味方との合流、そして……
ガーネットでの味方登場。
あれから、一気に王都に翔ぶことになった。
いい加減これ以上の時間はかけてられない。
もっとも、王都には夜中にこっそり浸入になるけどね。……あたしの正体ばれたらマズイ。
ということで、暗くなるのをまって町へと入った。
えっと。
「待ち合わせって、王城の裏手って言ってたよな?」
「コッチのホウだよ。火炎獅子のケハイするよ!」
黒羽に先導されて、あたしたちは城の裏手にまわる。
そこには、小さな建物があった。この中かな?
近づくと、内側から扉が開いた。そこにいたのは長身の騎士らしい男性とローブを着ている女性。そして傍らに火炎獅子を従えた、あたしと同じ年くらいの少年だった。
「お待ちしておりました、キキョウ様ならびにお仲間の方々。私はガーネット王の子で、ヒイロと申します」
赤毛に金目の少年はそう名乗った。
……トパーズ王家は獣人だったけどこちらは人間、か。
……だから、なのかな。だとしたら悲しいことだけど。
「……どうして、神様を捨てたんだ?」
思わず疑問を投げ掛けていた。彼が知ってるとはかぎらないけど、知りたかったから。
「それは、この地が食物の生産にあまり適していない土地だから、です」
魔術師さんが答えをくれた。
「だから、トパーズを支配して豊かな大地を手にいれる、そのためにガーネット様が邪魔だからと……」
「……ひとつの国に神はひとり、ってことかい?」
「はい」
……なんつーか。
「ほんと、人の迷惑とか考えてないね。食べ物だって、魔獣や森の恵みとかでも補えてるのに」
「?魔獣はともかく、森の恵み?どういうことだ?あ、いや、ですか……?」
騎士さん、敬語苦手でいーのか?
「ここにくる途中の森でも、食べれるものいっぱいあったよ。例えばバナナとか、パイナップルとか……」
元の世界で南国で育ったようなのが、ガーネットには多くある。
……カカオもあったし、チョコレート、作ってもらえないかなー。さすがにこれは作り方わからんしー。
「……あれ、食べれるのですか?」
知らんかったんか……。
「美味しかったですよ」
幸せそうな顔でマリーがつげる。パッションフルーツとか、気に入ってたし。
「よければ食べてみる?」
「は、はい……」
ということで、急きょ試食会になりました。
ここに来るまでにいろんな果物とか、野草とか採っといたからね。
「食べれる物かは『鑑定、調査、検査』などで調べられるよ。それぞれ意味が違うから、調べられる範囲は違う、っていうか、使う人がどういう意味を込めて使うかでも変わっちゃうんだよな」
同じ言葉使っても、あたしの方がシオンより多く情報を得られてるし。
「だけど、ある程度の目安にはなるし、毒があるかとか調べられる。ってか、そういう意味で使ってんのかな?」
考えてみると、王族ってけっこう毒殺とかの危険があったりして……。
「……その手がありましたか!」
うん。食べ物に混入されてるか確認できるね。今まで考えたことなかったみたいだけど。
「なんていうか、魔術語の音だけは伝わっていても、内容が知られていないものはおおいですね。これもそうですし」
うん。あたしが使って、意味が分かったってのはけっこうあるらしいし。
「それもあるけど、……これ、本当に美味しいですね」
いっつのまにかー、王子とマリーと騎士さんがパイナップルとバナナ食べて評論してた。
楽しそうだな。
しばらくして、ようやく落ち着いたよう。
「……やはり、王のしていることは間違っている。キキョウ様、王を止めてこの国を救うために、私に力を貸して頂きたい!」
強い意思を感じる言葉に、あたしは笑い返す。
「そのためにここまで来たんだ」
……そこで思い出してしまった。あれ、どうしてるんだろ……。
「……そういえばさ、聞きたいことがあるんだけど……そこで」
「何でしょうか?」
「……ここに黒髪、黒瞳の男、いる?名前は和泉蘇芳」
「スオウ様のお知り合いですか⁉あの方はこの国を救うために異界からこられた……」
「……うん。呼ばれたのがあたし。あれは勝手にくっついてきて、この世界に迷惑かけるだけのモノだから……」
「……この子の言っていた通りですか……」
この獅子くんから聞いてたらしい。
「あいつはさっさと送り返さんとなんないから」
「……今は魔術の修行とかで、あの方通訳と侍女を兼ねてるエリカ、それに騎士団、魔術師団と出掛けています」
「エリカですって!」
……それって、たしかマリーの妹さんの名前……。
「はい。見目美しく、スオウ様の想い人と似ているとかで、スオウ様が引き取り寵愛してるんです」
……えっと、なんてか頭痛が。
「まあ、そこら辺は直接確認してからでいいだろ。今は動き出す前に休憩をするべきだろうしな」
確かにトキワの言う通り。まずは旅の疲れを癒そう。
「では、この小屋をご利用下さい。ここには誰も訪れることはありませんし、ベットもありますから」
ここんとこずっと野宿だし、王子の申し出はありがたい。
「それじゃ、使わせてもら……」
ドオン!と大きな音がした。
慌てて小屋の外に出ると、北の空が赤くなってた。
「一体……」
茫然と見上げるなか、スマホがベルを鳴らす。
「何があったんだ⁉」
スマホに怒鳴ると、ガーネット様の声が聞こえた。
「……あいつ、やりやがった。……北にあるエルフの村、全て焼き尽くされた……」
……苦渋にみちた声が響く。
……あいつ、蘇芳は、その魔術で、大量のヒトを……。
あたしは、怒りをこらえ、北の空を見続けた……。
次回、彼との対面予定。




