するような音。

騎士達と共に恋人が目の前を吹き飛ばされていく。


「そうそう、価値は重い方の勝ちなのさ。」

ニヤリと笑いながら

サングラスの男が竜の亡骸を投げ飛ばしながら言って

直ぐにカドゥケウスを追いかけに行く。



ーまぁ、そういうことだよ。

お前の正義ごっこでは足りないのだ。

裏切りというより足きりだよ。首切りでもいい。

別に何でもいい。


ルーベンが欠伸をしてそういった。




ドレイクの身に異変が起こる。


怒り、憤怒、破壊衝動。

この瞬間ドレイク・スティングレイは

それらに自身の全てを飲み込ませた。


竜人化。


一気に体躯が膨れ上がる、身の丈は数倍になり。

全身が竜の鱗に覆われ、竜の装飾が施された甲冑を纏う。

頭からは角が生え、背中からは竜の翼。腰からは竜の尾。

眼は人ではなく竜。

まさしく今

男は憤怒の化身となった。


ー切り札を出してきたか。

自由というものも、公平と同じように価値があるものだ。

死ぬ前のたったひと時の時間、好きに使うと良い。



「龍気解放…」


目にもとまらぬ速度で竜人が英雄の背後をとる。

下から突き上げるような軌道で切り上げられた槍の穂先に

聖雷。


穂を避けてルーベンが右手で槍の柄に触れていなす。

掴まれる前にドレイクが槍の柄まで龍気と聖なる雷

を迸らせながら引き戻し胴を狙い超高速の連続突きを繰り出す。


回避される、互いに高速移動しながら立ち回り始めて直ぐに違和感。

槍の柄を持ち替えた時に右手に激痛が走る。

強力な酸のようなものが塗り付けられていた。

共にKNIGHTS OF LIBERTYを立ち上げた者同士。

ルーベンの手札の全ては知らないが、これは予想外ではなかった。

「罠師の右手…」


厄介な能力だった。

あの避霊針も、光の猟犬のごとく追跡する聖雷が

ルーベンに届くころには霊気を剥がされ、威力は半分以下になる。

奴の連れてきていた部下たちは半数が避霊針を守り

もう半数が西方騎士団の特徴的なボウガンを持ちドレイクに射かける。

命中した数本のの矢は竜人の鎧と鱗に弾かれた。

奴の一番弟子と前に見かけた高弟たちの姿が見えない。

恐らく東方騎士団の領土の攻めを任されたのだろう。


「……」

龍の息吹を吹きかけて自らの右手事巻き込んで酸を消し飛ばす。

右手の表面が少々炭化したが、あのルーベンの塗った酸を

そのままにしているよりは、一度再生してでも直す方が良し。


領土に戻らねばならない。

竜と騎士達を連れて。

竜と共に飛び去る隙は無い。あのサングラスの男に撃ち落とされる。

カドゥケウスに頼りたいが…

期待していても仕方ない。どうにか道を切り開くしかない。



「距離が開いてしまったな、俺もお前も遠距離は得意じゃないが。

竜人化した後ならお前より得意だ。」


ドレイクが狂暴な笑みを見せ、数十の聖なる雷のエネルギー体を作り出し

それぞれがミサイルのようにルーベンを追いかける。



ドレイクは怒っていた。

自身の技能である憤怒エンジンが

未だかつてないほどの回転数を叩きだしエネルギーを自身に供給。

龍の血が沸騰する。まるで存在の位階が繰り上がったかのような

力の上昇を感じた。


竜人化はすべての能力を大幅に上げてくれるが

今の自分ならば単純な生き物としての性能差で

ルーベンを圧倒出来るのでは、とさえ思った。


ルーベンが高速で針を投げつける。


「遅い!」

回避し槍で突くが外す、右に回り込まれたのを裏拳で

追撃。これも交わされるが左手に持った槍の石突で敵の胸を打つ。

相手が吹き飛ぶ前に竜の息吹を吹き付ける。

本物の竜に一切引けを足らない強烈なブレス。


その後も二度三度と打ち合い。その度にドレイクが押した。


ーそのブレスの威力は凄いね。

たまに息が出来なくなるよ。

そろそろケリをつけよう、ドレイク。

私は皆と一緒でメンドクサイことは嫌いだから。


「ボロボロの姿で強がっているように見えるぞ。裏切り者。」


ーそうかな? でも竜化だか中華だか忘れちゃったけど。

そんなに強気でいいの?

私の悪癖忘れてしまったのかな?


ショートソードを仕舞い、腰から刀を抜く。

刀身に光が反射し目を細めさせる。


「……」


ー君が悪癖だと言ったんだがね。


英雄が腰のベルトに手を掛ける。

ベルトのバックルから膨大な霊気が溢れ出し

ルーベンナイトレイの手によって極限まで練り上げられていく。


「手加減…」

ルーベンの淀んだ眼が清涼なものに変わる。

英雄の意識が冴え始め

竜人の憤怒エンジンの回転数が落ち始めていた。



「変身…」

そして英雄は呟いた。




ドレイク・スティングレイ===「正義」×「運命の輪」× 紛失

竜騎士

契約者

龍の呼吸 聖気 聖雷 再生 憤怒エンジン

契約魔法:対象 竜族、契りの騎士達 竜の血


ルーベン・ナイトレイ===「正義」「運命の輪」所有

型  ヒーロー 

・変身(シャドウ(タイプ) 悪役(ヴィラン)ヴィラン)

・避霊針(設置場所に相手の霊的攻撃が誘導される)

・超錬気(マナを練り上げる行動に補正極大)

・七転八倒(復讐のための復習 復讐戦 補正大 効果は訓練でも、実践でも。 )

・ヒーローの呼吸

・罠師の右手





@@@@




新罪都

ニュー・シン・シティ


「ノートン・ヒューズ・ウォーカー」


太陽を背に男が降って来た。

男は瞬く間に竜を下した。もう竜は半分までに数を減らした。残り3匹。

竜騎士も圧倒。

さらにカドゥケウスをボロボロにするまでにさして時間もかからなかった。



3信仰の3faith…

圧倒的だった。

暗黒教団で世界の終わりを予言していた教団の超能力者。

教団の顧問的立場でもあった、教祖レイとは反りが合わなそうではあったが。

レイに距離をとるようにと引き離されるまでは、

少しの間私の先生でもあった。


最初レイが自分と3fを引き離そうとしているとは夢にも気づかなかった。

後で気づいたのだ、そう誘導されていたと。

それほどレイは3fの影響力を恐れていた。

気がかりであったものの、悪くない関係はその後も築けていた。

薄々嫌われているんじゃないかと心配もあったが。

それは杞憂であった。




3FAITHは…

規格外に強かった。

教団も派閥が出来てもどの派閥も彼に喧嘩を吹っ掛けようなどとはしなかった。

一人で派閥以上の力を持っていた。誰も彼の力を知っている者はいなかったが

知る必要もなかった。

彼のヴィジョンは自分にはよく理解できなかったが

もう賽は投げられたのだ。


デッドマン解散とスケアクロウ入りのための条件は

戦争の引き金を引くこと。

そのためにあの女、エレーニを狙った。

3fの敵対者「隠者」の関係者の可能性が高い女。

この場で殺したかったが…


これでもう後戻りはできない。

謎の勢力ANKH、そして魔女とも中立も和解も出来まい。

賢人連盟はスケアクロウには参加しない。関係は冷えこむだろう。

暗黒教団残党であるデッドマンが

他の勢力と親しくできる可能性は無くなった。

3FAITHの見立てでは今後円卓の勢力を2分する大戦が勃発する。

今回のことが引き金となるはず。


その場合どう2分されるか。


未来のことは分からないが。

この戦場で恋人と竜騎士とドラゴンたちを仕留めるつもりだった。

ANKHの代表であったエレーニは倒しておきたかったが。

コルトンが待ち伏せしている、アイツならやってくれるだろう。

コルトンが乗っていった超アンデッドはデッドマンの最高傑作の一つ。


未だ隠者の勢力は不明。

魔女や恋人、竜騎士とも違うはずだが…

何か厄介な能力を持っているらしい。


付近にいたアンデッドを喰らい回復する。

かなりのダメージを負った、本調子に戻るまでしばらくかかるだろう。

戦場を見れば

半数のドラゴンが死亡。

もう半分も何とか息をしているだけであり、

竜騎士達も同様。

竜人化したドレイクには驚かされたが。

竜人は英雄に敗北。

たった今膝をついたところ。


カドゥケウスは3FAITHにマンフリードを救助された挙句

蛸人と騎士達と共に満身創痍。

転移魔法が仕えるようだが

とても逃げる隙すら見つけられなかっただろう。


ーさて、スケアクロウに入った気分は?


「最高だ。あなたの仲間になってよかった。

ただエレーニという女のことだが…」


ー捕まえられたかね?


「まだ… 念入りに待ち伏せもしている。大丈夫かとは思うが…」


ーまぁ、いい。隠者に関係している可能性があったからね。


「隠者とは?」


ー私たちの敵だよん。絶対に勝たなきゃいけない相手だ。

精神の死角に隠れて攻撃してくる卑怯者さ。

ただし、殺してはならない。どうしても生け捕りにすること。


「特徴は?」


ー忘れちゃうんだよ。アイツに関することは殆ど。

だから厄介なんだ。これももうすでに説明した可能性まである。


「そんな力が…」

思わず息を飲んだ。

そんな奴一体どうやって対処するのだ。


ー心当たりは?


「無い…」


ーまぁいい。因みに私がいきなり賢人連盟に行こうとした場合も止めてね。

少なくともここ数日以内に。


「賢人連盟に? 何故?」


敵に止めを刺す前に彼と不思議な会話をしたのは覚えている。

しかし話し終わる前にルーベンがこちらに声をかけた。

突然の出来事だった。全く予想していなかった場所に突如現れた存在。


ピンク色の河馬の化け物。


生き物であるかどうかも怪しい存在。

体の表面は大理石のような質感。

3FAITHの背後にあったビルから出現して口を開けたかと思うと

特大の霊気のビーム砲を放った。


轟音


3fの体が一部蒸発。

一瞬で周囲に無数の光球が現れ破壊光線を河馬に放つ。

が、河馬は何処にもいない。

影も形も無くなってしまった。


瞬間。

ルーベンに3fが何か叫んだ。


ルーベンの背後に透明のナニカがいた。斧か剣かどちらか忘れてしまったが

手に持っていたそれで

背後から一刀両断にされかけたことを

ルーベンがその場にいなくなった後で認識した。

アスファルトの道路には巨大な亀裂。

そしてそのナニカも河馬のように居なくなった。


一瞬のスキをついてカドゥケウスと蛸人間が何か詠唱を完成させた。

杖を振るうとドレイクと生き残りの竜と騎士達が泡に包まれる。

さらにマンフリードも泡に包まれ奪還される。


ルーベンと共に阻止しようと全速力で向かうが、途中で

コートを着た謎の生物に阻まれる。ハットにスーツアルミ色の肌。

目や鼻は無く耳はあり、まるで人間とエイリアンを混ぜて作った人形。

人の形をしてはいるが

人間とは思えない奇怪な動きをする。


それは通常のエイリアンとは比較的ないほど強い。

口や左手から筒が出てきて強烈な散弾を放ち、

肩から外骨格に覆われた触手の槍を繰り出す。

指先からも槍の穂先からも霊気で出来た糸のようなものを出しそれを張り巡らせる。

恐ろしく頑丈かつ鋭い霊気で出来た糸。

これに邪魔されてカドゥケウス達の転移をまんまと成功させてしまう!


あっけにとられていると

ルーベンがコートの化け物を相手中に背後から見えない何かによって

肩を負傷させられてしまう。振り向きざまに英雄が刀を振るうが

もうそこには居ない。


見えない何かの時折見える姿。

一番よく見えて黒い何か、もしくは透明のモザイク。

ノイズが走っているようにも

消しゴムで消されているようにも見えたが、よく覚えていない。


3fは既に回復しており、そのナニカに襲い掛かる。

だが私には追いかけているその対象が何処にいるのか分からなかった。

あのカバや人形が何処に行ったのかも。

索敵に集中しようとすると…


3Fが動きを止めてこちらにやって来た。


「逃しちゃったかも。アイツ僕の破壊光線の射線上に君たちを置きまくってたね。

おかげでちょっと助けるのが遅れちゃった。殺されたりないらしい。」


「は? アレは一体… 何が起きたのかもわからなかった…」


「アレが「隠者」だよ。

覚えておくように、どうせ無理だろうけど。」


余りの出来事の連続に言葉を失った。

あれが隠者…

あの化け物達は? と聞こうとすると…


ーあ! まさか! アイツ!

ちょっと行ってくる!



慌てたような表情になり

3fはそれだけ言って何処へ転移してしまった。




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