9話 閲覧の仕方
ギルドカードを受け取った私は、猫が飼い主に取った獲物を見せびらかすように、お兄ちゃんに見せると、頭を撫でてもらいます。わしわし。
「このまま何か依頼を受けますか?」
昨日と同じ事を言うキャシーさん、決まりでもあるのでしょうか?
「どうするの?」
「とりあえず依頼のボード見てみようか。」
コクリと頷きボードの方へ移動します、そうですねどんな依頼があるか見てから決めてもいいですね。
ボードの端から順番に見ていく事にします。
『Sランク』
[メラゾ火山に住むドラゴンの卵の採集]
…つまり卵泥棒ですね、火山に行くだけでも大変なのに、そこからドラゴンの卵を盗んでくるとか依頼者は何を考えているのでしょうか?
Sランクの依頼はこれだけですね。
こんな依頼、誰が受けるのでしょうか…。
『Aランク』
依頼は自分のランクの1つ上のランクまで受注できるので私の受けられる依頼はここからですね。
さっそくどんな依頼があるのか見てみます。
「ブラッティベアーの強さ検証、並びに戦闘」
ブラッティベアーがなんだかは分かりませんが討伐ではないんですね?
どんな恐ろしい生き物なのでしょうか?名前からして黒いくまさんでしょうか?
お兄ちゃんには、「殺されるから絶対にこの依頼は受けちゃだめだよ」と言われました、きっと恐ろしい熊なんですね、もし出会ってしまったら死んだふりをする事にします。
その他にもAランクにはなんとかドラゴンとか、キングなんとかの討伐系の依頼がいくつかありましたが強そう!ってだけでよく分かりません。
次はBランクです。
[ギルドの定期便の護衛](Bランク以上 8名程度 Aランク以上は割増アリ)
「それはギルドからの依頼です。」
いきなり後ろからキャシーさんに口撃されました、ちょっとびっくりです。
「ギルドから?」
「はい、冒険者から買い取った貴重な素材や大きめ魔石、一般の手紙などは、いったん王都に運ばれ、そこから各地の街や村に運ばれます。帰りには必要な素材や魔石や手紙とギルド職員のお給料を持って帰ってくるんです。」
"お給料"の所を強調されました…。
「なるほど、つまりお金がたくさん積んであるので襲われやすいと?」
「いいえ、逆に絶対に襲われない安全な依頼です、Bランク冒険者8人と戦闘もできる御者を相手にする盗賊はいませんよ。」
「確かに…。」
「アリスさんも、最初に護衛依頼を受けるなら安全安心のギルド便護衛をオススメします、普通の新人では真似したくても、できない依頼ですけどね。」
「なんで普通の新人さんには真似できないの?」
「普通新人はFやEランク、高くてもDランクの人がほとんどなので、いきなりBランクで登録される貴方達が異常なんです。ただ魔法使いの方はCランクで始まる人はそれなりにいますが…。」
「そうだったんですね、やっぱり魔法ってすごいです。」
「アリスさんはアイテムボックスの魔法を簡単に使ってるようですが、本当は凄く難しい魔法なんですよ?」
「難しい事は知っていたんですが、お兄ちゃんが分かりやすく教えてくれたので、2日で覚えられたんですよ。」
そう言った瞬間、近くで聞き耳を立てていたと、思われる皆さんが一斉にお兄ちゃんに注目します。
「……えっと…どうやって覚えたのかな?」
周りの視線が私に向きます。恐いです…。
「えっと、ぎゅーってしてから、ぐるぐるーってなって、えいっ、ってやったらできたの!」
((((さっぱり分からん!キャシー、もうちょっと頑張って聞き出して!)))
今度は視線がキャシーさんに向いてます、なんなのでしょう?
「シェイドさん、詳しく説明お願いしますー。」
キャシーさんがあまり大きくない胸を強調してます。
「うん?アリスの表現は完璧に近いと思うけど?」
「え…。」
「と言うかアリスが勝手に覚えたってのが正しい、俺は(アリスの魔力で)使って見せただけ。まぁ、才能の部分は大きいと思うけど。」
「…そう、なんですね…。」
かなりガッカリした様子のキャシーさん…と周りの皆さん。お兄ちゃんに才能なんて言われると嬉しいです。
だいぶ話が脱線しましたが、次を見てみましょう
[Bランク オーガの群れ討伐]
これは普通にオーガの群れ倒せばいいだけみたいです、オーガは食べてもおいしくないし皮や骨も使い物にならないから、価値があるのは魔石だけですね、でも無駄に強いのでBランクの依頼になるみたいです。
他にもハイオークやワイバーン等の討伐依頼や剣技、魔法の講師などの依頼がBランクにはありました。
その一つ一つをキャシーさんが説明してくれましたが残念な事に殆ど覚えきれませんでした…。
気を取り直してCランクの依頼を見てみます。
……。
なんと言うか…。依頼が多いです、多過ぎます!多過ぎてB、Dランクの方まではみ出して貼られてます。
内容は弱い魔物の討伐や商隊の護衛なんかがほとんどでした。
もう、めんどくさいので次です次
次はDランクです。
誰だか分かりませんが、評価ありがとうございます。
嬉しいような、恥ずかしいような…ですが、やっぱり恥ずかしいです。