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第10話 ジャイアントキリング

「おはようございます。」

「あら?ユーリじゃない、おはよう。確か今日王都に戻るんだったわね」

「はい、今回は長期間王都を離れることが出来ませんからね」


 国王は長期間といったが、その長期間が具体的に何日なのか言われてないため、どれくらいの期間なら問題ないのかわからない。それに長期外出の許可を取るにも申請してから2日かかるため護衛依頼に間に合わなかったんだよね。


「ユーリさんは王都を拠点にしているのですか?」

「はい、王都にホームもありますからね」

「私たちも王都が活動拠点。王都のギルドで会うこともある」

「そうね、私たちが王都に戻るのは数日後になるけど、また、機会があれば一緒にクエスト受けましょう」

「そうですね、僕も月下の雫の皆さんのようなベテランの方々と一緒にクエストを受けられるのはいろいろと勉強になりますからありがたいです」

「はーい、今日の朝食だよ」


 僕は月下の雫の皆さんと雑談をしながら朝食を食べた。


「それじゃあ、僕は先に王都へ帰りますね。皆さん、残りのクエスト頑張ってくださいね」

「ユーリも気お付けて帰るのよ。まぁ、大丈夫だと思うけどね」

「ユーリ、気を付ける」

「気を付けてね」

「お気を付けください。貴方に神の御加護がありますように」

「皆さん、また合いましょう」


 僕は、皆さんと宿の前で挨拶をして、そのまま門を目指した。

 門を出た後は、ニーアの身体強化を発動して、行きの護衛依頼で通った道を全力で駆けた。


「やっぱり馬車と違って走るほうが速いね。身体強化も使っているし」


 走っていると途中で一角ウサギなどを見かけるがすべてを無視してただひたすらに駆け抜けた。というか、ソフィーが共有を使用して僕の魔法を勝手に発動していたため、通り抜けることにはすでに死んでいる状態だったんだよね。素材は範囲には収納範囲に入っている死体のみをソフィーがインベントリに収納していおいてくれた。ソフィーさんマジ便利ですね。


 それから、休憩を挟みながら走り続けたため、街へは到着しなかったけど馬車であと半日もかからないところまで戻ってくることが出来た。

 僕は、インベントリから野営セットを取り出すと、テントの準備をして収納してあった薪を取り出し火魔法で火をつけて焚き火を用意した。

 それから、鍋を用意してソフィーが回収しておいてくれた一角ラビットを解体して、その肉でスープを作って、黒パンを付けて食べた。

 夕食後は、火を消してテントの中に入ると横になった。


「はぁ、今日は全力で走ったからすごく疲れたよ」


『マスター、私が気配察知で見張りをしていますので今日はゆっくりとお休みください』

『『・・・・・』』


 ニーアとレヴィは人化して既に眠ていた。


「ニーアとレヴィは眠っているみたいだけど、ソフィーは寝なくても大丈夫なのかい?」


『ニーアとレヴィは寝ていますが、私たち神器は元々眠る必要はないので問題ないです。それに、私の場合は寝ていても、完全に意識が落ちるわけではないので、スキルの維持に関しては問題ありません』


「なるほど、了解だよ。なら、気配察知に反応があったら僕を起こしてくれ」


『了解ですマスター』


「それじゃあ、僕はもう寝るよ。おやすみー」


『おやすみなさい、マスター』


 走りつかれていたためか、直ぐに意識を手放した。


 ♦


 翌日、気配察知に反応することなく、すっきりとした気持ちで目覚めることが出来た。


「ふぁー、昨日は早く寝たため、体の疲れは完全に取れているようだね。残りの距離も、昨日と同じように身体強化を使って一気に駆け抜けようか」


 インベントリから干し肉と昨日の残りのスープと黒パンを出して食べた後は、テントをたたみインベントリに収納した。

 そのあとは、腰にニーアとレヴィをさし、ソフィーをベルトにかけてから、軽く体をほぐして、身体強化を発動した。


「それじゃあ、一気に駆け抜けるよ」


『『『了解!』』』


 僕は3人の返事を聞いて、街道を走りだした。

 それから、昨日と同じように、ソフィーが魔物を自動で仕留めながら走っていると、突然、ソフィーから声をかけられた。


『マスター、この先に複数の存在を気配察知で確認しました。人の反応が7つに魔物の反応が20です。どうやら、魔物に襲われているようですね』


「状況はどんな感じ?」


『そうですね、人間側が押されているようですね。あ、また一人やられたようです』


 僕は、ソフィーの言葉で戦っているだろう場所の近くまで行き、木の陰から様子を見た。

 

「あれはオークとハイオークか!!」


 どうやら、ハイオークがリーダーで残り19体のオークを率いているようだ。

 僕が過ぎに助けに出ない理由は、いきなり飛び出して攻撃を仕掛けても、ニーアで身体強化をしているとはいえ、もともとのステータスが低いため、強化にも限界がある。それに、ダンジョンでハイオークを倒したとはいえ、あの時は那月たちがいた。しかし、今回は僕一人のため何も考えずに飛び出しても返り討ちにされる可能性が高い。

 今戦っている彼らには悪いけど、確実に勝つためにもう少し様子を見させてもらう。


「鑑定眼発動」


 オークたちの真ん中にいるハイオークと思わしき一番でかいやつに鑑定眼を使用した。


【種族名】オークジェネラル


「オークジェネラル!?ハイオークじゃないのか!!まさか・・・」


 俺は、オークだろうと思っていた奴らにも鑑定眼を使用した。

 結果、ハイオークが3体、16体がオークであることが判明した。


(無理無理!!オークは何とかなるし、ハイオークもダンジョンのボスだったよりは弱いけど、オークジェネラルのステータスが高すぎる!!)


【名前】無し

【種族名】オークジェネラル

【性別】雄

【レベル】20 / 50

体力 800/800

魔力 100/100

筋力 300

防御 270

敏捷 60

器用 30

知力 30

運 10

魅力 0


『マスター、これはさすがに無理です!!彼らには悪いですが、ここは逃げるべきです!!』


「クッ、僕のステータスがもっと高ければ・・・・あ?」


 僕は、ソフィーの言葉でこのまま逃げるために後ろを向こうとしたら、馬車の中に隠れている女性の姿を捉えた。


(ちょっと待って。どこかで見たことあるような?うーん)


 馬車の中に隠れている女性の姿に何かが引っ掛かったような気がして、視力をさらに強化してみた。


 少しツリ目で勝気な印象を受けるが、その中に優しさと気品を感じる容姿にピンク色の髪は僕の眷属の一人でこの国の王族である第二王女のフローラに似ている。

 おまけにちらっと見えた、馬車についている紋章はフローラが持っていた王族の紋章に似ている。というか同じだ。


「あれぇ?フローラ、王族、第二王女、王家の紋章と同じ紋章・・・嫌な予感がする」


 僕は、嫌な予感を感じながらも急いで馬車の中に隠れている女性を鑑定した。


【名前】リリーナ・アークライン

【年齢】16

【種族】人族

【称号】第1王女


 はい、確定しました。100パーセントフローラのお姉さんですね。


 ・・・あぁぁぁぁぁ!!マジか!マジですか!これ助けないとヤバいじゃん。これ助けられなかったらフローラが絶対に悲しむじゃん。なんで、王族の護衛なのに一般騎士なのさ。確かに王国騎士団の騎士だから、普通の兵士よりは強いけど、普通騎士団長クラスの人を護衛につけるよね!!


「3人とも、予定変更だ。彼女たちを助けるよ。というか、全体に助ける!!」


『なるほど、フローラさんのお姉さんが馬車の中にいるわけですか』


「そういうこと。なんとしてもオークジェネラルを倒してリリーナさんを助けるよ」


 ステータス差は数十倍以上あるけど、最初の一撃でオークジェネラルの首を飛ばす。あとのハイオークとは、どうにでもなる。


「僕は縮地を持っていないから、天歩で前に飛ぶと同時に足の裏から魔力を一気に放出して加速する。そしてそのまま、オークジェネラルの首を飛ばす。これでいけると思う?」


『視力、足、肩、腕を集中して強化した状態で刀剣術の抜刀術・居合一閃をうまく首に充てることが出来れば、大丈夫です』


「ダンジョンボスに対して五十嵐さんがやったことと同じことをするんだね」


『そうです』


「了解したよ。その前に、この姿だと後々面倒が起きそうだから、変身を使用して髪の色だけ変えておくよ、それだけで印象はかなり変わるはずだからね」


 魔力の都合で完全な変身は使用できないため、髪の色のみを銀髪に変えた。銀を選んだ理由は、好きな神の色だからだ。


「それじゃあ、そろそろ本気でヤバそうだから、覚悟を決めていくよ」


『『はい!!』』


(集中、集中、集中。もっと集中するんだ。感覚を研ぎ澄ませ。ただ一点のみを狙い集中するんだ。他のことはどうだっていい。もっと深く集中するんだ!!)


 テッテレーン


〔スキル〈集中〉を獲得しました〕


「はぁー、行くよ。足元に魔力を貯めて、軽業、天歩、集中!!」


 足元に魔力を貯めて軽くジャンプし軽業と天歩を同時に発動し、天歩に足がついた瞬間、集中を発動した。


「フッ、抜刀術」


 飛ぶと同時に足元に貯めた魔力を一気に開放し抜刀術の構えの状態で、オークジェネラルに向けて、高速で飛んだ。


「居合ィィィィィ一閃ェェェェェェン!!」


 一つの弾丸のように加速した僕はそのまま、オークジェネラルの首を横に並んでいた数体のオークとハイオークを巻き込んで切り飛ばした。

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