新校舎の幽鬼(ホラー要素あり)
今日もまた、俺は旧校舎の“ずぶ濡れの女の子”に会いに行った。
俺を好きだと纏わり付く女を順番に連れて。
俺は、あいつの言うことに逆らえない。あいつの言う通りに、あいつの生命エネルギーになる生きた人間を連れて行くのが俺の役目。
◇◆◇
あのずぶ濡れの、顔にへばりついた髪で隠れた瞳の奥を、俺は気が遠くなるほど長い間、ずっと見れていない。
こんな俺に、あいつを見続けることも、あいつに逢いに行く資格なんて本当は無いことも理解している。
でも、だから、と自問自答したその先の俺は答えを出した。
ーーー俺はお前を、言い訳に使った。
俺がお前に会いたいから、まだ話していないことも、伝えきれていない俺の気持ちも!
まだ沢山あったんだよ!
すべてはお前を、夜の旧校舎のプールに連れて行った俺が悪い。
怪談話に悪ノリして、あの時…プールを縄張りにしていた幽霊から、お前を助けられなかった俺の、わがままでしかない。
今日も夕日が落ちていく。
部活の時間も終わって、生きている人間の気配も、すべてが遠ざかっていく。
誰もいないはずの新校舎の教室に、男子生徒が1人だけいた。だが、彼の制服は今のものではない。
「お前は俺が生者だと思っているだろうが、俺はもうとっくに人間なんてやめている」
ーーー生きていた頃の俺も、お前に未練がありすぎて幽鬼になった俺も・・・・・
「ずっと、永遠にお前を愛してる」
この想いが、いつかお前に届く世界が来るだろうか?
だから、俺は再びお前に出逢えるまで、“俺の役目”を続けよう。




