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お読みくださりありがとうございます。

毎夜1話ずつ更新していましたが、昨日全部で6話更新しています。最新話から入られた方はご確認くださいませ。

 篤と高杉家で相談の上、ゴールデンウィークに教会と披露宴会場は押さえた。まだ先のことなのでさしあたって特にすることもなく日々は過ぎていった。


 新居をどうしようかと、篤が色々な物件を回っていたある日のこと、心優から連絡がきた。


『自宅の改装工事が始まりました。

 ごめんなさい、気付かなくて……

 どうしよう…』


 あの、クソタヌキ……やはり勝手に動いたか……


 そんな予感はあった。多分おそらくきっとやるだろうと……


 自分の実家での同居は当然ながら欠片も考えていなかった。だが、出来たら二人だけの誰にも邪魔されない空間が欲しい。同居なんて落ち着かない。


 平日は夜遅くなることが多いし泊まりも出張もある。心優を一人自宅においておくのも不安はあった。

 ならせめて今住んでいるマンションをキープしておくべきか……

 それなら週末はそちらで二人きりで過ごせる。

 いずれは庭付き一戸建てだって考えている。


 棗の指導のもと大学時代から地道に資産は増やしている。それこそ婚約指輪に大金をつぎ込んだところでびくともしないくらいには。新居だって建てられないことはない。

 だが、実家のこともあるから普段地味に大学病院の下っ端医師をやっている自分がいきなり新居というのもなぁ〜………


 ここは折れて甘えて下手に出て、様子を見て出て行くか……

 だが、いずれはあの家も心優のものになるわけだし、どうしたものか……


 とにかく多忙で身動き取れず、週末高杉家へ出向いてみれば想像よりもかなり大がかりな工事が行われていた。

 良介は不在だったが、麻子が申し訳なさそうに迎えてくれる。


「篤さん、本当にごめんなさい。

 本来ならあなたとそちらのご両親にも承諾を得てからすべきことだと思うんですけど………

 なにぶん、心優のこととなると見境がなくなってしまって……

 あの人の中では、ここで娘夫婦と同居は最早決定事項なんです。

 婿養子に来てくれとは言いませんから、妥協案として考えていただけないでしょうか?」


 これはもう大喧嘩をしたとしても、いろいろ難しいだろう。揉めたら揉めた分、心優が板挟みになって可哀想だ。

 だったらこちらも主張すべきところは主張しても良いよな……


「わかりました。

 でしたら、平日と僕が出張で留守の時はこちらで。

 週末は僕のマンションで二人で過ごすので良いでしょうか?」

「ありがとう、篤さん」

「いえ、でしたら早速今日これから心優さんを僕のマンションに連れて行きます」

「「えっ……」」


 これには麻子と心優二人とも驚いた。篤がにやりと笑う。


「これくらいの意趣返しはお許しください。無茶はしませんから」


 麻子はつられてにやりと頷いたが、心優は慌てた。


「篤さん、そんな急に言われても……」


「心優、大丈夫よ。一泊分の着替えを用意して来なさい。

 勝手なことばかりやるお父さんを少し驚かせて慌てさせるだけだから。

 決まったんだから、さっさと用意していらっしゃい」


 心優が出て行くのを待って、使用人に料理を詰めるように指示すると、篤に向き合う。


「篤さん、心優のこと、よろしくお願いいたします」

「はい。お任せください」


 こうして、心優を連れ出すことに成功した。

 こうなれば、あとは毎週泊まり掛けで来れるようにしてしまおうと一人ほくそ笑む。

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