負い目
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俺は土下座した。皆様はお力を貸してくださいと・・・。全員が呼び出された原因が夢の中で女神に刺殺されそうになった事や女神から魔力を奪って固有スキルの能力が強力になりバグが更にバグになってしまっていたのだ。
因みにレイラに頼んで目隠しをして貰っている。レイラは固有スキルで俺の【生命強奪:レベル1】の効果を無効にできる為に唯一まともに顔をみる事ができるが、10倍になった今、誰が魔力切れになって体力を奪われるかわからない為に苦肉の策で目隠しをしているのだ。
神聖騎士国【マリアディア】の女神・アルカディアに夢の中で刺殺されそうになった事を話すと悪魔達はやっぱりなという声をした。
表情見えないけど、何かしてるよね!!?
キング曰く魔王デュガルディンが奪い取ったルベリア帝国と侵略戦争しているのが神聖騎士国【マリアディア】であり、戦士は皆教会出身の僧侶であるというのだ。
教えが強くなければ何も護れない男女の壁など乗り越え、叩き壊して前へ進めという脳筋の教えであり、自身に癒しや自動回復を習得して鈍器類や薙刀を好んで使う狂戦士型の僧侶が戦力である国であるというのだ。
「ナタリアは好きだけどあの女神様ヤベェよ!!だって、肩に薔薇の入れ墨いれたもん!!!」
「待て!!クロ。アタシは金砕棒で敵をぶっとばすのは好きだけど全部食い物や酒の為にだぞ!?そこの宗派とは絡みねぇんだぜ!?」
確かに僧侶でありながらナタリア似た宗派であるが、ナタリアはクロに嫌われるとレイラからの躾がキツくなるのを恐れていた。すると悪魔の古参でありキングと名付けた上位魔将軍がため息をついた。
「奴は元々は戦乙女であったがいつしかこの世界の最高位の女神に君臨していたが・・・」
「キング様はあったことがあるんですか?」
上位魔将軍の中で古参であり、魔王・デュガルディンの右腕だったキングはアルカディアとは面識があるというのだ。
アルカディアの性格を知っている為に確かに暗殺しに来てもおかしくないというのだ。
俺は兎に角今わかっている条件を皆に話したが、勇者から小猫族の黒猫になった者にそこまで女神が力添えするのはどうみても裏があると口を揃えたのだ。
勇者の剣の確保から千年樹の復活などはほんらいならば勇者に選ばれた者に試練として与える筈であるというのだ。
仮に勇者に選ばれたにも関わらず、友だちの為に小猫族の黒猫に変わったとしても都合良く使われ過ぎている。
実際に千年樹が復活してもバグを治せる【奇跡の石】がどれだけ探しても見つからないからだ。
事情を知るワーウルフやドワーフ達も探索をしてくれているが手掛かりも無いのだ。すると、ブランドン国王が尋ねてきた。
「少なくとも都合の良いように使われてはいると思うが・・・。クロよ。女神に失礼な事を・・・」
「目茶苦茶しました。爆乳女神とかド貧乳女神とか美人局の女神とか冒涜しました・・・」
「そして、夢の中に毎度現れてついにドスを持ったアルカディアが現れたと・・・。美人局とはあれだろ?女を使って誘い込んで金品を脅し取る行為の事であるな?」
「要が済んだんで多分、小猫族の黒猫を始末する為に・・・。
俺、フォロットル王国から離れます!!!俺のせいでこのままだと神聖騎士国【マリアディア】と戦争になります!!!」
少なくともベンケイの偽りのスキルの事は皆が知っているし、何よりも神聖騎士国【マリアディア】がルベリア帝国を滅ぼした後に狙うとしたらこのフォロットル王国か巨人らが納める巨人の森になるだろうというのだ。
というか、神聖騎士国【マリアディア】って一応は女神が守護してるのにそんな略奪国家みたいな事して良いのかよ。
すると、キングは神の名を借りた略奪国家である為に易々と【正義】を名乗るのは辞めた方がいいと話したのだ。今回の件は明らかに女神の意向に背いた俺への『カエシ』であり、その可能性は十分にあり得るというからだ。
そりゃ、そうだろう。こっちはいきなり集団誘拐されて異世界での暮らしを余儀なくされたのだ。
大義名分を唱えたところでやってる事は誘拐で犯罪だろう。死んだ人間を転生させるならまだわかるが俺達はあの世界で生きていた。
それを無かった事にされ、くそどうでもいいバカ王の娘を助ける為に勇者になってくださいなど虫が良すぎる話ではないか。
こっちは言われたイベントを攻略して何とかしているのに神に干渉されるのがここまでキツいとは思わなかった。
親にやることなすことに口文句言われて阻害されるよりも気分が悪い。
これじゃあ、普通の社会人と何も変わらねぇよ。給与の為に必死に働いて自分に嘘ついて大体の人間は生きてる。
子どもの頃に憧れた夢はいざ、脚を踏み入れれば醜く汚いものであるようにそこに輝きなど無い。 社会の為に人力の歯車を押すだけの奴隷の駒で夢も希望もなく世間的を気にして苦しく生きている。
こっちの世界では俺が楽しく楽に生きられたらそれでいいと思っていた。 どうせ、魔物や魔獣が出るような世界で勇者になっても録な目に会わない。勇者だから助けてくれる。勇者ならやってくれるだろ? 勇者なら・・・。
あぁ・・・勇者に何でなりたくないかわかったわ。日本人に似てるからだ。
例えば、上司に君ならできると過度な期待をされて成果を出そうと努力するのが普通だろう。
だが、求められている結果とは程遠く失望されたくない一心で働くのが【当たり前】だろうが、そんな上司は対価として何を与えてくれる給与か?くそつまらん飲み会の誘いか?
そんなもんはた迷惑だろう。勇者として助けても一時的な幸福感に恵まれるだけだ。 社会人の給料日がイベント達成で得られるようなもので後は日々家畜だ。
だから、勇者になるより最初から期待などされていない小猫族の黒猫になることに抵抗が無かったんだ。
梨央奈を助けるためとかカッコつけた割に結局は勇者よりも小猫族の黒猫の方が気楽でいいと逃げただけだ。
そうか、俺は女神の導きからパワハラから逃げ出したかったんだ。
だから、女神なのに全然信仰しようと思わなかったのだ。
俺は女神を愛してなどいないし、王女なんてどうでも良かった。どうせ、腐った肉を食わされるだけになるだろう。
ただ、梨央奈をこの異世界から守るには勇者という立場になれば何かと守ってもらえるからだ。
俺のエゴだ。学校に来ないから不思議に思って森田や琴音らから事情を聴いてクラスや移動教室で虐められないように護っていたつもりだ。
もしも、梨央奈が小猫族の黒猫になったとして女である梨央奈がどんな酷い目にあうかは中世の歴史を調べれば大体わかるし、大方、性奴隷や酷い扱いを受けるに決まってる。
またそんな辛い思いをさせたくないから小猫族の黒猫と変われたんだ。
梨央奈をただ護りたいという俺のエゴで梨央奈を苦しませてしまったという後悔の念に胸を痛めた。
だが、女神は決して俺を見捨てなかった。
いや、利用したかったのかもしれないと視野が見えないことや何をどうしたら良いのかわからないと正直に話した。




