温かい日差しの下で
冷たい…。頬に雨粒が触れるのを感じる。
絶えず小刻みに耳を震えさせる、馬の駆ける音。それに混じり、火縄銃が放つ重い音、飛び交う矢の風切り音に、刃と刃が反発し合う音。それらの耳障りな音は、私の耳を容赦なく攻撃する。
馬の上にあった私の体は、背後から襲った鋭い痛みの末落馬し、いつのまにか地面に仰向けになっていた。
ひんやりとした地面に背中を当てて私は、ただ空を見ていた。
私の上を覆う黒い雲が邪魔で、太陽が見えない。黒い雲から落ちてきた水滴の矢は、容赦なく私を攻撃してくる。
あとどれくらい待てば、この雲は私への攻撃を止めてくれるのだろうか。どれくらい待てば、温かい日差しは私を照らしてくれるのだろうか。
私は、黒い雲が消え去るのを願った。何度馬に身体を踏みつぶされようと、何人もの戦友が地面に打ちつけられようと、耐えた。その先にある温もりを求めて、次々に襲いかかる苦痛に私は必死に耐え続けた。
そして幾度も馬に踏みつぶされた私の身体は、いつのまにか感覚を失っていた。冷たいという感覚すらない。耳障りな騒音も聞こえない。どうやら私は天にも見放されたようだ。
もともと生まれたくて生まれてきたわけではない。私をこんな荒れ狂った戦乱の世に放った神を、私は憎む。
もしまた生まれ変わることが出来たならその時は、愛する者と共に、戦とは無縁の地の下で暮らしたい。温かい日差しを身体いっぱいに受け止めてくれよう。




