大量の姿絵 婚約者問題
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あれから殿下とイザベラ様を避けつつ学園生活を送っています。
殿下は王族に興味津々のご令嬢たちが周囲にいつも侍ろうとするので避けるのが楽です。今日の昼休みもお昼を食べている殿下のところにご令嬢たちがハイエナよろしく寄って行っておりました。
1人でいる殿下もよろしくないですよね。早く側近や取り巻きを作ればいいのに。
イザベラ様は何か言いたげな視線をよく寄越してきますが徹底的に無視しております。あの手紙にも返信を書いておりません。
学園は平等を謳っていますが、ふたを開けてみれば貴族社会の縮図。やはり同じ派閥で集ったりしていますので、教室で急にイザベラ様が私に話しかけるということはありません。きっかけもないですしね。
授業も1番上のクラスと言うことで他のクラスとは異なる授業内容で中々ハードです。
疲れて家に帰ると、アベルが名前を読み上げながら大量の姿絵を火にくべていました。
「お帰りなさいませ。お嬢様」
「ええ。そんなに届いたの?」
「はい。お嬢様が学園に入学されてから一層増えております。これは……アーネスト・マラカイト様。無視で」
「はい、アベルさん」
エイミーは名簿に名前を書いています。名前の横には「駆除」「要注意」「無視」などと書かれています。
「マラカイト侯爵家からは3人分の姿絵が届いていますよ」
「エイドリアンのは見てみようかしら。あら、結構忠実に描かれているのね。イザベラ様に売ろうかしら」
「お嬢様。それはちょっと……」
エイミーそんな顔しなくても。高く売れそうなのに残念ですね。
「お嬢様、選択授業はいかがですか? 本日は経営学の授業を見学されるとお聞きしていましたが」
「えぇ。とても面白い授業だったわ。色々な方の意見も聞けるし取りたいんだけど、殿下も取りそうだから人数増えすぎたら嫌だわ。でも、ティアもゲイリー様も取るのよね」
アベルはせっせと姿絵を火にくべながら、ピクリと反応する。
「ゲイリー・マクドネル様でございますね。最近よくお話されていらっしゃいますね」
「隣の席だもの」
「お嬢様、くれぐれも変な虫がつかぬようお気を付け下さいませ」
「分かっているわ。学園で最近よく知らない方からお茶会のお誘いや薔薇園を見に来ないかと誘われるけれど全て断っているわよ」
「お嬢様、駆除……いえその方々の家を調べますので名前あるいは身体的特徴をお願いします」
今、駆除って言いましたよね。
最近、学園でうちの薔薇園を見に来ませんかとか、珍しいお菓子が手に入ったのでとか、どこぞのご令息達からよく声をかけられるんですよね。もちろん行きませんけど。だって他の方も来ると聞いて行ってみたら、実は私1人とか嫌じゃないですか。外堀から埋められるのも嫌です。
安心して行けるのはエイドリアンとティアとベイルお兄様のお家だけです。
ああいう方々は私がお父様の跡を継ぐので、公爵家に婿に入りたいんでしょうね。夜会やお茶会ではお父様が庇ってくれていましたが、学園だと自分で対処しないといけません。やっぱり早く婚約者を決めないといけませんかね。
アベルに名前や特徴を伝えると、さっそく庭師のところへ知らせに走っていきました。
「あ、お嬢様。こちらを見てください」
エイミーが差し出した姿絵はゲイリー様のものでした。
「どうされます? 今までマクドネル伯爵家から姿絵は届いたことはありませんが」
「そうね、エイドリアンのと一緒によけておいて。ゲイリー様は面白い方よ。第1王子に付くのか第2王子に付くのか学園で見定めている感じね。あの家も中立派だものね」
「もう!お嬢様。派閥とかパワーバランスとか置いておいて、まずはその方をお好きかどうかですよ。旦那様も多少なら派閥でも家柄でも力業でなんとかされますから」
「そうね。でもよく分からないわ。最近よく話すクラスメイトの姿絵を焼くのもしのびないからやっぱりよけておいて」
「はい! かしこまりました!」
エイミーは喜々として姿絵を2枚よけた。
「じゃあ私は課題をやってくるわ」
宿題も毎日出ますし、予習・復習も必要です。
ダンスもうちのクラスは難しい曲をやらされます。
婚約者の件も領地の勉強もありますし、ほんとにイザベラ様の話を聞く時間も、殿下のお悩み相談に付き合う時間も惜しいです。
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