いきなり現れた小さい女の子が頑張っていた件
ふうーんっ!
よく晴れた日の朝。
今は6時くらいだろうか。
いつもより気持ちがソワソワしているせいか、目覚まし時計よりも先に起きてしまった。
ぽちっ、とアラームを解除してカーテンを勢いよく開ける!
青い空、眩しい太陽!
ああっ!こんな気持ちのいい春の日を本来ならば青春と呼ぶはずだ。
全くいつからこの日本という国は!日本国の若者は、、、!
そんな非リアのいがみをぶつぶつ言いつつも自分の男に染まった高校生活を送ろうとしていた俺は、今日から始まる共学ライフに対してちょっとした敵対視を抱いているのだ!
実際問題、高3が高1と関わる機会なんてあまり無いし自分の学年は男子校のまま。自分から女子に関わりに行かなければ今まで通りの高校生活を送ることも出来るだろう。
「よしっ、今日も1日頑張りたるぞっ!」
別に女子がなんだ、共学化がなんだ。俺は俺らしく今まで通りに楽しく過ごしていればいいじゃないか!
と自分に言い聞かせた。
そんなこんなで高校3年生1日目を、
良江木駿河は迎えようとしていたのだった。
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「おい見ろよ!良江木!女子がいる!俺らの学校に女子がいるぞっ!
ああー、やっぱいいよな〜なんだかんだ言って空気が違うもんなぁ〜。」
「そう興奮すんなって中村。
でもそうだな、思ってたよりも制服が可愛いな。男子が学生服で変わらず女子はセーラーか。なかなかセンスを感じるよね。」
ぎゃーぎゃー!
ぶつぶつぶつ。
、、、。
なんなんだよ。
全く、なんだかんだ言って楽しそうじゃねぇかぁああああ2人はっ!
なんだよ、小学生以来久々に同じ学校に女子がいるからってなんだ、この興奮ようは!
共学化はんたーい!とか口先だけではいいつつも実際女子を見ると興奮が抑えきれない中村。
そんな中村を横目にちょっと女子にモテるからって上から目線で勝手に女子のあれこれを評価し始める波佐。
その二人の後ろでつまらなそうにむすってしてるのが俺。
あああああああああっ、せっかく始業式の日だってのに。新学期の始まりだぜ?
女子生徒(高1)だって昨日入学式あったんだからもう校門付近でワチャワチャすることなく自分のクラスに向かってるよ?
でもまあ、、、。
なんだ。よく見たらほかの野郎どもだってチラチラ女子のこと意識してんじゃねぇか。そんなに珍しいかってよ。
朝俺の玄関の前から3人で学校にきてから二人共ずっとこんなテンション。まあ、普通なのか、俺が低いだけなのかっ?!
「おーっ?なになに良江木くぅーん、朝からいけ好かない顔なんて良くないよぉ。ほら、可愛い可愛い後輩の女子達にオハヨーの挨拶行ってくればー?」
いつもに増してうざったらしい中村はおちょくったような顔で俺に近づいてくる。
「こっちに来んな中村。存在がうぜぇんだよ。」
「あ、いつもの良江木じゃん。」
何を納得したのか平然と俺から離れていく。皆案の定かなり浮かれてんな。このやろっ。
全く、
こんな奴らに付き合ってるのがバカバカしくなってきた。この2人のテンションに全然ついていけない。
「おい、俺飲み物買ってから教室行ってっから。先行ってろ」
「えーっ!なんでー?いいじゃん、俺達も今から行くから一緒にクラス発表見に行こうよ、ほらっ中村もっ!」
「おい波佐引っ張んなって。
ちょっと待てよまだ全然時間あるだろ。何のために早く来たと思ってんだって!」
(お前らは女子を見るために始業式の日朝早く来たのか?)
2人のぐだぐだはしばらく終わりそうにないので、黙って背を向けて歩き始めた。
俺の学校の体育館の入口当たりには自販機がずらっとならんでいる。
飲み物は勿論だがアイスや簡単なスナック菓子も置いてあるからかなり便利だ。
まあ、こんな時に誰もいないだろうなとか思った。まだ朝のHRまで時間があるしちょっとベンチにでも座って時間を潰してやろうと思った。
別に先にクラス見て教室入ってもいいんだけどね?!どうせ、教室入ったって女子の話題でもちきりだろ?もう懲り懲りだっての。
そんなこんなで体育館の角を曲がったのだが、
「はっ!」
かなり小さい女子が1人。がジャンプなう。
どうやら自動販売機の最上段のボタンに手が届かないらしく奮闘していた。
確かに自販機の最上段なら普通に手が届きそうと思うかもしれないが微妙に段差の上に乗っていて高さが高くなっている。別に男子校の時はこれに届かないやつなんていなかったからさほど問題視されていなかったが、、、
(届かないとかあるんだ、、、)
てか何cmですか?!150cmいってますか?!男でもチビなやつはいるがこいつも度を越してチビだな。女の子ってこんなものなのか?!
とはいいつつ人生を平和に過ごしたい俺はその女の子を横目に見つつ、スルーしようとした。
(あー、いっつも買ってるお気に入りのクリームソーダ、その自販機なのに)
かといって待つ気にも並ぶ気にもなれず仕方なくコーラでも買うかな、と二つ離れた自販機へと向かう。
「はっ!
あっ届いたあっ!ってえええええ?!っ」
おっ、やっ届いたのか?
ちょっと気になったので足を止めて振り向いた。でもなんかすごい悲しそうなんですけどっ?!
手に持ってたのは俺が大好きなクリームソーダ。なるほどね、そういう事ねさっきのええええっ?!は。間違って買っちゃったやつですかね。
(ははは、良くあるよなそういうこと。)
俺のちっぽけな良心が俺をその女の子の元へと行かせたようだった。
とは、いいつつどう話しかければいいかも分からないのでちょっと戸惑う。
「な、何ですかっ!」
「あ、えーっと、ごめんなさい。あの、そのクリームソーダ間違って買っちゃったんですよね?良ければ俺お金払うんでその、買いますよ?」
「えっ??なんで間違って買っちゃったって分かったのっ?何よ貴方いきなり話しかけてきて何者なんですか?」
(あーっ、つっこみたい気持ちは我慢っ)
なんだこの子は天然か?
この女の子は自然と防御体制みたいなカッコとるし、結構本気で焦って、、、。
いや、ここで引くわけにはいかないだろ良江木!
謎の使命感が俺を焦らせる。
「あの、これ130円です。クリームソーダ130円でしたよね?」
女の子はかなり警戒した目でこっちを見てくる。
「まあいい、ありがとうございます。はい、これ、結構振っちゃったんで開ける時炭酸気をつけてください。」
なんで振ったのっ?!ちょっと待て、このクリームソーダがかなりの危険物質になってきてるんですけど。
て、ええ?受け取ったクリームソーダ、1箇所めっちゃ凹んでるんですけど。
「あの、もう一つお願いなんですけど。」
「え、」
今までの会話でこの女の子は少しやばいことが判明しているのでお願いと聞いてちょっと身構える。
「お水、買ってください。はい、100円です。」
「なんだそんな事か。別に自分で買えばいいじゃないですか!あ、、、」
さっき必死になって飛んでたこの子のことを思い出す。
そうだね、身長が足りないん(ry
「おい、貴方、」
あ、やべ、怒ってる?
「今絶対私の事馬鹿にしましたよね。もういいです。自分で買います。ありがとうございましたっ!!」
「いやいやいやいや、別にそんな事思ってない!、、、訳はないけど決して馬鹿にしたりはしてないですよっ!」
(大嘘)
ちゃりーん!
もう1度お金を入れたその子はもう一度ジャンプをしたが微妙に届いてない。でもかなり惜しいんだな、これが。
ぽちっ。
そう言って俺はこの子が欲しがっていた水のボタンを押してあげた。
「あああああっ!何してくれてるんですかっ!それじゃないですよ!隣です!私富士の天然水じゃないと嫌なんですっっ!」
俺が今押したボタンはpureウォーター。いやいやいやいや、水ってそんなに変わるの?!別にどっちでもいいよねぇ?ねえっ!
「もういいです、今日はあまりお金持ってないんでこれで我慢しますが、、、富士の天然水の方が50倍くらい美味しいですっ。覚えておいてください。
それでは、もう行きますね。ありがとうございました。」
「お、おう。」
その女の子はpureウォーターを抱えそそくさと走って言ってしまった。
その場に残された俺(と危険なクリームソーダ)は結構唖然としていてしばらくそのまま立っていたようだった。
(何だったんだよ、あの女の子は。)




