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ダブルサイココライド2 ―Saga Of Hermitー  作者: KJK
4章 Mayhem City  傀儡師と悪魔女史とネズミ捕り
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1話


悪魔派 教団都市 メイヘムシティ

南荒野方面 ポータル



太陽が高い。

燦燦と日が照りつけてきている。

岩石砂漠のような場所に出た。

周囲を見渡す。



----幻視 

XXX



何かと目が合った。

俺? 俺自身と一体どうやって目が合うんだ。

一瞬混乱する。目の前には鳥型傀儡。

ああ、傀儡の目を使って自分自身と目が合ったのか……

居心地が悪くなって鳥型傀儡から目を逸らす。


ビュンという風切り音。

その時遠くから何かが飛んできた。

何だ、銃弾? 弾?


何かが攻撃を仕掛けてきている。

ヒト型エイリアンが遠くに見えた。

この場を離れる。


----幻視

XXX


頭にノイズのような何かが流れた。

近くにあった何かとの接続が切れた?

自分でも何を言ってるのかわからない。


ここで混乱していてもしょうがないと

赤い岩がむき出すように連なる岩石砂漠を進んでいく。

暑さは気にならない、それより精神疲労を感じていた。

岩山の影の方へと向かって歩いていき身を隠す。


岩影で休んでいると少し意識が鮮明になり始めた。

頭の中を空っぽにしてボーっとしていると

いつの間にか自然と瞑想していた。


自分が周囲に溶け込んでいくような感覚…

周囲の霊気が動いた気がした。

近くまで人間が来ていた。


ふいに目の前に人間が歩いてきて止まった。

携帯のような端末を取り出して操作している。


俺に気づいていないようだ。

ああ、隠形を使ってたからか。


眼を凝らすと僅かではあるが

目の前の男の体からは霊気が出ていた。

こいつも能力者か?



「ああ、敵の男は確かにポータルを通ってここに来る可能性が高い。

坊主に黒縁の眼鏡。身長は…

カルロ様とアイン様を両方相手にできるほど強いらしい。アイン様は死亡。カルロ様は重傷。

見つけ次第場所だけ報告しろ。殺しても構わんがまず無理だろう。」


誰かと敵対した覚えはないけどな。

 

そうだ。記憶がないんだった。

岩山を周回するように進んでいくと舗装された道路が見えた。

建物が一つぽつんとあり、その前に車が止まっている。


隠形を解いて歩いていき

目の前の車のドアに手を掛ける。

カギは開いていた。


「おい、誰だ!」

「あ、すいません。」

「誰だ、お前。」

戦闘服とマントを羽織った男が訪ねてくる。

先ほどの男とは少し戦闘服が違う。


「いや、道に迷ってしまって。」

「バカだろ? お前。」


兵士風の男は銃を取り出してこちらに発砲した。


「どこいった?」


透明になって横で観察する。

携帯らしき端末を取り出してどこかへ連絡しようとしている。

端末も少し違う。色々な種類があるのか。


左手から煌めく糸を出し

男の頭に刺すと動きが止まった。まるで機能停止した人形だった。

動かない男の手から端末を取り上げて小石と交換する。


―今、報告しようとしたことを小石に向かって言え。


「ああ、えーと。えーと不審な人間を発見。メイヘムの住人かもしれんが殺そうとした瞬間にどこかへ消えた。能力者の可能性が高い。応援を頼む。」


―外見は?

「見た目は良くわからなかった。俺と似たような格好だったかもしれん。顔もよく見えなかった。」


ー違う服装の戦闘服の兵士は何だ?

「教団兵。俺ハ、傭兵。教団兵の方が位も戦闘力も高イ。」

ー例外は?

「アル。」


―メイヘムとは?

「こ、ココから最寄りの町、教団の悪魔派が裏から支配シテイル。」


―何故裏から?

「シラナイ、ソノホウが反抗サレニクイノカモ。」


―教団か、そこが俺と敵対しているのか?

「アナタヲ、が認識デキません、オレとは誰ですか? ダレノコオトデスカ。」


―なるほど。今から特徴を教える。そいつについて教えろ。

そして俺とお前の接続が切れた時、

今あったこと全て忘れろ。


その後やり取りをして。

傀儡糸を頭から抜いてやると、兵士はしばらくぼーっとしていた。

糸は繋がずに言うことを聞くか試してみると

兵士は素直に従った。



---幻視

精神浸食 半傀儡 


脳裏に映像なのか言葉なのか判別しにくいイメージが湧いてきた。

精神浸食と傀儡化率か…


車の中にあった傭兵の戦闘服に着替えて

枯草色のポンチョを羽織る。紺のポンチョもあったので

それもハンカチに仕舞っておく。

キャップもついでに貰い深く被る。


半傀儡と共に車で道を真っすぐに進んでいく。

ずっと続く一本道だった。

最初見えた少しだけ見えていた砂丘などはもうどこにもない。

ひたすらに続く赤い荒野を走る。

霧がたまに立ち込めたが道は安全なようだった。


1時間ほど進んでいくと

町が見えてきた。思った以上に栄えている。

規模も「Q」よりも大きい。


半傀儡を開放。何事もなかったように生活していろと伝える。


道路標識の横に建てられた看板にはメイヘムシティと書かれていた。

砂漠ポータルから出て車で1時間半ほど

真っすぐにいったところにある町。


酒場の近くで降ろしてもらって街を見て回る。

店もいろいろとある。

酒場にホテル、リサイクルショップに床屋に

ミュージカルまでやっているようだ。


道ももちゃんと舗装されているし、砂埃なども気にならない。

道行く人間は戦闘服を着た兵士風の男が多い。

微妙に服装が違い、教団兵のほうが戦闘服が統一されていて目を引きやすい。

傭兵はそれぞれ自前の戦闘服なのか服装が違う奴がいる。

戦闘服を売っている店に何種類かあるのだろう。駅前の服屋のショーウインドウ越しに

戦闘服が見えた。そこでも売っているのか。

教団兵の戦闘服は見えない。支給されるものなのだろう。


駅らしきものもある。電車は見えないが運行はしていないよな?

駅の入り口付近にはアーケードがあって飲食店や服屋も営業している。


そのメイヘム中央駅入り口の向かいの酒場に入っていくと

客の入りはまばらだが真昼間から飲んでいる奴らがチラホラといた。

もっと情報が欲しいな。ここからどうしようか。

溜め息を吐いてから酒場のウェイトレスに1人だと伝えると…


「あー、あなた傭兵さんね。悪いけど相席でいい? そこの大きなテーブル。」

「それでいい。」

服装を一瞥されてそう言われた。

テーブルはいくつも空いているが傭兵だからか? 

予約済みのプレートなどがテーブルにあるわけでも無い。

常に一定数優先順位の高い客に開けているのかもしれなかった。

教団兵の方がこの街では優先されるのかも。


テーブルに通されると他にも俺と似たような恰好の奴ら、恐らくこいつらも傭兵。

8人掛けのテーブルに俺を含めて6人。

俺が通されるまで少し会話していたが、

俺がテーブルに近づくとぴたりと会話が無くなった。


同じテーブルに座っている傭兵の一人に傀儡糸を刺す。


―会話を再開しろ、普段通りの会話でいい。それとあまり俺に気を使いすぎないように。

自然にふるまえ。


男が傭兵仲間と話し出すと空気がもとに戻り始めた。

そのうち傭兵たちの一人がこちらに話しかけてきた。


「おい、アンタも今度の集会にいくんだろ?」

「集会?」

「集会知ってるだろ?」


―教えろ、なんのことだ。


「ほら、教団の悪魔派の儀式とか式典みたいなやつだよ。

選び抜かれた優秀な奴のみ参加できるってやつ。それの選定。」

「ああ、なるほど。」

「みんな知ってることだろ?」

「みんなが知っていることを知らない時、結構あるんだ。」

「ほんとか? まぁそんなこと誰でもあるか。」


―カバーしろ。


「わかるよ、俺も前外国で暮らしたとき、みんな知ってること良く知らないことあったもんな。あとおしゃべりなダチと縁を切ったときとかもな。」

「うるせー、おしゃべりなダチって俺みたいな奴のことだろ。 ま、でもそんなもんかもな。

アンタも友達少なさそうだもんな。納得したよ。」


―……お前らが色々教えてやると提案しろ。


傭兵たちの中になんとか紛れ込むことに成功。

こいつらと行動し始めてもいいかもしれない。


情報収集を続けていると、

入口のドアが音を立てて開き

背の高いスーツ姿の美女が歩いてきて 

俺の前で立ち止まって何か言いたげな目で見てくる。





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