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ダンス試験 第1王子はやはり不機嫌王子

短編のつもりが段々長くなってきました。

お読みいただきありがとうございます。

ふぅ…………この2日間は若干記憶が飛んでおりますわ。

答案用紙をひたすら埋めていた記憶はありますが、どの科目から試験が行われたかさっぱり思い出せません。

試験は基礎から応用まで幅広い問題が出題されていました。

この国を豊かにするために考え付く政策を書けと作文させられたものもあります。私は各地で対応の差が大きい孤児院を国が管理して待遇を画一化する、ということを書きました。理想論ですが、しっかりとした教育を行えば良い人材が育って結局は国のためになりますからね。あと「孤児院」という名称が私は好きではないので名称を変更した方がいいと書いておきました。これに関しては他の方々の回答がちょっと気になります。


今日はティアが苦手なマナーとダンスの試験。

マナーの試験は5人ずつのグループに分かれてお茶会でのマナーという設定でした。

男性陣は別の設定でマナー試験が行われるらしく、男女別々の試験でした。お茶会はいつもドレスで参加ですが、今日は制服なのでむしろ動きやすかったです。

しかし、同じテーブルにはスプーンを落として自分で拾おうとするご令嬢がいたりしてびっくりしました。あとはカップに両手を添えて飲んでいたり。見たことがない方々でしたが……。

教師は目を光らせていて、粗相がある度に容赦なく手元の紙に何かを書きなぐっていました。



お昼休憩をはさんで、最後のダンスの試験です。全員で行うので講堂に集められました。

公平を期すためにダンスパートナーはくじ引きで決められます。

番号の書いてあるくじを引いて、同じ番号を引いた男性とペアになって踊ります。番号の早い順から5組ずつ踊っていきます。


「ティアは何番かしら?」


「私は7番」


「同じ組ではないみたいだわ。私は3番だもの」


ティアと同じ組でダンスできないのはちょっと残念ですが、さくっと終わらせて見物を決め込みましょう。あ、その前にパートナーは誰でしょう?

先生に番号を呼ばれて講堂の中央に最初の5組が集まります。


「3番のペアはこちらへ」


髪をキッチリひっつめた隙のない貴婦人然とした女性教師の声に誘われて指定の場所に行くと、ペアの方もいらっしゃいました。あら、この方は宰相様のご子息ですわね。名前はすっかり忘れましたが。


「ゲイリー・マクドネルです。ダンスは苦手なんだが……あなたの足を引っ張らないよう善処する」


そうそう、やたらと長い歴史を持つマクドネル伯爵家の次男ですわ。宰相や財務といった国の重要なポストを代々担ってきた頭脳派家系。昔の話ですが王女が降嫁した家でもあり、伯爵ではありますが公爵に匹敵するような力を持つ、パワーバランスとして無視できないお家です。


ダンスが苦手と先におっしゃるなんてゲイリー様は真面目な方ですわね。緊張しているのか表情が固いです。しかし、第1王子の不機嫌顔に比べればまったく大したことはありません。

黒い髪に青い瞳、理知的な顔立ち。お父様と同じ色なのでちょっと安心します。眼鏡があれば完璧なクールインテリですが、残念ながらないです。女性陣から熱い視線が向けられているので、この方もイケメンなのですね。お父様の方が断然かっこいいですが。


「アルトリリー・カスクートです。私も足を踏まないよう精いっぱい頑張りますわ」


ゲイリー様は鍛錬をされていないのか線の細い方です。しかし、足が長い。大丈夫でしょうか、これ。

よく一緒に踊るベイルお兄様は足短いのに。本人も気にしているのか言ったら怒られます。


講堂の隅にはわざわざ楽団が呼ばれており、教師の合図とともに演奏が始まりました。

踊りながら周囲に目をやりますが、イザベラ様も第1王子も同じ組にはいません。

知り合い?とは同じ組ではなかったようです。あら? 入口に見慣れた赤髪が見えました。踊りながらちらりと目を向けると、思った通りエイドリアンです。ベイルお兄様もニヤニヤしながら一緒にいらっしゃいます。

講堂が広すぎて気づきませんでしたが、上級生は勝手に見学に来て良いようで、30名ほど見学に押しかけてきていますね。ほとんど女性です。どうりで講堂が暑いわけです。みなさん、王子目当てなのは明白。

エイドリアンが口パクでがんばれと言っているのが見えます。私はダンスがそんなに苦手なわけじゃないのに余計なお世話です。でも、応える様に少し笑顔を作るとゲイリー様に視線を戻しました。


ゲイリー様はダンスが苦手とおっしゃってましたが、普通に上手いです。これで苦手と言われたら本当に苦手な方々が泣くレベル。あら? ゲイリー様の顔が少し赤くなっていらっしゃいますわね。まさかこのくらいのダンスでへばったわけではないはず。そんなことを考えていると音楽が終わりました。ふぅ、これで私の試験は終了です。


ゲイリー様にお辞儀をしてさっさとティアのいる位置へ。ティアは入れ違いに呼ばれて行きました。大丈夫でしょうか。あら、ティアと同じ組には第1王子とイザベラ様もいらっしゃいますわ。でもお2人はお互いのペアではないです。イザベラ様のパートナーはちょっと軽薄そうなどこぞの子息。あれはもしかして女好きのポール様の弟では? イザベラ様、不機嫌そうです。


そして第1王子は……いつものごとく不機嫌王子です。王子のパートナーは、先ほどのマナー試験でスプーンを落として自分で拾おうとしていたご令嬢です。明らかに王子を見上げて頬を染めています。うわぁ、みているこちらも不安しかありません。

ティアのお相手はよく知らない方ですわ。でもティアが笑顔で挨拶しているので悪い人ではないのかな?目立つ容姿ではありませんが誠実そうな感じです。


さて、音楽が始まりました。

まぁイザベラ様、ダンスお上手。さすが未来の……あ、これは言ったら怒られるヤツです。ポール弟も上手いですね。さすがに試験なので兄のように足を踏まれることはなさそうです。


ティアは……お、中々サマになっています。笑顔を浮かべているのがいいですね。もしや温泉の話でもしたのでしょうか。練習より動きが滑らかですよ!


そして一番注目を集めているであろう、第1王子。

うわぁ、相手が酷すぎる。殿下めっちゃ足踏まれてる。

それに何なんでしょう、あのご令嬢。足を踏むたびに殿下への密着度が上がっています。そのたびに殿下は丁寧に引きはがして元の適切な位置にしているのですが……うわぁ、また……。はしたなくも抱き着いているような感じになっています。ひどすぎる。殿下は不機嫌さMAXですね。


何度も続くのでさすがにギャラリーもザワザワしだしました。


「なぁに、あの方、はしたない」


「わざとですわ、絶対」


「試験なのに余裕です事」


「あの方、メイヤー子爵家のご令嬢ですわ。市井出身で最近引き取られたという」


ほんとにいたよ、小説みたいな背景の人。

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