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31.希望はある

リリーは布団に入ってレディジョーカーから言われたことを思い返していた。


繰り返すとは何を言っているのだろうか?


私が過去に戻っていることなのか?それとも歴史は繰り返すということなのか?

再び流行病が猛威を振るうこと示唆しているのか別のことを言っているのか。


布団から出て窓から夜空を眺めた。

月はもう消えそうなほどに細くなっている。星の輝きを見つめても私には何もわからない。


「私の選択次第で世界に大きな悲しみが繰り返されるか…。」


そんなことを言われても困る。

弟子想いの師匠ならきっとその時相談に乗ってくれるはず。でも師匠が居なかったら?

誰にも頼れない状況だったとして私に決断が出来るかしら?


気持ちが沈んでいく。

ジョーカーの言葉が呪いの様に纏わりついてくる。



『不安を数えていたら、数えきれないわ。でも実際にその不安が現実になることなんてほとんどないのよ。

笑顔でいなさい。そうすれば、前を向くことが出来るし、いいことが必ず起きるものよ。』


母さんの言葉をふいに思い出した。


パシッ!


両手で頬を叩いた音が静かな室内にやけに大きく聞こえた。

考えたところでわかることじゃない。


私の未来はきっと明るい!そう信じて行動するしかないのよ。


ニコリと笑った。

少し気持ちが明るくなった。


よし!寝よう!

睡眠不足はお肌の大敵だってよく母さんが言っていたもの。


ベッドに潜りこむと、あんなに眠れなかったのが噓のようにすんなりと眠りにつくことができた。





昼間の出来事について思いを馳せていたのはリリーだけではない。

ギイもまた言葉の意味を考えていた。


リリーのことは大切に思っている。

魔法の才能があったことは驚いてはいるものの、彼女の両親のことを考えれば当然とも思えた。


彼女のことは自分の命に変えても守り抜く覚悟でいる。


命をかけようとしたお方の娘。

私を救ってくれた方の娘。


リリーも私が魔人になりかけていた時助けてくれた。

彼女の存在はいまでは大きい。


だからこそ気になるのだ。

繰り返される歴史とは何のことだ?

彼女の選択次第で世界に大きな悲しみが繰り返されるとはどういうことだ?

レディージョーカーはリリーの何の秘密を知っているのか?


わからないことだらけだ。


誰にだって秘密はある。いつかリリーは私にも話してくれるだろうか。


今夜は長い夜になりそうだ。

横になっても、眠気は一向にやってくる気配がない。


ふと窓の外に目をやると今にも消えそうな細い月が空に浮かんでいた。



翌朝王都に向けて出発した。

イグラクト王国は貿易に力を入れている為、東方諸国の情報や珍しい書物も入ってくるのが特徴のようだ。


師匠は今でも十分すごい薬師様だと思うけど、探求心がすごいのよね。


イグラクト王国に入ったとは言え、王都を目指すには遠い。

これまでも遠い道のりを歩いて移動してきたけれど、乗り合いの馬車に乗ればもっと早く移動することができる。

だけど、町の人の生活を見たり、その地域の特徴、その地域によく自生する薬草や毒草を調べているためどうしても歩きでの移動となり時間も体力も必要になる。


オーランドームで流行病が起こるのはあと1年と少し。

時間があるとは言い難い。


見習い薬師の私ではまだ役に立たないかもしれない。

けれど自分に魔力があることがわかった。それでどうにか出来るかもしれない。


そもそもだが、あの流行病がどんなものなのかよくわからないのだ。

咳をしている人が多かった。そして熱を出す人も多かった。母さんは熱を出すと動けなくなり、急激に悪化して呆気なく逝ってしまった。

症状は風邪のようだが、一気に体調が悪くなるということくらいしかわからなかった。


師匠にそれとなく聞いてみたものの病の特定は難しいということだった。

王都からどんどん地方に広がっていった病で大勢の人たちが命を儚くした。


果たして私はどんな選択を迫られるのだろう。私は何の鍵を持っているのだろう。


考えてもわからない。けれどもしかすると病を食い止めることができるかもしれない。

そんな希望を持ってリリーは旅を続けるのだった。

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