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一緒に魔王を討伐しよう!  作者: 純白
第二十章―ハゲグ上陸戦
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80 危機一髪

魔法陣には幾何学模様が刻まれ、外周には呪符がびっしりと並ぶ。


十二時の位置から順に、時計回りに発光していく。


赤牙は血塗れの巨斧を担ぎ、ゆっくりとKanatheonへ歩み寄る。


刃は傷だらけで、鋲が打ち込まれ、血がこびりついている。まるで死神の鎌のようだった。


重装隊が即座に取り囲む。


「泥濘の地!」

魔導士が叫ぶ。


族長の足が泥へ沈む――はずだった。


だが赤牙はそのまま宙へ浮かび上がる。


「どういうギミックだ?!」

パシュスが驚愕する。


「強化に注意。拘束無効、属性無効、属性制限……」

ニフェトはその緩慢な動きから、尋常でない破壊力を察した。


黒い深瞳が獲物を見る捕食者の恐怖を呼び起こす。赤牙が震え、唾が飛び散る。


「烈火の波動!」


炎が正面から赤牙を呑む。


チチチチチチ。


しかし黒鎧に触れた瞬間、炎は白い雪片へ変わり散った――属性無効。


「急所スキャン!」

まつみの視界が闇に沈む。


ブチャ討伐の時はわずかな弱点が見えた。だが今は赤い光が一切浮かばない。

「……通らない!」


「来るぞ!」

重装隊が叫ぶ。


血釘の巨斧が断頭台のように振り下ろされる。


轟音。土煙が舞い上がる。


二人の騎士が盾で受け止める。


予想外に軽い。


即座に胸甲へ反撃の一突き。


キンッ――


【システムメッセージ: アイテム 秘鉄の長剣 耐久度0%になりました。修理してください】


長剣が砕け散る。


全員が息を呑む。近接攻撃は通らない。


「散開! 距離を取れ!」

パシュスが叫ぶ。


赤牙の周囲は自然と空白が生まれる。


だがその動きは異様に遅い。歩くだけでも距離を保てる。


「動き続けろ!」

かなの号令。外周から遠距離が一斉に叩き込む。


雷撃、炎、氷、矢、毒――


だが赤牙は意にも介さない。鎧には傷一つ付かない。


魔法陣の呪符が一周を終える。


陣が青く閃いた。


カン。


胸を貫かれるような痛みが全員を襲う。見えない刃が心臓を穿ったかのようだった。


【システムメッセージ: ギルドメンバー …… HPが20%になりました】

【システムメッセージ: ギルドメンバー …… HPが20%になりました】

【システムメッセージ: ギルドメンバー …… HPが20%になりました】

【システムメッセージ: ギルドメンバー …… HPが20%になりました】

【システムメッセージ: ギルドメンバー …… HPが20%になりました】

【システムメッセージ: ギルドメンバー …… HPが20%になりました】

【システムメッセージ: ギルドメンバー …… HPが20%になりました】


「なに……?」

まつみは血を吐き、必死に立ち上がる。


「固定ダメージです……強制的なHP減少。防御力が異常すぎます。何かギミックを見落としているはず……」

ニフェトが胸を押さえながら言う。


「連携回復!」

かなが即座に立て直す。


「天……天――」

魔導士の詠唱が途切れる。


ゴォォ……


酋長の背負う軍旗が燃え上がる。牙は蛍光の赤へ変わり、巨斧から蒸気が噴き出す。


鋲が回転し、刃がもう一枚せり出して両刃へ変形した。


「グオオオオオオオオオ!!!!!!!!!!」


赤牙が咆哮し、全身の白い戦紋が発光する。


轟。


【システムメッセージ: ギルドメンバー 明日香 HPが0%になりました】

【システムメッセージ: ギルドメンバー 社畜 HPが0%になりました】


酋長の速度が跳ね上がる。赤い閃光となり、残像しか捉えられない。


両刃の巨斧が振るわれ、至近のプレイヤーが粉砕された。


「連携回復!!!」

かなが怒鳴る。


魔法陣が旋風を巻き起こし、一瞬で全員のHPが全快する。


ドォン!!!


【システムメッセージ: フレンド ニフェト HPが20%になりました】

【システムメッセージ: フレンド 蟹座 HPが20%になりました】

【システムメッセージ: フレンド 名前が長すぎて隠れても見つかりそう HPが20%になりました】


神官たちが次々と治癒を重ねる。


ドン!

ドン!

ドン!


衝撃波で全員が吹き飛ばされ、戦線は崩壊寸前。


「グオオオ!」


赤牙は狂乱モードに入った。


「見て! 状態が属性解放に変わってる!」

ニフェトが叫ぶ。


その瞬間、魔法陣の青光が消える。


軍旗の炎が消え、発光が収まり、両刃は元の単刃へ戻る。


赤牙は再び鈍重な歩みへ戻った。


緊張が一瞬緩む。


「密信 むぐち やよい:何が起きてる!? トラップか!? 返事して!──5分前」


……


魔法陣の呪符が再び時計回りに点灯を始める。


「分かった……! 陣が一周すると能力解放。充填前に止めるか破壊するしかない!」

かなが閃く。


「だが……」


パシュスが剣を突き立てる。土が削れるだけで、陣は無傷だ。


「どう壊す?」


赤牙がゆっくりと迫る。


全員が全力で距離を取る。


「何か見落としてる……!」

かなは歯を食いしばる。


かみこが三基の黒木高台と魔法陣を交互に見ている。


かなの脳裏に閃光が走る。


符だけでなく、幾何図形も微かに光っている。強光に隠れて見えなかった。


「三角、円、正方形……三基だ。今は円だけが点灯してる」


「アサシン班、高台へ! 図形を確認!」


アサシンが駆け上がる。


「円!」まつみ。

「正方形!」瑠璃。

「三角!」トリ。


「まつみ、雷導の中へ!」

かなが命じる。


「え……わかった!」


まつみが青雷へ踏み入れる。


バチバチ。


強烈な電流が全身を貫き、身体が痙攣する。HPが毎秒2%減少。


「ぐあああああ!」


魔法陣の光は止まらない。残り四分の一。


「聖職者、全員上がれ! 回復で耐えろ!」


四人が高台へ駆け上がる。ニフェトのみ地上に残る。


五人で雷撃を分担する。損耗が分散する。


魔法陣が再び強く輝く。


カン。


魔法陣に残っていた者たちは再び胸を貫かれる衝撃に襲われるが、先ほどよりは軽い。


「グオオオオオオオ!!!!!!!」


赤牙が再び狂暴化し、両刃斧を振り回す。岩を砕く勢いで乱撃するが、今回は明らかに速度が落ちている。


赤い残像が視界を横切る。


血斧がパシュスの頭上へ叩き落とされる。


ドン!


盾で受け止めた瞬間、石畳がひび割れる。


反射的に突きを返す。


「しまった!」


近接は通らないはず――だが剣はもう止まらない。


キィン。


刃は黒鎧に白い細線を刻んだ。


時間が止まる………剣は折れていない!



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