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43/43

わたし達の作戦開始

43話 わたし達の作戦開始


 次の休日……


 カーテンの隙間から日光が差し込む寮部屋。

 寝息の中にドアを叩く音が聞こえる。

 

 コンコンコン……


 一体の精霊がキラキラ飛び回る。

 

「エリッタ!起きなさい!誰か来たわよ!」

「……」

「エリッタ!」

 ベッドの中が少し動く。

 

「……あと5ふんー」

 

「なに言ってんの!誰かきてるって言ってるでしょ!」

 むにゃむにゃしながら起き上がる。

 

「……おはようですわ。アクア。」

 目を擦る

 ボサボサの王族。

 

 コンコンコン……

 

「……はーい!いま行きますわー!」


 2段ベッドの上の段から元気な返事。


 ドドドドドン!

 足音も元気そう。

 

 もう朝なの……

 

 ガチャ……

 

「……おはようございます。エリッタ」


「おやハルさん!おはようございます。休日に珍しいですわね!」

「……クウキさんいますか?」

 

「少し待ちますの!クウキさーん起きてくださーい!」


 エリッタの声は寝起きに刺さる。

「クウキさーん!」

 ゆすらないで。

 

「……あと2じかんー」

「あっ、それもうやりましたわ!」


「あっ……ごめん。」


 髪を整えながら扉に向かう。


「おはようございます。クウキさん!」

「……おはようハル。こんな朝早くどうしたの?」


「前に王都観光したいと言っていたのを思い出しまして。ギルド依頼で忙しくなる前にどうですか?」

「……今日?」

「ご都合が悪いですか?」


「実はルーアと……」

「ルーアならアリージュが処理……あっ、アリージュと修行するって言ってました。」


 処理……?

「えっ、ルーア大丈夫?」

「大丈夫です!」

 満面の笑み。

「ならいいけど……」


「話は聞かせてもらいましたわ!クウキさんに王都案内、私も混ぜてもらいますわ!」

「ちょっとなに言ってんのよ!エリッタ!昨日のお祭りに件でリィネに怒られたばっかでしょ!」

「しかし……」

「しかしじゃない!あんたが変なことすると契約精霊のあたしまで怒られるのよ!」

「……わかりましたわ。今日は大人しくしますの。」


 背中を丸めてベッドの梯子を登るエリッタ。


「ではクウキさん。1時間後に学園の門に集合でお願いします。……では!」


 ……バタン。

 勢いよく閉まる扉。

 エリッタの寝息が聞こえる。


「なに着て行こう……」


 とりあえずタンスを漁る。


 ——

 別の部屋では……

 ガチャ……

「おはよう、ライザ。」

「アリージュじゃないか!なんのようだ?」

「ルーアいるかしら?」

「あらアリージュ!私になんの用!今日はクウキと修行に行くのだけど!」

「今日は私と行かない?」

「嫌よ!アリージュじゃ相手にならないわ!強すぎるもの!」

「手加減するわよ?」

「嫌!クウキがいい!」


「……あっそ。」

 アリージュの顔から笑顔が消える。


「なによ!」


冥刻の夜剣(フォルネウス)、眠りなさい……」


 呟きと共に倒れるルーア。

「おい!ルーアになにをした!」

「ライザ……あなたも眠りなさい。」


 バタン。


 ガァー……ガァー……


「この2人、寝ててもうるさいわね。」


 ハルはうまく誘えたかしら……


 ——


 2時間後……門の前……


魔力創造(エンテレイン)、小石……魔力創造(エンテレイン)、小石……」


 白いワンピースに白帽子を被った金髪美少女。


 積み上がる小石。


 うわ……待たせちゃった。


「ごめんハル、待たせちゃった。」

「いえいえ、全然待ってないですよ。」

 小石が魔力に戻る。

「……ほんとごめん。」


 2度寝したとは言えない。


「では行きましょうか!」

「うん!観光楽しみ!」


「まず初めに、わたしがよく行く武器屋さんに行きますよー!」

「……うん。たのしそう。」


 私の観光は終わった……


 商業区画を抜け……住宅区画を抜け……

 人通りが消え……尾行していたアリージュも消えた頃。


 目の前に現れた、今にも壊れそうな木造の小屋。


 鉄と煙の匂い……


 カンッ……カンッ……

 軽快な音。

 

「着きました!こちらです!」

「えっ……ここ?」

「はい!」


 目がキラキラしてる。


 バン!

 勢いよく扉が開き中から大男が飛び出す。

「なんだ!」

「あっ店主さん!」

 

「おう!ハルじゃねーか!久々だな!」

「お久しぶりです。」

 

「それにしても、なんだそのちっこいの!俺の店に似合わねぇ!」


 巨大なハンマーを担ぎ直す。


 ほんとに終わった。

 


 

 

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