表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
55/60

バレッドスモーク対抗策

バレッドスモークの流れを読むことで、その発生源を探し当てる。

前回もバレッドスモークはどこからともなく現れていた。つまり、回りのバレッドスモークを取り込んでいるわけではないということだ。


「発生源特定。座標確認・・・《空間修復》!」


発生源を見つければ、あとはすぐに塞ぐだけだ。これが新しくできるようになったことの一つ、"空間への直接干渉"だ。空間の歪み、破綻などを意図的に作り出す、または修復することができる。


グォガァァゥゥ!


異変を感じたのか、ベヒモスが唸り声をあげている。バレッドスモークの生成ができなくなったことに気づいたのか、途端に気流が変わった。たぶんこれは、


「回りのバレッドスモークを取り込む気じゃ。」

「孝介様。」

「大丈夫だ。それも対策済みだ!」


──────────────────────────────────────────


バレッドスモークを無効化するための方法。それを作るためにはバレッドスモークを解析する必要があった。それも、ベヒモスが作り出したバレッドスモークでないといけない。だが、魔王城には当然そんなものはなかった。


「どうするか・・・。」

「だよねー、取りに行く訳にもいかないし。」


向こうの状況がわからない以上、下手に踏み込むのは危険だ。因みに《転送》で使える覗き穴とかも試してみたのだが、向こうの空間が乱れてしまっているせいで繋げられなかった。


「解決策が見つからないのじゃ。でもバレッドスモークをどうにかしないと勇者たちは近づけないじゃろうし、攻撃しても修復されるじゃろうし。」


しばらく考えこんでいると、


「あのー、バレッドスモークってやっぱり煙ですよね。」

「そうだな。それがどうしたんだ?」

「ほら、焼き肉とか行くと煙で服に臭いがついたりするじゃないですか。だから、バレッドスモークもその中を通ってきた私たちの服についてたりしないかなー、なんて思ったんですが・・・。」


んー、それはどうだろうか。バレッドスモークが他の煙と同じような物とは思えないし・・・。


「まぁ試してみるか。」

「そうだね。他に方法も思いつかないし。」


というわけで、早速やってみることにした。自分の服を脱いで・・・。


「あ、孝介。その服じゃダメだよ。」

「え?なんで?」

「寝てる間に着替えさせた。だからバレッドスモークにあたってない。」


そうなのか・・・え?


「き、着替えさせたのか?誰が?」

「それは、まぁ・・・ふふっ。」

「ミ、ミナ!」

「わ、私だけじゃない。みんなでやった。」

「おぉぅ・・・。」


せめて先生(まだここでは先生と呼んでいる)には止めようとして欲しかった。


「先生は止めようとしましたよ!」

「そうか!よかった。まだ先生が先生であった。」

「けど、結局先生もやってたのじゃ。」

「それに、先生が一番楽しそうだったと思うんだけどなぁ~。」

「え・・・。」

「うぅぅ・・・。言わないでくださいよぉ。」


いや、否定しないんかい。はぁ、俺の回りにはそういう人しかいないのか。


「とりあえず、誰かの服を貸してくれ。」


仕方ないのでそう言ったのだが、なぜか全員が顔を真っ赤にしてしまった。・・・はい?


「なんか変なこと言ったか?」

「いや、女子に服借してくれって・・・。普通に恥ずかしいじゃないですか。」


あ・・・そういうことですか。ま、まぁ仕方ないじゃないですか、ね?別に(よこしま)な考えがあったわけじゃないんで。ないったらない。


「仕方ないですもんね。先生のを借しますよ。」


そうか。よかった、貸してくれないかと思ったからな。


「あ~!先生そんな言い方して、実は自分のを使って欲しいだけじゃ・・・。」

        「ち、違います!」


先生が被せるように反論する。ただ、目が泳いでないか。まるで図星だったみたいな・・・。


「やっぱり図星だった!ずるい考えだね~。代わりに私の服を使ってもらおーっと。」

「むぅぅー!それこそ井上さんが使って欲しいだけじゃないんですか!」

「え?そうだけど?」

「うっ・・・。ゆ、譲りませんよ!」


あのー、なんか大変なことに・・・。


「ケンカはよくない。間を取って、私の使って?」

「「ダメです!」」

「ヤダ。」


あぁ、ミナまで・・・。早く先に進めたいんだが。あれ?リリはどこ行ったんだ?

・・・と思っているとリリが戻ってきた。


「みんながケンカして進まなそうじゃったから、妾の服を持ってきたのじゃ。ほんと子供じゃのう。」

「お、ありがとな、リリ」

「お安いご用なのじゃ。」

「あー!ずるいよぉ、リリ!」

「そうですよ、ずるいです!」

「ずるい。抜け駆けした。」

「ふふふっ、こう言うときは頭を使わんとのぉ。」

「「「うぅぅ!」」」


なんだか言い合っているようだが、早速解析を始めようか。

まずは本当にバレッドスモークが含まれているのか確認する必要がある。


「《分析》」


えーと、普通に服としての成分があるのと・・・おー!あったあった!


「あったぞ!バレッドスモーク!」

「あったの!ほんとに!」

「あぁ、先生の言った通りだ。」


これで対抗策が作れるわけだ。


「これから詳しい分析に入る。ちょっとの間この服は借りるな。」

「わかったのじゃ。」


・・・みんなもそう睨むなって。

若干痛い視線を受けつつも個室に入って解析にはいった。


──────────────────────────────────────────

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ