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Name Less Story  作者: 雅風
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隠しクエスト

 道中は先行しているホーンラビットが一足早く先に行って、僕たちが追い付くのを待つように止まりながら待つという光景が良く見られた。

 あれだ、森に迷ったときにたまたま見つけた猫が出口まで案内してくれるという話を思い出してしまい、今までさんざん倒してきたホーンラビットだが少し愛着が出てきた。まあ倒さなければいけなくなったら普通にヤるけどね。慈悲はない。



 だいぶ進んできたがまだ着かないんだろうか。正直言って少し退屈に感じ始めた。



「あ、あのご主人様? 暇なのはわかりますが、だからと言って私のしっぽをそんなに触らなくても・・・・・・」



 おっと。ついつい手がそこに伸びてしまっていた。一度触ってしまえば誰でもくせになってしまう魅惑のしっぽだ。

 触られている野風は少し頬を赤くしながら上目遣いで可愛らしく抗議してくる。



「ごめんごめん。野風が嫌だったらやめるよ? 」



「いえ! あの嫌というわけでは・・・あの、うぅ。ご主人様はずるいです」



 何がずるいんだろう。後ろでは(クックック)と笑っているのが聞こえる。うーん解せぬ。



「きゅい! 」



 僕がさっきのやり取りについて考えていると前を進んでいたホーンラビットが立ち止まって、こちらを振り返り一鳴きした。



「ん? 着いたのかな? 」



「きゅいきゅい! 」



 そうだと言わんばかりに鳴くホーンラビットを受けて僕は改めて目の前に広がる景色を見る。



 目の前に広がるのは一本の巨大な木。木の根元に行けばその大きさが顕著に表れる。天を突きそうなほど高く、頂点は目に見えない程だ。太さは・・・・・・やばい。



 だけど、ここまで大きな木なら遠目から見ても気が付かないはずがないのに誰も気が付く様子が見られないのはなぜだろうか。

 調べてもこの木のことらしきものはなかったし、それに仁からも聞いていない。



(ふむ。この木は妙な力を感じるな。野風よ何か感じないか? )



「そうですね。この木周りから見られないように認識阻害の魔法がかけられていますね。それも普通では絶対見えないように」



「へぇ。だから誰もこの木について言ってなかったんだね。だけど何で今は僕に見えるんだろう? 」



(おそらく主がそこにいるホーンラビットを助けたことが鍵だったのだろう)



 てことはこれは仁の言ってた隠しクエストなのかもしれないな。


 NLSは基本的に冒険し魔物を倒してレベルを上げるというのが主な遊び方になるわけだが、その他にもダンジョン攻略、対人戦、運営が管理するクエストなど行われることは多岐にわたる。これらはすべてのプレイヤーが参加し楽しむことができる。しかし、稀に見つけた本人しか経験できず、クリアしたらもう二度と現れないたった一つだけのクエストが出現する。それが隠しクエストというものだ。

 隠しクエストは本当に珍しいらしく、調べた限りでもまだ三回ほどしか発見されていないらしい。ゆえに多くのことは謎らしいが、一つだけ言えるのは報酬が良いらしいということ。

 これが隠しクエストについて分かっていることだ。



「きゅきゅきゅい! 」



 僕があれこれ考えているとホーンラビットが待ちきれなくなったのか木に向かって一鳴きする。

 すると、目の前の木が霞んで揺れ始める。夏によく見かける陽炎かげろうとでも言えばわかりやすいだろうか。

 そして次第に巨大な木はその形を変え始める。最初は小さかった変化も次第にはっきりとし始め、最後に残ったのは一つの大きな城だった。西洋ではなく日本古来の城と言えば想像できるだろうか。



「幻術が解けたようですね。これが本来の姿なのでしょう」



「ああ。それにやっぱりこれは隠しクエストだったらしい」



 野風の言葉に答えながら僕は目の前に浮かび上がる言葉に目を向ける。



【隠しクエスト:『幸せを運ぶラッキーラビットのお礼』を受注しますか? Yes or No】



 隠しクエストは報酬が良い分クリアするのが難しい物が多いとされていて、今のところ発見された隠しクエストの攻略者の全てがトップギルドのプレイヤーらしい。

 まあだからといって悩むことなくYesなんだけど、ツキヤに連絡しようかしまいか悩むところではある。



「ま、どうせ僕しか受けることはできないし後で連絡するってことでいいか」



(行くのか? 主よ)



「当たり前だろう? せっかくの機会なんだから。これを逃したらこの先経験できないかもしれないんだから」



(そうか。では我々もその決定に従おう)



「うん。ありがとう。今回は二人とも出といてもらうから。何かあったら頼んだよ」



(承知した)「お任せください」



 さて、この先に何が待っているのかな? 

 何が起きるか分からない。だからこそ気になって仕方が無い。体が早く行こうと急かしているのが分かる。

 久々に感じる高揚感に自然と顔の表情が緩んでしまう。



「さあ、行こうか」



 僕は胸を高鳴らせながらYesを選択する。


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