7.これが愛
あぁー頭が痛い、痛いと、またもやと嘆く。こういうときはしじみ汁だと、インスタントにお湯を注いで、ずずずっと口に流れる味噌の味。ふう、沁みるなぁ。ほっとするとすっきりしてくるものだ。飲酒は__忘れてすっきりできるような気分が、魅力的だ。ぐわんぐわんとすれば、上も下も同じで、右も左も変わらない。すべてを手放せる。なんて楽で、魅力的で、地面が近くて底が暗くていいんだろう。自堕落なのは、棘が刺さっていることがいい。このまま……。
ピンポーンと家の呼び鈴が鳴る。朝からなんだ?となんとか気持ちで身体を動かして、扉の前までゆく。
「はーい……どちらさまで」そう答えながら開ければ……紗織だった。は?頭が働かず、なにかが埋めているようで、ぱんぱんぎちぎちな脳の中。
「え?」かろうじて声に出す。低くて、落ち着くように下に落ちていく声。
「涼太くん、おはよう」
理想的な彼女の出立ちは__つまりおかしい。おかしいと警告が暴れて見える。
失礼するね。結構片付いてるね〜。あ、お酒飲んだの?休みなよ〜。と言いながら、紗織は部屋に上がってゆく。可愛らしい彼女と言った感じで、なんらおかしくない。奇妙で異様な知っているそれがにやりと笑うのだ。こちらに顔が向いてにやりと微笑んでいた。
「涼太くんのお家入っちゃた〜」
恍惚としても見える赤らんだ頬が、自分の家に見えるのはいたく無様で、馬鹿で冷や汗が流れるのを感じる。部屋に大きな蝋燭が、絶えることのない灯がいるのはおかしかった。それを受け入れようとしている自分もまた滑稽で、捕らえられていたのだ。
「あ、あのさ」
震える声。
「なに?」
長い黒髪を可愛らしく結んだ彼女が振り返る。
「い、家、どうして……?」
わかりきって聞く。答えてくれるのだろうか。
「そんなのどうでもいいでしょ?」
邪悪かひどく可愛らしいのか、もう見分けなんてつかない。
「好きだよ、涼太くん」
愛おしく感じているのはこちらもで。しかし、聞く。
「ど、どこが?」
「言ってもいいの?」
「うん」
「ふふ、やっぱり、全部、最低なところ」
「はは」
笑いは乾いているのか、歓喜に上がっているのか、俺の耳にはもう聞こえない。
「ふふ。大好きだよ涼太くん」




