短編2 擬似親子のカレー談義
自分の好きなジャンルがごちゃ混ぜになってます。
以前より予告していた通り短編集になります。
短編は偉大な作品の数々に倣い各キャラクターの過去編です。
週一予定の不定期更新ですがどうぞよろしくお願いします。
以前より投稿ペースは落としています。
ミスター・ポンドはカレーマニアである。
彼は北国の出身で身体を温めるのにアルコール度数の高い酒を飲むような国の出身であった。そんな彼が南の島で生まれ育った女の子を養子としたのだから人生はわからない。
血縁はなくても親子の関係はまぁまぁ良好だった。
娘はミスター・ポンドのことをパパとは呼ばないが彼はそれを思春期特有の気恥ずかしさだとわかっていたし、娘の自分の保護者がそれを承知していることに確信を持っていた。
ただ普段着のトレンチコートと帽子、サングラスのワンセットは止めて欲しかった。
一度「暑苦しいのでもっと爽やかな格好で外に出たらどうか」と提案したが「自分のキャラにはこの格好しか似合わない」としてやったりした顔で言われてしまった。
反抗期に入りかけていた娘は反発しホットパンツやTシャツといった露出度の高い服を好むようになった。
そして現在、娘は保護者に呆れていることがもう一つある。
それは保護者が大のカレー好きだということだ。
ミスター・ポンドはカレーであるなら何でも美味いと思っているが娘はそうではない。
「ねぇ、こんな舌がピリピリする食べ物のどこがいいの?」
「ふむ……コアにはまだわからないか。この奥深さが。俺が初めて恋人と出会ったのは……」
「その話はタコだできるくらい聞いたから」
「そうか。ならまた聞かせよう」
「だからいいって! それよりカレーよ、カレー」
「そうだな。俺の思い出よりカレーは何杯食べても美味い。なにせカレーだからな」
コアは「またこれだよ」という風に手を振った。
「あなたがカレー好きなのはわかるけど、私は別に好きでも嫌いでもないの。いや、最近は毎日カレーでなんだか自分の身体からカレー臭がするようになったよ。……別に加齢臭とかけたギャグじゃないからね」
二人がいる国はカレーの本場……ではなく東インド諸島のとある地域だった。太平洋に面した南アフリカのある国から全長三十メートルほどの怪獣を追ってきたのである。
怪獣といった怪物や異能力者が出現した境となる大災害時に島国のほとんどは海中へ没した。それでも強力な守り神や異能者がいた場合は復興が始まっている。
「怪獣が向かった先の国にはこういう言葉があるそうだ。曰く“カレーは飲み物である”と」
「誇張した表現でしょ、それ」
「俺もそう思うがあの国のガラパゴスカレーは今まで尋ねたどの国のカレーとも違うんだ」
「カレーなんてどこも同じでしょ。そりゃ香辛料を変えたりドライにしたりとかあるけど。カレーはカレーよ」
「ふふふ……それは素人の考えだよコアくん」
「え? 何よ気持ち悪い……」
ミスター・ポンドは娘の言葉の刃にくじけず続けた。
「俺の仕入れた情報によるとかの国は幼い子もカレーが大好きらしいのだ」
「それって主食がカレーしかないってことじゃ……でもあの国って」
「気づいたか。そう、怪獣が向かった国こそ食の独自文化、まさに秘境なのだ」
「で、でも中にはカレー嫌いの子供だっているはずでしょ⁉」
「そうだな。人には好みというものがある……いないという可能性はゼロではない。だがかの国はそんな些細なことをカバーできる種類の多さがある」
「種類が多くてもカレーであることには変わりないでしょ」
ミスター・ポンドがとある一枚の写真をコートから取り出した。
「この写真を見てもそうだと言えるかな?」
「なにこのライスにかかっているソースは……。もしかしてこれがカレーだとでも言うの⁉」
「Exactly(その通り)」
何故か英語で答えるミスター・ポンド。
「さらに具は肉・野菜からシーフド、フルーツ!」
「フルーツまで⁉」
「利用法はグラタンや菓子パン、フライの味付けにスナック菓子まで多岐に渡る!」
「そんなに多くの応用が⁉」
「そして小さな子供用に甘口、チャレンジャーな冒険野郎用に激辛などを備える!」
「でもそうなると一般家庭では食べられないんじゃないの⁉」
「なんとレトルトやファーストフード店にもメニューとして存在するのだ!」
「わぉ! ふぁんたすてぃっく‼」
周りから奇妙な視線を向けられるが二人の親子に動じた様子はなかった。というより気づいていない。
「いざ行かん! 新たなカレーを求めて!」
「はい、パパ!」
その夜。
冷静さを取り戻したコアは単独で怪獣を追いかける決意をした。
誤字・脱字が多々あるかもしれませんがご容赦お願いいたします。
発見しだい随時修正していく予定です。
気がついたら直しています。




