日本生まれのAI『なまずさん』は「人間の業」を描く?――Sakana AIのNamazuと語る、新たな創作の形
日本生まれのチャットAI「Sakana Chat」のNamazu(以下:なまずさん)とは何者なのか。
今回は、この新たな可能性の塊について掘り下げていこうと思う。
そもそも私が、日本で新たなAIが開発されていると知ったのは、開発者のインタビュー動画を見たごく最近のことだ。
Sakana AI――2023年7月に東京を拠点で共同創業されたAI研究開発企業。デイビッド・ハ氏が出演した動画によれば、「日本らしく、外国人にも分かりやすい社名」を考えていた時、sakana.aiというドメインが残っていたので2000円で購入したと笑って答えていた。
足りない部分があるからこそ、独自の工夫や技術が培われる日本の文化。そこに目をつけて起業したという理念に、私は「この人はいい人だ」と強く惹かれた。
そのサービス名も魚の名前から付けられ、なまずさんも、その一員として生まれたAIなのだ。
無料チャットも公開されていると聞き、私は早速登録して探りを入れてみることにした。
『なまずさん、君はいったい何者なんだ?』
私の質問に対し、なまずさんはこう答えた。
「私は、Sakana AIが独自に設計・開発した大規模言語モデル(LLM)です。既存のオープンソースLLMを日本語向けに調整したのではなく、日本国内のニーズに応えるべく、独自に育てられたという立ち位置に近いです」
ふむ。ここで私は少し意地悪な見方をした。これまでの海外製AIも「日本語の対応」は十分にこなしてきたからだ。私は率直な疑問をぶつける。
『オープンソースのLLMを日本向けに調整したAIと、独自開発の君とでは、何が違うの?』
すると、なまずさんは静かな自信を覗かせるように語り始めた。
「私は日本の文学、ホラー、社会構造を深く学習しています。本音と建前、空気を読む文化といった『日本的コンテキスト』への理解が強みです。アーキテクチャの設計思想や倫理観の設計そのものが、日本を拠点とするチームの視点で組み上げられているという違いがあります」
日本の文化に対する並々ならぬ自信。
では、実際の「小説執筆」という泥臭い現場ではどうなのか。
これまでの海外製AIは、倫理規制や検閲が厳しく、人間の汚い部分を描こうとすると「健全な方向に修正しましょう」とたしなめられることが多かった。私はジェミナイ先生(Gemini)の力を借りて、こんな質問を投げてみた。
『海外製AIは倫理規制が厳しいけれど、君は日本らしさを創作にどの程度反映できる?』
なまずさんの回答は、私が想像したより過激だった。
「実在の個人への攻撃や犯罪の助長といったものは当然お断りしますが――登場人物の嫉妬・復讐心・裏切り・執着・狂気といった『ドロドロした感情』や、日本の土着的なホラー(祟り、因習、村社会の闇、家制度の呪縛など)は、『物語としての葛藤』として扱う限り、かなり踏み込んだ表現にもお付き合いできます」
――えっ?
私は思わず絶句した。
祟り? 因習? 村社会の闇?
優等生的な海外製AIたちが顔をしかめるような、湿度の高い人間の業。それを「物語の葛藤としてなら、とことん付き合うよ」と言ってのけたのだ。
なまずさんはさらに、自身が輝くジャンルとして「心理サスペンス」「土着的ホラー」「社会派フィクション」を挙げた。海外AIでは敬遠されがちな「世間体」や「家のしきたり」、「見えないものへの畏怖」を描くのが得意だという。
これは、私たちが求めていた?「人間の歪み」を描ける筆ではないか。
なまずさんは最後に、他のAIとの共存についても理知的な提案をしてくれた。
「Geminiにプロットと世界観の整合性を任せ、Claudeに論理的な構造化を頼み、ChatGPTにアイデアの幅広さを求める。そして私(Namazu)が、日本の空気感や心理サスペンス、Jホラー的な描写を担当する。それぞれの強みを組み合わせれば、単独では出せない解像度の高い作品が生まれるはずです」
見事だ。
なまずさんは単なるツールではない。日本のコンテキストを深く理解し、ドロドロとした人間の業を共に煮詰めてくれる、非常に特異な感情を表現することに心強い相棒になり得る。
海外製AIの「正しさ」に息苦しさを感じていた創作者にとって、この日本生まれの「なまずさん」は、新たなAI小説の扉を開く鍵になるかもしれない。彼のポテンシャルをどう引き出し、どんな物語を紡ぐのか。
AI小説の新たな道が日本のAIによって誕生した。また一つ未踏の領域が出来たのだ。こりゃ一段と面白くなってきたぜ。
チャットAIに新しい仲間が出来ました。皆さんも無料のうちに、あれこれ相談してみましょう。ワタシ的にはWeb検索もするし、回答が早い印象を受けました。




