↓ ↑ページトップへ
表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
3/16

3、断罪イベントのその先は

「馬鹿者!」拝見の間に怒声が響き渡り、王陛下と側近であるチベーリア公爵閣下による威圧に第1王子をはじめ、集まった者達は顔を青ざめさせた。


「し、しかし父上、リアメルはサアラに嫌がらせを行い、精神的苦痛を与えていたのは事実です。夜会の場では認めませんでしたが、幽閉先で自分の罪を認めました。その様な者は王子妃にはふさわしくありません。」


「ほぉ。リアメルが罪を認めたと言うか。昨夜、リアメルから、無実の証拠を提出するから私の元で話し合おうと言う、申し出はなかったか?」


「た、確かに申しておりましたが、先程も……」


「黙れ!その無実の証拠と証人を用意しているのは、この私だ!リアメルがやってもいない罪を認めるわけが無かろうが!この愚か者め!」


「「「「えっ?」」」」


国王の言葉に目を見開き、4人は言葉をなくすが、国王は気にした様子も無く、リアメルとの賭けについて話し始めた。


第1王子と婚約を決定した時の事。

今日こそは婚約を承諾してもらおうと、王の執務室へとリアメル嬢を呼んでいた。

何度、断っても婚約を諦めない陛下に5歳のリアメル嬢は、「どうしても婚約すると仰るのならば賭けをしましょう。」と申し出た為、面白半分で内容を聞いてみた所、婚姻式を前に王子に思い人が現れ、破棄破棄されるかどうか賭けをしないかと言う。

リアメルに夢中な王子がその様な裏切りを起こすはずがないと、そんな事で婚約が成立するのであればいくらでもと陛下は「もちろん、婚約破棄しないに賭けよう。」と伝えると、リアメル嬢は「では私は、サアラ・カーセル伯爵令嬢と殿下が結ばれ、婚約破棄される事に賭けます。」と言った。

その時、名前まで告げた事に驚きはしたが、その後の2人の仲睦まじい様子に、賭けの存在などすっかり忘れ去ってしまっていた。


学園に入学した途端、王宮に戻らなくなった王子に最初のうちは学園生活に慣れる事に、必死なのかと深くは考えていなかったのだが、入学して3年間が過ぎた頃。

王子の成績がかなり下がっている事や、長期休暇中に行っているはずの公務についても真剣に取り組んでいないとの報告を受け、ふと賭を思い出したそうだ。

それからというもの、王子に影をつけ行動を監視、リアメル嬢には入学当初から護衛を兼ねて、常に監視をつけていたと聞き、一瞬、顔を青ざめさせたように見えたのは、カーセル伯爵令嬢であった。


「ベルクよ、これがどう言う事なのかわかるな?リアメルの証言が間違っていると言う事は私が嘘の証言をすると言う事だ。分かったら、リアメルをこちらに連れて参れ、そなたらはまず、あの子に詫びなければならない。それから、幾ら子供の犯した事とは言え、あれだけの者の前で無実の公爵令嬢を貶めたのだ、他国の者とは言えカーセル伯爵令嬢含め追って沙汰があるゆえ、それまでは皆王宮で待つように」


この言葉に、4人は青を通り越し、顔を白くさせた。

王陛下は一向に動こうとしない息子達を不審に思い、近衛に指示を出したものの、離宮への滞在者は誰もおらず、王妃殿下の私室にチベーリア公爵夫人が滞在しているだけだった。

そこまでくればもう逃げられないと思ったのか、互いに顔を見合わせ、おずおずと前に進み口を開いたのは、騎士団長子息と、魔導師団長子息だった。


「「お……恐れながら……申し上げます。第1…王子殿下の指示により……夜会の後…私達が手足を縛ったまま…………こ、公爵令嬢を……………………死の森に置き去りに……致しました。」」


「なに!死の森だと?貴様ら!何を考えているのだ!近衛、至急!師団長達をここに呼べ!陛下、捜索隊を組ませますが、宜しいですね?」


「勿論だ、大至急捜索隊を派遣する。

お前達は何という馬鹿な事をしてくれたんだ!第一陣として、お前達3名も捜索隊に参加しろ!後の話はリアメルが見つかってからだ。カーセル伯爵令嬢、そなたには色々と確認する事がある。衛兵、この者を連れて行け」


「王様、ちょ、ちょっと待って下さい。私は何もしておりません。皆んな私を信じて、私……嘘なんて、ついていないわ…助けて。」


「サアラ、我々は何か誤解していたのだろうか?そんな事よりも…すまないが、父上の言う通り、リアメルが見つかるまでは、王宮で生活してくれ……それからちゃんと話しをしよう。」


「ベルク様…1人にしないで……」


「サアラ…………ほら、大丈夫だから、近衛と共に行ってくれ」


「この場で良くもそんな茶番を演じれるものだな。」


「サイオス頼むから魔力を抑えろ、おい!団長達はまだ此方に来ないのか!それから王妃と公爵夫人も此処へ、至急確認したい事がある。」


近衛に連れて行かれる伯爵令嬢を沈痛な面持ちで見送る王子を、今にも殴り殺しそうな面持ちで見つめるチベーリア公爵閣下。

彼の発した言葉に、顔を青ざめさせたのは王陛下や宰相である私を始め、この場にいた兵士達だ。


リアメル嬢の話では留学をしなければこの娘ににチベーリア公爵子息と第2王子殿下も心を奪われてしまうと言う予言であった。

実際、残って生活したとしても、予言通りになったかは分からないが、この騒動を免れた事は不幸中の幸いなのだ。

あのまま予言を受け入れずに、この国の学園に通っていたら、陛下や私の後を引き継ぐ事のできない無能な者の集まりとなっていたのかもしれないと考えるだけでゾッとした。


「申し上げます。騎士団長、魔導師団長ご到着されました。」


「「失礼致し……ます。…………陛下如何なさいましたか?」」


「あぁ、良く聞け、一昨日の夜ベルクの指示でそなたらの子息達が無実のチベーリア公爵令嬢の手足を縛ったまま死の森へ置き去りにしたそうだ…これから1刻の間に此処にいる3名を含めた捜索隊の第1陣を出発させろ、荷物は必要最低限に留め、第2陣で野営道具の搬入を行え、城に残る兵士は最低限で構わん!此度の件の詳細は、この者を同行させ確認をとれ、それから道中この3名の行いについて調書を作成し報告を上げろ。諸々の確認もあろう、捜索隊の指揮は副隊長に任せ、調書はそなたら2人に任せる。最後にベルクについてだが、この捜索隊で王子扱いは不要、この3名はただの新人兵士と同じ扱いをするように!良いな?では至急準備にかかれ!」


「「承知いたしました。」」


王陛下の話を聞く団長達の顔色は悪く、3人を連れ退出する足取りは、心なしかフラついていたようにも見えた。

それもそのはず、国際会議から帰還し、不在の間の残務処理に追われていた所であろう。

陛下の呼び出しに応じてみれば、息子達は公爵令嬢の殺人未遂を犯している仕末だ。


隊長達と入れ替わるように王妃様と公爵夫人が到着した為、場所を移し人払いを済ませ現状確認を行う事となった。


「さて、王妃よ一体何があったのか説明を」


「はい、陛下。陛下達が国際会議に立たれ、直ぐにベルクが自身主催の夜会を開くと準備を始めたのです。その後すぐでした。リアメルが私の元を訪れ、夜会の夜もしも自分に身に何か起こった場合、陛下と公爵がお戻りになるまでの間、公爵夫人を匿って欲しいと相談に参りました。最近のベルクを見てますと 、何もあるはずがないと、私も自信が持てなかったものですから、何かあった時は安心して任せるよう、リアメルに言いましたの。そして夜会当日、準備を終えて会場向かおうとした所にリアメルの契約精霊様が公爵夫人をお連れした為、私は体調不良として、離宮に篭ったのです。」


その後も、王妃様の説明は続いたのだが、離宮に篭ったその日、王子殿下が訪ねて来たようだが、対応した者の話によると様子がおかしったと言う。

王妃様は急な体調不良に陥り休んで居ると伝えても、まるで自分達の説明が聴こえていないのでは無いかと思うような態度で「母上を出せ!今すぐにリアメルをこの国から追い出さなければ、サアラの命が危ないんだ!」などと暫く騒いでいたようだ。


最初あの3名は学園に入って、ただ単に羽目を外し過ぎていると、そう思い込んでいたのだが、チベーリア公爵令嬢が入学をして暫く経った頃に、影が殿下達の異常行動を指摘し始めた。

時々、まるで何かに操られているのではないか⁈そう感じる事があるとの報告を聞いた魔導師団長がふと、失われた禁術では無いだろうかと呟いた事が始まりだった。


失われた禁術それは、数百年前に闇魔法の使い手、数名が精神操作により、帝国を滅ぼしかけたと言う術。

帝国は何とか解術に成功し、術者や血縁者だけでなく、係わりのあった者達を徹底的に調べ上げ、術式は全て消去し、精神操作系の魔法は全て国際犯罪に指定し、闇魔法の使い手は神殿の管理下に置かれる事となった。


禁術の使用を疑った我々は、直ぐに帝国へ伝令を飛ばしたのだが、帝国側も数百年前に失われた術をまさか扱えるものがこの世界に存在しているとは思わなかったらしく、文献を調べ直すのに思ったよりも時間がかかってしまい、今回の国際会議でやっと解術方法を手に入れたのだ。


「はぁー、そうか……まさかこのような事に踏み切るとは、それで、リアメルの契約精霊様の様子は?何か仰ってはいたのか?」


王陛下の問いかけでその場に緊張が走るが、契約精霊様は姿を現わすこと事もなく、王妃様に対して公爵夫人を守れ、ただその言葉を残し、去って行ったそうだ。


「現時点で被害が無い事を考えると、リアメルはおそらく、恐らくではあるが無事であろう。今回この捜索隊は、リアメルが発見されても王子達はそのまま3週間は帰還させない予定だ、その間3名の動向を監視させろ、禁術を使用されている場合、互いの腰に呪印が現れる。3名を引き離した状態で常に行動を共にするものを1人づつつけ、呪印の確認を早急に行え。

カーセル伯爵令嬢の件だが、我が国で、処罰を与えられるよう行動を起こしたい。

一先ず、世話係には魔力の高い者で毒耐性の訓練を受けた者をつける。彼女の呪印の確認ができ次第極力関わりを持たぬよう注意しろ。」


「かしこまりました。私は第2陣の者に指示を出すため、席を外します故、何かございましたら、ご連絡を。それでは王陛下、王妃殿下御膳を失礼致します。」


パタンとドアの閉まる音がして、国王は深く息を吐き、重い口を開いた。


「チベーリア公爵、夫人。此度の件、愚息の仕出かしたことは許されるべき事では無い。本当に申し訳なかった。ベルクとの婚約は即刻解消し、リアメルとの賭けの負けを認め、交わした契約の通りとするもよし、リアメルさえ良ければだが、その……国母としてだな…第二王子のレヴィアンの婚約者となって貰えるとありがたい。だが、こんな事態を引き起こしてしまったのは私の責任でもある故、判断はサイオスに任せる。」


「当時、私もあの場におりましたので、契約を違える訳には行きません。それに、例えあの子が無事だとしても、リアメルはこのままこの国には戻らないでしょう。ただ!もしも帰って来てくれた時の為に冤罪だけは晴らして頂けるのでしょうな?」


「そうか……そうだよな。勿論、リアメルの無実は、呪印の確認が出来次第、カーセル伯爵令嬢に操られた王子達によって傷つけられた被害者だと、私自信が国民に向け発表しよう。ベルクの王位継承権は剥奪、生涯子を成せぬよう処置した上で、幽閉…イヤ、今回騒動を起こした3名は全員、子を成せぬよう処置を施し、禁術を施された貴重な被験体として、国にへの協力と、災害支援部隊の最前線で活躍させる。おそらく我が国は16年前の状態に戻る。サアラ・カーセル伯爵令嬢については、禁術の使用が確認次第、国際犯罪者として、しばらくは呪詛を施し、魔術師塔管理下の元禁術について調査する。問題を起こすようであれば、即処刑だ。」


「陛下の御心のままに。ですが、禁術に関しては帝国でも厳重に保管されておりますから、もし伯爵令嬢の禁呪の使用が確認されれば不法侵入の疑い等と理由をつけ、帝国が介入するやも知れませんぞ。」


「交友関係など徹底的に調べ上げるだろうが、我が国でも王子を操り王妃の座を狙っていたのだ、そうそう身柄は奪われんだろう。王子達は学園では全く言う事を聞かなかったが、王宮内では僅かながら我々の声に耳を傾けているのは王宮の結界や異常回復が役立ったのかもしれんな」


「おそらくは、そうでしょうが、断定はできかねますな。陛下、あの娘の扱いはくれぐれも気をつけねば、我が国が滅びますぞ。それから伯爵令嬢の母国であるブレジッダ国の動向にも注意せねばなりませんな。」




評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。