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ダブルサイココライド2 ―Saga Of Hermitー  作者: KJK
4章 Mayhem City  傀儡師と悪魔女史とネズミ捕り
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2話


綺麗な黒髪。少し明るめの茶色の眼は大きく。

真っ直ぐにこちらを見ている。

黒縁眼鏡に髪は後ろに纏めている。

真面目そうだがカリスマも感じる雰囲気に彫刻のように整った顔立ち。

背は高く170半ば近く。体型は、神は彼女に全て与えたもうた。という感じ。

理想的な、というのを超えて恵まれたような身体は骨格まで美しい。


かわいいというよりは綺麗とか端正と言う感じか。

いや、第一印象はカッコイイかもしれない。


凝視するような目つきで俺を見ている。


……


沈黙が場を支配する。


「おい、何か言うことはないか?」

「……」


―おい、何かヒントをくれ。誰だこの女。


「あ、マチルダさん。そいつ常識にうとい奴で…」

「チッ、早くそう言え! お前明らかに霊気が平均以上にあるだろう。

優秀な傭兵は私に連絡すればより良い条件で契約してやるから、自薦でもいいから来いと毎度言っているんだが…」


「……知りませんでした。」


「はぁ、まぁいい。それで、テストは受ける気はあるに決まっているよな?」

「ああ、はい。」


ではついて来てくれ、とだけ言って女は歩き出した。

え? テストってなんだよ。と言えないでいる内に

道路を渡って駅のほうへ。


スーツの女の後ろ姿を追いかけるようについていく。

高身長ですごい体つきだ。

トップアスリートやビキニモデルでもこの女の横では霞んでしまうだろう。

遺伝子プールの宝くじで一等でも当選したに違いないなかった。


駅のアーケードに入り、ヒッピーが経営してそうなハンバーガー屋を通り過ぎたときに

お前がテストに合格したらあとでここに来るからな? 

とハンバーガー屋を指差して言った。


「えーと、奢ってくれるんですか?」

と言うと

「じゃあ、合格したらな?」

何を言ってるんだこいつは?

という顔をしてマチルダが言った。

 

そのまま足を止めずにまっすぐ進むと、

屋台がいくつかだけある人気のない通りがある、

が行き止まりになっている。


「ここだぞ。」

マチルダがもっとこっちへ来いとばかりに手招きする。

行き止まりの木製のフェンスの壁の一部が一か所ドアのようになっており、

カギを差し込んで扉を開けた。


促されるままに足を踏み入れた。

フェンスの向こうはベージュ色の住宅が立ち並んでいた。


タウンハウスとか呼ぶのだろうか、呼称がわからない。

フェンスから敷地内に入ると広い土地に7、8件くらいの同じような外観の家が建っていた。

家も、道もベージュ色。マチルダがこっちだぞと、

中央にある家屋に入るとリビングに通され座って待っているように言われる。


「あとでまた来る、試験官の言うことに従えばいい。」


試験官? 

マチルダが去ってから居心地悪さを感じながら待っていると

しばらくして玄関のドアが開く音がした。


紳士然とした色白の東アジア系の男がリビングに入って来た。

白いワイシャツに黒いパンツ。よく磨かれた革靴。

ネクタイを直しながら挨拶をしてくる。

姿勢が良くテキパキとした所作が印象的な男。


「はい、どうも。悪魔派教団の契約試験官のスタンと申します。」

「……ジョンです。」


「初めまして。あー、それと初めてですよね? 緊張なさらないで。」

「はい初めまして、はい、それと初めてです…」


「えーと、ではジョンさん。

私の手のひらにあなたの手のひらを合わせてもらってよろしいですか? 」


言われるままに手を合わせる。こそばゆい。

少し霊気が押されるような感覚も来た。


「ふむ、明らかにマナの保有量が多そうですね。」

「わかるんですか?」

「殆ど分かりませんが、私のマナがそちらには通っていかない程度にはあるのはわかります。」


試験官は続けて


「試験はいたって簡単です、いくつかありますが。

とりあえず私の手を握りつぶすつもりで握ってもらってよろしいでしょうか?」

「握りつぶすつもりで?」

「はい、とっととやっちゃいましょう。」


そういってスタンが握手するように手を差し出してくる。

手を握り少しだけ力を強める。


「96、105くらい? もう少しいけませんか?」

あったばかりの試験管は困ったような顔を見せる。

握力を測っているのか?

もう少し力を入れてみる。


「145,175、260。 あ、そのくらいはできるんですね。もっといけます? 

本当にもっと強くしてよいので。」


「じゃあ。」

「340、530,780、1440。 

あ! もっとお願いします! 全然、もっともっと全力でマナも込めて! 一気に!」


「じゃあ。」

といって力を上げると

次の瞬間スタンの手が手の甲から千切れ落ちた。


「うおぉ! 痛い! ごめんなさい! ここまでと思わなかったですね。」


慌てたようにスタンが自分のもげた手の部位を拾い元の場所にあてがう。

急ぎ足でキッチンにいってガーゼと包帯を取り出して応急処置を施している。


「あの……」

「僕は再生能力少しある程度なので。全治1週間はかかります、これは。」

「はい、すいません。大丈夫ですか? 何と言えばいいか…」

「あ、いいえ。こちらがお願いしたことなので気にしないでくださいね。

とりあえず、これだけ力があるならえーと消費・発散系統かな? 兎に角優秀です。大丈夫ですね。一次試験はもう合格です。」

「系統とは何ですか?」


「あー、受け売りなのであまり詳しくはないんですがマナのエネルギーをどう使うのが得意なのか

とかを見ると色々捗るらしいんです。私の場合は人材を見るときや、自身の鍛錬時に役立てています。」


---消費、発散系は瞬間的にマナエネルギーを使うのが得意です。

アドリブも得意。ため込むのは苦手。

ほら、昔のドラマでよく不良とかにそんなにエネルギー有り余っているなら

スポーツに撃ち込め!とか教師が言って…

そうしたら素行が良くなったとかはこの消費・発散系の気がある子には良いアドバイスなのかも。


「他には?」


---他には維持、保存系統。

エネルギーを維持すること、保管することが得意。

射程が長かったりですね。変化・転化が苦手です。

私もこの系統。


それ以外は、先ほど例に出た変化・転化系統や創造・変質系統などがあります。

創造・変質はレアです。

と言っても力に目覚めた人間で系統分けできるほどの実力者自体がレアですが。


これ以上はあまり知らないんです、お恥ずかしい限りですが。


「いえ、ありがとうございます。ちなみに合格するとどうなるんですか?」

「まぁ、給料に配給や家などがもらえたりとかですね。契約次第でもありますが。

えーと日常的な業務ともう少し特殊なものどちらを希望ですか?」


「特殊なものとは?」

「まぁ、エリート傭兵部隊に編入していただいてそこで依頼をこなしてもらったり、

あとは教団の幹部などと共同で任務をこなしていただいたり。

さっきのマチルダさんも護衛を募集してたり。彼女の護衛はトップクラスの人材しか出来ません。意味がないので。」

「報酬や、割がいいのは?」

「まぁ、彼女の護衛とかはこの中ではそれに当てはまるかもしれませんね…

ただ二次試験を合格しないとなれませんよ? やってみます?」


「はい、じゃあせっかくだから…」


では試験を続行しましょう。

と言って家の外に出るように促される。


スタンが端末で誰かと連絡を取っている。

終わると端末を家の塀の上に置いた。


誰か来るのかと思いきや、

俺より頭一つ分背の低い試験官はネクタイを外して無造作にポケットにしまった。

目の前の真面目そうな男の纏う霊気が研ぎ澄まされていく。

綺麗に七三に分けられた髪を整えるように一度撫でつけてから

こちらを振り返って左手を前に出して、クイクイと4本の指を動かす。


「お待たせしました、かかってきてください。」


かかってこいと言われてもと戸惑っていると、

一気に距離をつめてきたスタンが左手で俺の胸を突こうとする。

間一髪で避けるも纏わりつくように動き回りながら拳を放ってくる。


やはり、こいつ常人を超えた強さ。

さっき酒場にいた傭兵たちのレベルじゃない。


「回避能力は『優』以上です。

でも回避だけじゃなくて本気で来てくださいね? もっとですよ。」


足に霊気を集中させたのが見えた。

今までより断然速いスピードでの突き。

立ち回りは中国拳法とフェンシングを彷彿とさせる。

クロスカウンターぎみに顔面にパンチを叩きこもうとした時、嫌な予感がした。


自身の攻撃イメージに逆らい左手の突きを掴んでそのまま背負い投げをする。

地面に叩きつけた瞬間。スタンの体の霊気が一気に増幅して

爆発的な力と速さで俺の手を振りほどいて距離を取る。

が、相手がバックステップした瞬間にはこちらも距離を開けさせないように踏み込んでいた。

霊気を纏わせた掌底を腹に叩きこむ。衝撃と共にスタンの肉体に霊気の波が到達。

内臓まで確実に揺らした手応え。


口から血反吐を吐いて壁に叩きつけられたようにぶつかった時

スタンが降参するように手を挙げた。


「ゴフッ… 痛い、また全治2週間プラスです…」

「はい、大丈夫ですか?」

「気、気にしないで下いね、こちらがお願いしたことなので…」

「はい、すいません。」

「いえ、こちらこそ… 2次試験をうっかり飛ばして3次試験をやってしまうヘマも犯してしまいました、気になさらずに…」


……



バランス感覚が欠如している試験官に肩を貸し起き上がらせる。


「ありがとう、そこの家の門まで連れて行ってくれますか?」

「はい。門でなにを?」

「そこで寄りかかってマチルダさんを待ってましょう。」

「なるほど。」


2人で家の前で座り込んでボーっとする。

今何時だ? 時計の針が動いてない。

壊れてしまったかもしれない。


「ほぉ、良い時計ですね。趣味がいい。好きなんですか?」

「わかりません。あんまり詳しくないんです。時間を見ようと思ったら…」

「ああ、なるほど。1時34分です。」

「ありがとうございます。」

「敬語じゃなくていいですよ。ここでは力が正義です。

いや正義はダメですが。まぁそういうことです。」

「じゃあ、そうさせてもらう。ありがとう。」




日向ぼっこするように血まみれのワイシャツを着た試験官と話していると

マチルダが例の扉を開けて歩いて来る。

無表情で相変わらずの鉄仮面だ。

家の門にもたれ掛かって座っていたスタンが左手を軽く振る。


「血まみれでどうした? 試験で何か起きたのか?」

「いえ、大したことじゃないです。それより合格です。3次試験までやりましたが、この通り。マチルダさんの護衛に推薦します。」

「3次もか? スタン、お前負けたのか?」

「面目ない。でも今まででトップ3に入る逸材なのは保証します。全治4週間かかるかもしれません。」

「まぁ、お前に勝てるならそうだろうな。」


こちらを興奮したように凝視しつつも意外でもあったというような顔で見てくる。


「そうか、まぁいい。お前の名前を聞いてもいいか?」

「えーと…」

「名前が言えないのか? 強い奴は名前を言えた方がいいぞ。」

「ジョン、ジョン・スミス…」

「よろしくジョン・スミス、私は悪魔派幹部の一人マチルダ。 悪魔女史マチルダだ。

このままついて来てくれ。」

「スタン、お前は?」

「大丈夫です、ここでまだ仕事があるので。」



 

スタン・リー・ジャン

タイプ 武芸騎士 Lv4

教師の呼吸  蛇拳 後の先2・0(カウンター補正) 鍛錬補正    

呼吸法(回復) 鉄壁の構え

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