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年明けに結納品を高杉家に納めた。
大袈裟にはしないことでお互い一致し、仲人は立てず本人達と両親のみで行った。
心優の振袖姿は可愛いかった。赤地に古典柄の華やかな振袖は清水家からお祝いとして贈られた。
その後すぐに学校は自由登校になり、インフルエンザや感染症が流行る季節なのもあり心優は自宅でのんびり過ごした。
冬なのにあまり熱が出ることもなく、母とお菓子を作ったり料理を習ったりビーズでアクセサリーを作ったり刺繍をしたり…
時折、進路の決まった友達が訪ねてくれたりで、まったりと時は流れた。
そして卒業式。
学生生活も制服を着るのも最後かと思うと感慨深いものがある。幼稚園から15年、何度も入院したし何かと休みがちだった心優はどこか遠慮がちだったが、皆慣れたものですぐに何もなかったかのように仲間に入れてくれ普通に接してくれた。
長い間同じ時、空間を共にした仲間達とバラバラになってしまうのは寂しい。何の約束もなく、ただそこに行けば会えることはもうない。
粛々と進む式の間、一人一人が卒業証書を受け取るのを思い出と一緒に見守る。ここで過ごせて良かった。素直に皆に感謝出来た。
そして夜には卒業パーティーが華やかに催された。
先生方職員と卒業生とその家族そしてパートナーが参加可能だ。
両親公認であれば彼氏恋人が同伴するが、たいていの場合は兄弟や従兄弟親類知人でちょっとした社交場となっていた。
当然ながら身元を記入した保護者の署名捺印入り事前の申請が必要で希望者も多いがそうそう簡単に招待状はもらえない。
ありていに言えば青田買いのお見合いパーティーみたいなもので、良妻賢母を謳う学園として色々と練られた伝統的な催しであった。ここで婚約発表をする卒業生も少なくない。
紀井家高杉家双方どこかで婚約発表の御披露目は必要なので、自前で開催するより学園に乗っかることにした。
もちろん心優は恥ずかしいからと抗議したものの、聞き入れてもらえるはずもなく渋々了承したのだった。
そもそも、良介と麻子の出逢いもこの卒業パーティーだった。そんなお見合いパーティーみたいな場で心優をフリーのように見せる必要は無いと考える篤と良介の結束は固い。
地元政財界を動かす面々の子女が多く通うこの学園の卒業パーティーで発表すれば噂はあっという間に広がる。その後はまだ未成年の心優が敢えて他のパーティーに出る必要もない。
卒業式後は一旦帰宅し、麻子の知人の美容師がヘアメイクをしてくれた。
元々美少女だったが、メイク後は心優自身が別人じゃないかしらと思うくらい美しく変身。
華奢で儚げな面立ちはまるで妖精のようだった。
ドレスは一つ一つ手作りの薔薇の布花が全体についた濃いピンクのワンピース。元々華奢なので薔薇の布花でボリュームアップしたところで堪えない。薔薇の布花の花冠を乗せれば可憐な花の妖精といったところだ。
用意が出来たところで写真館に向かい撮影。そこに篤も合流して家族写真の後で一緒に撮ってもらった。
「可愛い、可愛い」
を連発する篤に照れながら、会場となるホテルに向かった。
いよいよだ……
ドキドキ…が止まらない。




