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ダブルサイココライド2 ―Saga Of Hermitー  作者: KJK
9章 霊魂衝突ー 傀儡師と円卓の領主たち
62/111

4話  魔女、魔窟へ・幽霊の足音


魔女、魔窟へ向かう------


ルネー・リプリー

女帝魔女

勢力:WITCHERY


 


残骸都市 州都の中心

魔窟へと向かう。


魔女領を出ると死物が多くなってくる。

別に私の相手ではない。使い魔たちは別だ。

私の能力「模擬実験」は似たような相手と相対すればするほど、

情報が得られるほどに

圧倒的なアドバンテージを私にもたらす。

使い魔との契約など存在に干渉できる場合も。


ゴルフ場をかこっている堀に渡された橋を箒に乗り飛び越えていく。




誰かから教わった隠形もずいぶん極めたと思うけど。

その誰か…

チッ。

思わず舌打ちする。

あまり考えすぎると記憶から消えてしまう。

認識しようとするのも、良くない。


とりあえず、彼については放っておく。

そうしないと気がおかしくなってしまう。

脳に負担がかかる。

幾度となく記憶が消されて悪い影響が起きないはずがないのだ。


意識を違うほうへ向ける。

円卓の他の領主たち、運命のカード…

繋がりあった領土。


いくつかあった空席。

「愚者」がいなかった。「愚者」というヤツが必ずいるはず。

幻視で見た。愚者は円卓に現れず災厄への対処のための橋を

誰とも繋がなかった。何故だろう。

何か「隠者」以外に私の精神に干渉しようとした奴がいることは気付けた。


そして私が「隠者」に株を…

えーと、ANKHに株を分けたことで魔女領に入り込んだやつの記憶にも齟齬が起きた。

私に対しても何か忘れたはず。私の仲間…

記憶に残らない男。

ANKHに株を分けたことで私、もしくはWITCHERYにも影響が出た?

しかし私のことを忘れる仲間は出ていない。

ダメだ、また思考が巡って戻ってきてしまった。



一度溜息をついてから


「アルマ、もう一度お願い。」


何もない空間から霊魚が姿をあらわす。

アルマの思念が波紋を作り出し広がっていく。

思念の残骸を発見。思念の残骸は見つけた時は念入りにスキャンする。


私の模擬実験で思念を再構築。

殆ど失敗するがたまには成功する。

今回は成功!

そしてこの思念は重要だった!

この思念単体ではなく、他の思念と組み合わせた時に

重要になるパーツ。


やっぱり!

奴もだ! 奴も「隠者」について考えていると記憶がおかしくなるから

あまり接触したくないんだ! 出来るだけ考えないようにしている…

襲う計画を立てるのもキツイはず。計画は立てられない。

でもこいつ「愚者」にとって「隠者」は邪魔?

「愚者」は魔窟経由で何処かへ向かっている。

私にとって、「愚者」は敵、もしくは要注意。

「隠者」は仲間でいいんだよね? そのはずだ。

多分大丈夫…


この両者が敵対している。私はどうする?

……

今回はここまでにしておく。これ以上はわからない。

隠者に対して考えすぎは毒になる。




ふーむ。あとはネフィリムを作っていた組織。

深淵教団。ミネルヴァに偵察してもらっていたけれど。

派閥同士でやり合ってボロボロのようだった。


本流は解散。生き残りの幹部が「DEADMAN デッドマン」という勢力を発足。

これは大して大きくない。ただあの死霊術師がリーダーのようだ。

アイツは問題ない。十分すぎるほど私にアドバンテージがある。

お仲間の能力も少しは知れた。

黒い雨は厄介だけど、あとは別に。


摩天楼派という派閥。

思念の残骸から抗戦しているところを少し見れた。

あの空飛ぶ巨槍は強そうだったけど。アタシ的には相性は悪くない。

動物を連れていたヤツが少し厄介そうだった、それに秘密主義者過ぎて能力

が何も分からなかった。

今はこいつらは何をしているのか不明。


悪魔派という奴らはかなりピンチのようだったけど

意外なことにこの派閥が勢力争いで勝利した。

今は塔なるものを建設して

さらに版図拡大している。教団の中から円卓に唯一座ったのもこの派閥の長。


ANKHから白鴉が来たときに

返答を思念にして白鴉に持たせた。


その時聞かれたことも気になったので、私自らも 

「悪党」の勢力、救いの党を偵察に行くことに決めた。

同盟している

ANKHもQがここと戦争状態なのも知った。丁度いい。

場合によってはWITCHERYの敵になるかもしれない勢力の偵察。

塔というものがどの程度のものなのか、見て来よう。

 


 

@@



===サージ・アームストロング 


所属: 聖種・SACRED SPECIES  

狩猟奇兵団―ハンターコープス団長

ケンタウロス族 族長


雄種 ケンタウロス・ファントム


===



馬の蹄が土を蹴る音がする。

まだ昼間だというのにどんよりと暗い森の中。

ボカラボカラとテンポよく鳴っていた足音は速度を落とし

やがて立ち止まった。


黒く逞しい脚、

音を鳴らしていた蹄の主は異形であった。

下半身は馬のものではあったが上半身は人間の男。

歴戦の勇士のような顔つき。


それはギリシア神話で登場するケンタウロスのような見た目だが

本人の種としての自認は「ミュータント・オリジン」である。

正し、自らの一族はケンタウロス属と名付けている。

族でもあり、属でもあった。半獣のミュータントは全てここに属する。

ややこしいが彼からすればミュータント・オリジン自体が種でありながら

またケンタウロスというのも彼の種だった。


親はエリー・メイ。ミュータントになる前の親には興味がない。

名はサージ。姓は無いが、今はアームストロングと名乗っている。

対外的に、そして一族に継承させるため。

サージの種から生まれる

ケンタウロス属の子らは全て半人半獣であったが

似たような仲間もいる上、見た目も多様なので姓があると識別が楽になった。




「種の始まりの森」から霧を2つ、山を2つほど抜ける。


サージが森を駆けるとたった一人だけのはずなのに

鈍い足音は何重にもこだまする。

もしこの音を誰かが聞いたなら、

大勢の騎馬が進軍していると錯覚してしまうだろう。


指揮官であるサージは普段の毛皮のコートから、マントに

戦闘用の青灰色の鎧。

もう半身の馬の身体は黒と灰色の竜鳥の鱗で作られた防具。

武器も普段使いの斧と弓だけではなく特別な魔槍を携帯している。


そんな半人半馬の戦士の目が地面をせわしなく追っていた。

集めていたいくつかの痕跡がその場に映像を形作る。

その映像は一言で言うと奇妙。


サージの見立てでは対象の身長は158センチほど

恐らく男。推定した実の動かし方から年齢は若くない、まず老人。

身体能力は高く通常の人間ではない。

なるほどロビンを誘拐してもおかしくないような猛者なのはわかった。


しかしサージの「ハンターズヴィジョン―過去視」が掘り起こした映像には


身長180センチほどの男。ショートソードほどの斧、いや斧槍…

顔も映像化されたはずだが、集中力が途切れてしまった。

目を凝らすが、もう顔やいで立ちが影になってよく見れなくなる。

イメージ自体酷くぼやける。モザイクにノイズが走っているようだった。

過去視で浮かび上がる映像としては近いものは見たことがあるが、これは奇妙だった。

こんなことは過去になかった。


何を考えていたのだったか。

頭を左右に軽く振った。

また思考を始める。なんの映像だっただとうか。ああノイズが走っていたのだった。

痕跡が足りなかったか?

ん? いや全然違うかもしれない。突然記憶が混乱した。

再度頭を振る。

気を取り直して映像を再構築。

漸く自身が創造した通りの老人の像が浮かび上がって来た。

身長も体つきもターゲットは見立て通り。

映像を見続けていると老人はリュックから何かを取り出す。


「ふむ、こいつ何をしている?」


鏡を取り出してポーズをとり始めた。今度は自撮りをしだす。

その後は手帳を取り出して何やら書きこんでいた。

しばらくして満足したのか、移動を再開。




これだけではまだどのようにロビンを誘拐したのかがわからない。

痕跡をたどった結果。ロビンは奴と共にいるはずだが…

もし一緒にいないならどうやって、誰に受け渡したのか。


ロビンは必ず取り戻す。

そして見せしめと報復は徹底的にやる。

この老人は恐らく単独犯ではない。何処かのグループに属しているはず。

どの勢力がミュータント・オリジンに、「聖なる種」に宣戦布告したのか

調べなければならない。そのためにわざわざ来ているのだ。




森の中で老人が通ったポータルを抜けると

そこは廃墟の中であった。





=======



サージ・アームストロング

幽霊人馬


廃墟の外から瘴気。

取り込まないほうがいい類の、有害な霊気のことを

主に瘴気と仲間内ではそう呼んでいる。

触れても死にはしないが、多少の害はある。

瘴気があるということは何かそれを発生させている原因があるということ。


「ここからはもう少し慎重に行くか…」


サージが呟くと同時に

半人半馬の体躯が忽然とその場から姿を消した。

まるで世界から消失したかのようだった。

廃墟の中に吹いた風が枯れ葉を拾い、まるで透明な何かなどいないという証拠のように

人馬が今の今までいた場所をするりと通り抜けさせた。


存在が消えた。

ただ「足音」だけが残っていた。


普段よりも鈍い足音だけが微かに廃墟に響く。

それは一匹の幽霊馬が廃墟を進んでいるようでもあったし、

その音は時折数十以上の騎馬がゆっくりと行進するようでもあった。


廃墟の外に足音が出る。

足音の目が捉えた痕跡は瘴気によって消えていた。

しかし大体の方向はまだ分かっているというように。

瘴気の他に、漂っていた霧を避けるようにして幽霊馬の足音は進んでいく。

足跡や痕跡は足音が通り過ぎると共に消えていった。


魔物の数が多い。以前は人でにぎわっていたであろうこの都市も

今はさながら魔窟であった。


路面電車が破壊されアスファルトに横向きで転がっている。

近くにはぼんやりとしているカエルの魔物。これも見たことのない種。

人間の子供ほどのサイズで、街中にある公共のゴミ箱と同じくらい大きい。

そのカエルの向こうに大きな駅が見えていた。




プラットホーム入口の改札の一部が吹き飛んでいる。

強烈な破壊の痕。


「足音」は過去視による映像を見る。

中々強そうな魔物だった。

足音はそれを見たことがなかったが。

河馬のような体躯のエイリアン…

それが狼魔獣の群れに襲撃され戦闘していた。


「この河馬は強そうだが、魔窟の狼達は異様なほど強いな。

ちゃんと渡り合っている。」


狼達のチームワークに

足音は思わず感嘆する。



ブシャッ


目を映像から離す。

路面電車付近にいたカエルの魔物が体から血を流して死んだ。

いつの間にか気の強そうな女が一角獣と共にカエルの横に立っていた。

禍々しい瘴気を放つ一角獣の角にかすかに光が灯っている。



(この一角獣が瘴気の原因か… それにこの女は何者だ?)


女がユニコーンの鬣を撫でると、魔獣が駆け出す。

駅の近くを流れている河川にかかっている橋に猿魔獣の群れ。


一角獣はどうやら橋の手すりの上で屯している群れに狙いを定めたようだった。

群れまで高速で距離を詰める、と角が明滅する。

螺旋状にねじれた角の周りから風と振動が起こる。

それが電流を纏った花吹雪のようなものになり猿たちに降り注いだ。

狙われた魔獣達は一瞬声を上げるがすぐに苦悶の表情になり、痙攣しながら

絶命した。


(まるで毒の電気… 死に至らせるまでの時間も速い。アレには気を付けるか。)


!!


橋とは反対方向の交差点の方で轟音。

信号機斜めの教会周りの煉瓦が破壊され土煙をあげた。


河馬のようなエイリアンが狼を数匹追いたてるように駆けて行った。

狼は逃げながらも河馬を翻弄しているかのような余裕があった。


足音はこの狼達に興味が湧いてきた。

この狼達はどうやってこの強力な格上の魔物と戦っているのか。



追われている狼達は身体から微かに黒い粒子を放出している。

黒い霧のようなものが体の周りに纏わりついているだけだが。

足音には

それを河馬に追われながらも擦り付けているように見えた。


駆けながら狼が一体河馬に刺客から近づくと、河馬が反応して避けようとする。

河馬の持久力のようなものが削られていくようであった。

相手のスタミナを大きく消費させる特殊な霊気による狩り。

スタミナが消費させられた瞬間に狼に噛みつかれると河馬は

上手く反応も反撃もできなくなるようだった。


河馬は狼達に逆に追われ始めたところで、川に飛び込んでいく。

川沿いの道からそれを狼魔獣達が追いかけていった。




橋の方へ眼を戻すといつの間にか一角獣の瘴気が祓われている。

何が起きたのか。そしてその横に悠然と存在していた

不思議なものを見て足音は首を傾げた。


「何だ? あの魔獣は…」


一角獣(ユニコーン)の前に巨大なキリンの魔獣。

見た目は通常のキリンと似ていたが、所々知っているキリンとも違った。

その魔獣の存在感は今まで魔窟でみたものとは一線を画していた。

あの河馬よりもさらに位階が上の魔物。それがまるで保護者のように

灰色のユニコーンの傍に立つ。


毛皮は白く、キリン特有の模様はある。

角はキリンというより鹿の枝角のように立派。

背中から、長い背骨のような触手が2本揺れ動いている。

胸の前あたりの毛が多い。体躯は普通のキリンというには大きすぎた。

もし一般的な動物のキリンがコレの横に並べば幼体にみえてしまうだろう。



姿かたちが若干普通の動物と違うが、

自分たちのようなミュータントではないことはわかる。

力を得て成長していくうちに個性化したのかもしれない。

心の中で「枝角」(アントラー)とサージは名付けた。

 


結局灰色の一角獣はこの伝説的な存在感を放つキリンと共に

何処かへと去っていった。

あの時一緒にいた女はいなかった。一体何処へ消えたのだろうか。


痕跡をたどることに集中する。

しようとするが、うまくいかない。

瘴気が邪魔して痕跡が余り残っていないのだ。



付近を足音が徘徊し手掛かりをさがす。


それでもなお探索、するといくつかの手掛かり。

誘拐犯の痕跡かは確信が持てなかったが、人間の匂い。

そして霊気の足痕。2つ。相当な手練れ。


能力者がここに二人いたか…

争っていた? まるでヘンゼルとグレーテルのまいたパンくずをついばむ鳥のように

痕跡につられるように西へ移動していく。



州立図書館から一ブロック以上手前。

瓦礫の山、残骸。

何か恐ろしい怪獣が戦ったような痕跡があった。


「これは… 今、辿っている能力者達か?」


朽ちたビルの壁に真新しい死体…


坊主に眼鏡、体中穴だらけにされ

電線や、コードが手足に絡まっている。

絶命している男の死体。

まるで糸が切れた人形のように事切れていた。




足音の主。

幽霊人馬は何処かでこの男を見たような気がしたが、

そのこと自体直ぐに忘れてしまった。


集まって来た痕跡が映像を構築し始める。

足音は過去視に意識を移した。







サージ・アームストロング

ミュータント・オリジン  

ケンタウロス属  雄種:ケンタウロス・ファントム 


(流星の加護)

型  追跡者

サブ  ハンター

追跡者の呼吸 ハンターズヴィジョン(狩猟対象の痕跡から発動する過去視) 

半身半疑(半身のみ変身)

幽霊人馬の呼吸 消失する時間―バンクシータイム

魔弓召喚 矢の雨  馬鹿には見えない矢 馬鹿にしか見えない矢 

悪魔の左手


NEW ジャガー・オークより 半人半獣同士での連携UP

レオパルト・メープルより  消失する時間の強化=バニッシュタイム対象拡大

豹カエデ=スキル派生、発現かスキル強化の実。

 

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