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歪みきった征服ゲーム――見えない魔王を一緒に討伐しよう!  作者: 純白
【第二部】 第八章—— 竜の遺物
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234 狂竜降臨

「りゅう……竜王……」ただその気配だけで殺されそうな怪物を見上げ、誰もが思考を失う。


「落ち着いて……必ずギミックがあるはず……」ナスティアは立ち上がり、皆を鼓舞する。


雷竜と火竜は近くの峰へ降り、まるで犬のようにおとなしく待機している。


竜王は蟻のような人間を見下ろし、竜爪を前へ踏み出した。その瞬間、複数の魔法トラップが同時に発動する。


竜王に与えたダメージはわずかだが、いくつかの白い鱗が別の色へと変化した。


「淵博の封鎖……スキルが盗まれて、10分クールタイム?!」ナスティアは驚愕し、スキル一覧を確認する。泥沼や氷牢といった魔法がロックされ、使用不能になっていた。


つまり、この先10分間、同じスキルでは竜王に一度しかダメージを与えられない。魔導士の戦力は大きく制限される。


至近距離に現れたことで、狙撃手は距離の優位を失った。彼らは軽装小銃を抜き、構えようとしたそのとき――


「気をつけろ!!!」


白竜王が軽く体を振るい、三本の尾で幾重もの雪を巻き上げ、白い津波となって押し寄せる。


「氷結壁!」ナスティアは巨大な氷の壁を展開し、雪崩を防ぐ。


ドォン!氷壁は衝撃で粉砕され、大量の雪が丸まっているプレイヤーたちへ押し寄せた。


「星火連焼!」賢者たちは足元に溶岩を生み出し、積雪に対抗する。


大量の水蒸気が立ち上り、皮膚を焼くような熱で痛むが、雪に埋もれるよりはましだった。


カルロフは大剣を掲げて吹き荒れる雪を防ぎ、その先に十数メートルにも及ぶ白竜の尾がうねりながら迫っているのを目にした。


ためらいなく踏み込み、そのまま斬りつける。


「グオォォォォッ!!!!!」


白竜王は痛みに吠え、黄金の口を大きく開いて咆哮した。その重い竜の咆哮が雪面の粉雪を震わせ、宙へと舞い上げ、やがてゆっくりと降り積もる。


その一声を合図に、周囲の空に十数体もの青や緑、赤や黄色の飛竜が現れた。


「………………………………」


誰もが言葉を失い、静かに武器を下ろす。


ナスティアはようやく理解した。なぜこのボス戦のフィールドが、これほどまでに平坦に設計されていたのかを。大人数で挑むための場だと。


焦りすぎて、自分は格上に挑んでしまったのだ。


「諦めるな、ナスティア様!竜王は尾への注意が甘い!前で引きつければ三本とも斬れる!」カルロフはなおも諦めず、戦意を燃やす。


「……無理よ、カルロフ……空を埋め尽くすあれだけの数……私たちの手には負えないわ。」ナスティアは苦笑し、薔薇水晶の杖を収め、空を埋め尽くす竜の群れを指差した。彼女の旅は、ここで終わる。


「グオォォォォ~~~!!!ガァァァァァァァ!!!!!!」白竜王が再び激しく咆哮する。


さらに猟竜団の後方に、一体の巨大な黒竜が現れた。


白竜王よりは小さいが、それでも他の上位竜より遥かに大きい。全身に鋭い棘状の鱗を纏い、圧倒的な威圧感を放つ。竜王の護衛と思われた。


それを見たナスティアは、抵抗が無意味だと悟り、その場に座り込む。


「ナスティア様……」仲間たちは為す術もなく、やがて上位竜に包囲されるのを待つしかなかった。


「みんな……ごめん……。もう、できることは全部やった……。黒邪翼は……ここで終わりね……」ナスティアは頭を垂れ、かすかに呟く。


「諦めないでください、ナスティア様!」カルロフが彼女の手を掴むが、彼女はすでに諦めており、ただ微笑み返すだけだった。


白竜王は黄金の翼を広げて飛び上がり、上空から押し潰すように彼らの命を終わらせようとする。


「ありがとう……最後に……仲間と一緒にいられて……」ナスティアはカルロフの隣に立ち、微笑んだ。


白竜王の翼が黄金に染まっていく中、団員たちの心も不思議と穏やかになっていく。もう怯え続ける必要はないのだと。


笑って死ねる――それが、こういうことなのだろうか。


彼らは静かに目を閉じ、この瞬間を受け入れた。


…………………………


ドンッ!骨が砕ける音が響く。


「ガガガガガガガガガガ~!!!グオォォ!!!」


「ギギギギギ~~~ガガガガガガガガガガガ!」


頭上から激しい竜の咆哮が響き、隊員たちは眉をひそめて目を開く――そこには、黒竜が白竜に飛びかかり、狂ったように噛みついている光景があった!


白竜王の鱗は雪片のように剥がれ落ち、傷口から乳白色の竜血が溢れ出す。


「…………」猟竜団はただ呆然と、空中で激突する二頭の巨竜を見つめる。


その瞬間、ナスティアの体が硬直した。


見えた――黒竜の翼膜に刻まれた、黒邪翼のギルド紋章が。


涙が一気に溢れ出し、魂が叫びを上げる。


「あなた……なの……?」


「誰だ?!」仲間たちが驚いて問う。


「あなたなの……ヴラジ……?!」ナスティアは黒竜を指差し、涙を流しながら叫んだ。


「ヴラジ?!」空中で竜王と互角に戦う黒竜を見て、仲間たちは驚愕する。


複数の上位竜が援護に飛来し、様々な竜息を黒竜へと浴びせ、さらに群がって噛みついた。


「グオオオオオオ!!!!!!」


ドォン――――その瞬間、戦場に銀の光柱が天を衝いた。


ナスティアの金髪は透き通る氷結晶へと変わり、肌は純白に染まり、瞳孔からは青い魔力の炎が噴き出す――過負荷。


「全部、氷になりなさい!!」


ナスティアが薔薇水晶の杖を天へと振り上げると、空にいくつもの巨大な氷竜の頭が出現し、ヴラジを囲んでいた上位竜へ食らいついた。氷花が砕け散り、上位竜たちは一瞬で氷漬けにされ、そのまま地面へと真っ逆さまに墜ちる。


「崩天落雷!」極雷が一本、垂直に叩き落とされ、数体の上位竜を痺れさせて動けなくした。


「ヴラジのためだ、行くぞ!!」カルロフは魂喰の大剣を掲げ、墜落した上位竜へ突っ込む。


「竜王の右翼を狙え、撃てぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇ!!!!!!!!!!!!」


ドドドドドドドドドドド!!!!!!!


味方の援護を得たヴラジは一気に圧力を減らし、そのまま白竜王へ猛攻を浴びせ続ける!


戦場は一瞬で怒号に満ちた。人間の雄叫びと竜族の咆哮が混ざり合い、地獄の戦歌となって響き渡る。

...


真っ白な竜首氷原は乱れた血痕で塗り潰され、地面には爆発で穿たれた無数の穴ができ、プレイヤーたちの即席の隠れ場所になっていた。


何体もの上位竜族が倒され、プレイヤーたちはすぐにドロップを確認する。だが、それでも肝心の竜玉は出ない。


決戦はすでに白熱の極みに達していた。両軍とも疲労困憊し、死傷者は増える一方だ。


猟竜団は残り二十人にも届かず、竜族も生き残りは上位竜二体と竜王のみとなっていた。


「グオォ……..................」空から低い悲鳴が響く。


黒竜が白竜王に高空から叩き落とされ、その体には、もはや無傷の場所など一箇所も残っていなかった。


滑らかな鱗は削がれ剥がれ、まるで疥癬に冒された犬のように大片の血肉が露出している。左翼は竜王に食い千切られ、尻には数メートルに及ぶ三本の裂傷が刻まれ、骨が覗いていた。爪はすでに剥がれ落ち、口元も端から一メートル近くまで生きたまま裂かれている。


ヴラジは戦いの間ずっと竜王に食らいつき、さらに他の竜族の攻撃まで受け続けていた。ついに竜王に隙を突かれ、深手を負わされたのだ。


だが、白竜王も無傷ではない。


雪のように白い体表はあちこち焦げ、全身に狙撃手の弾痕と風穴、そしてヴラジに噛まれた跡が刻まれていた。


竜王は地面へ叩きつけられ、そのままヴラジの竜の胸を押さえつけて、口を開いて狂ったように噛みつく。


二頭の巨竜は雪原の上で互いを引き裂き合い、尾が振るわれるたびに大雪が舞い、地が揺れ、プレイヤーたちは近づくことすらできない。


ナスティアの過負荷による疲労は限界に近い。決着は一刻も早くつけなければならない!


だが、魔法は竜の姿となったヴラジまで巻き込んでしまう。そのため、彼女はずっと手を出せずにいた。


その時、白竜王が不意にヴラジの左肩へ食らいつき、肉を塊ごと引き裂いた。


黒竜は耳をつんざくような悲鳴を上げ、地面の白雪は一面、黒泥のような血で染まる。


ドォォ~~!


数発の麻酔弾が白竜王に命中し、わずか半秒、その動きを止めた。


ヴラジはその隙を逃さず、最後の賭けに出る。即座に反撃し、白竜王の首へと牙を深く食い込ませた。


白竜王は狂ったように吠え、黒竜の頭へ何度も爪を振り下ろし、何本もの深い裂傷を刻んだ。黒竜の鱗は黒い雹のように雪原へと降り注いだ。


黒竜の視界が真っ白に染まる。白竜王の雪のような爪が突如その眼窩へと突き刺さり、黄金の竜眼をえぐり取った!激痛に筋肉は制御を失い、ワニのように体をのたうたせる――だが、決して口は離さない。意思の力で痛みを押さえ込み、白竜王の喉へと噛みついたままだ。


二体の巨竜が雪原で絡み合う。まさに今こそ、ナスティアが白竜王を一撃で仕留める絶好の機会だった!


それは分かっている。だが――ナスティアは躊躇した。


ヴラジを巻き込みたくない。

「私……」


「早く!ナスティア様!」カルロフは怒鳴り、大剣を引きずって二竜へ突っ込む。


「わたしは…………っ!グアアア!!生体急凍!!」ナスティアは残るすべての魔力を振り絞り、白竜王の首から下を七秒間、完全に凍結させた。


どうしても――ヴラジにとどめを刺すことはできなかった。


黒竜はそれを見て失望し、同時に力も尽きかけていた。牙が緩んだ瞬間、白竜王に逆に噛みつかれる。さらに白竜王は両腕でヴラジの体を押さえつけ、その喉を噛んで持ち上げた。


「天護の衝撃!」カルロフが叫び、砲弾のように白竜王へ飛び込む。


ヒュッ――横一閃。白竜王の首筋を斬り裂いた。


白竜王は即座に首を折り曲げて傷口を庇おうとするが、かえって無防備な喉元をさらけ出してしまう。


「撃て!!」生き残った狙撃手たちが一斉に発砲!すべての弾が正確に白竜王の眼球へと叩き込まれる!


激痛に白竜王は絶叫するが、凍結により動けない。


その瞬間、黒竜は再び喉腹へ噛みつき、反射的に上へと引きちぎる。


ゴキッ――耳を疑うような骨の砕ける音に、プレイヤーたちは一斉に声を上げた。


黒竜の頭部が引き千切られ、白竜王の喉に噛みついたままの竜の頭だけが宙にぶら下がる。


「耐えろ、ヴラジ様!!」カルロフは天護の衝撃の再使用を待ちながら叫ぶ。


「凝氷術!!!!!!!!!」ナスティアは最後の魔力を振り絞り、白竜王の首の傷口へ続く氷の階段を作り出した。


「早く……生体急凍が……あと……四つ……」ナスティアの瞼は重くなり、意識が揺らぐ。


「うおおお!!」カルロフは野獣のように大剣を引きずり、階段を駆け上がる。踏み切り、一気に跳躍。


ザシュッ――魂喰が白竜王の首へまっすぐ突き刺さる。


白竜王の体が激しく暴れ、氷封に亀裂が走る。


魂喰の大剣をひねり、バキッ!


カルロフは白竜王の頸骨を一気にねじ折った。白竜王はくぐもった声を漏らし、そのまま頭部が地面へと叩きつけられる。


その瞬間、全プレイヤーの視界にメッセージが表示された――


【システムメッセージ: 竜王——ブレイラス 撃破】

【システムメッセージ: 称号獲得 屠竜の覇者】



ヴラジの再登場、皆さんに届いていたら嬉しいです。


次話は、この戦いの“後”です!



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