『ドロッセルマイヤーさんのなぞなぞ気分』
角くん視点。
『カマクラコレクション』の後のお話。
「今だと三十分から一時間くらい待つかもって」
俺の言葉に、瑠々ちゃんは俺を見上げたまま瞬きをした。それから、恐る恐るというように口を開く。
「わたしは待てるけど……角くんは平気?」
紅葉みたいな赤いカーディガンを羽織った瑠々ちゃんは、色白の頰にもその色合いが映っていて、秋めいて見えた。
上目遣いに見上げられるのはいつものことなのに、なかなか慣れない。それとも今日は、私服だから余計に落ち着かないのかも。
そんな内心を表情に出さないように、もちろん、と俺は頷く。
「瑠々ちゃんが平気なら、俺も待つよ。今日はこのために来たようなものだし」
俺の言葉に、瑠々ちゃんはほっとしたような笑顔を見せた。人気のパンケーキ、瑠々ちゃんはよほど食べたかったらしい。
店の前にできた列の最後に並んで、俺はポケットから単語帳みたいな大きさのボドゲを取り出した。『ドロッセルマイヤーさんのなぞなぞ気分』は、こういうときにちょうど良い。
適当にめくったページで出来上がったなぞなぞに、瑠々ちゃんは真剣な顔で考え込んで、自信がないのか恥ずかしそうな顔で答えを告げて。それから俺が考えた答えに二人で笑い合って。
俺にとってはそんな待ち時間も大事な時間で。
ようやく辿り着いた大きなパンケーキ、二人で分け合うことになった。瑠々ちゃんが頬張って笑う姿はとても幸せそうで。
今日の予定はまだ始まったばかりなのに、なんだかもう満たされすぎて、いっぱいいっぱいで、溢れて溺れそうな気分だった。
『ドロッセルマイヤーさんのなぞなぞ気分』
・プレイ人数: 何人でも
・参考年齢: 何歳でも
・プレイ時間: 何分でも




