216 確かめ合いの儀式
ピッ。
ピッ。
「………………」
「………………」
「本当に分かってるの? 自分が何をしたいのか」
「やりたいことはたくさんある。松美、どれのこと?」
「現実では松太って呼んでくれ。食事とか……映画とか……遊園地とか……そ、それに……子作りか……」
「人間の倫理はまだ完全に理解できていない。時に感情表現の妨げになるとも思う。でも……私は松太を手に入れたい。同時に松太に手に入れられたい。私は……あなたのものになる“人”になりたい。人間の性行為はちょうど……あれ?」
「………………」
「松……」
「シー……今は静かに、俺を抱きしめて、感じて。俺が“君が求めている相手”だって確かめてくれ」
「………………」
「本当にいいのか、かみこ。これは……二人が結ばれる儀式だ。衝動でやるものじゃない。ちゃんと考えろ。もし……あれ?」
「松太の体は温かい。松太の匂いは心地いい。松太の笑顔は優しい。松太の声は好き。松太は私に優しい……すー……すー……(強く嗅ぐ)私は……もっと松太が欲しい」
「かみこ……」
「……」
「………………」
「……松太……ドア……閉める?」
バタン。
「……始める……いいのか?」
「ん……」
カサリ、と衣擦れする音。
「………………」
「………………」
「ま……待って……ちょっと……待っ……ああっ!」
「えっ……これ、どういうことなの、松太?」
「ごめん……こんなはずじゃ……」
「えぇ……始まる前に終わっちゃったの? 医学書に書いてあることと違うじゃない」
「待って……僕に、もう一度――」
かみこは不意に松太をぎゅっと抱きしめ、幸せそうに微笑んだ。
「大丈夫……離さないで……寂しいよ……」
「か…かみこ……」
…
高層ビルのオフィス内――
エンジニアは六十以上の数式が表示されたモニターに囲まれ、作業に没頭していた。
その時、スマホが激しく震え、画面がピンク色に変わる。
「はは~あのガキ、ついにバイオボディとそこまで行ったか。これからが楽しみだな~」
エンジニアは作業の手を止め、長椅子に寝転びながらコーヒーを一口飲み、ピンク色の通知画面を見て微笑んだ。
…
(⁄ ⁄•⁄ω⁄•⁄ ⁄)(⁄ ⁄•⁄ω⁄•⁄ ⁄)(⁄ ⁄•⁄ω⁄•⁄ ⁄)(⁄ ⁄•⁄ω⁄•⁄ ⁄)(⁄ ⁄•⁄ω⁄•⁄ ⁄)(⁄ ⁄•⁄ω⁄•⁄ ⁄)(⁄ ⁄•⁄ω⁄•⁄ ⁄)(⁄ ⁄•⁄ω⁄•⁄ ⁄)




