静かな強さ
書き方を模索中…
グランドフォール学園 第一闘技場。
巨大な石造りの闘技場の中央で、次の試合の準備が進んでいた。
リングの周囲には白い線が描かれている。
その外側に審判席、さらにその外側には何段にも重なる観客席。
Cクラス、Bクラス、Aクラスの生徒たちが、びっしり座っていた。
空気はさっきより熱い。
ノエリアは観客席の前列で座っている。
まだ試合の余韻が残っていた。
腕が少しじんじんする。
隣でフィアが水筒を渡してくれた。
フィア
「ノエリアちゃん、ちゃんと受け止めてたねぇ」
ノエリア
「押されっぱなしだったけどね」
フィア
「ううん」
ゆっくり言う。
「最初より、ちゃんと立ってたよぉ」
その言葉にノエリアは少し照れた。
そのとき。
ダニーが後ろの席から身を乗り出してきた。
ダニー
「次ジェイドだぞ!」
ハイジは腕を組んだまま、リングを見ている。
ハイジ
「見とけ」
「レベル違うぞ」
リングの中央。
黒い制服の男子が歩いてきた。
ジェイドだった。
金色の髪がライトを受けて光る。
静かな足取り。
まるで緊張していない。
ノエリアは思わず呟いた。
ノエリア
「ジェイド……」
対戦相手もリングに上がる。
Bクラスの男子。
背が高く、槍を持っている。
槍使いらしい。
その男子は軽く笑った。
Bクラス男子
「Cクラスか」
槍を回す。
「すぐ終わるぞ」
観客席が少しざわめく。
だが。
ジェイドは何も言わない。
ただ静かに剣を構えた。
その姿を見て、ハイジが小さく笑う。
ハイジ
「ほら」
「もう勝負ついてる」
ノエリアが驚く。
ノエリア
「え?」
審判のウィリアムが手を上げる。
ウィリアム
「試合開始」
次の瞬間。
Bクラス男子が踏み込んだ。
「はぁっ!!」
槍が一直線に突き出される。
速い。
空気を裂く音がした。
しかし。
ジェイドは動かない。
カンッ。
金属音。
ジェイドの剣が、槍の軌道を軽く弾いた。
本当に軽く。
まるで触れただけ。
Bクラス男子が一瞬驚く。
「っ?」
その隙。
ジェイドが一歩踏み込む。
速い。
ノエリアの目が追いつかない。
次の瞬間。
ジェイドの剣が男子の槍の柄を叩いた。
ドンッ!
槍が弾き飛ばされる。
観客席がざわめいた。
「はやっ!」
男子は慌てて後退する。
しかし。
ジェイドは追わない。
静かに構えたままだ。
ダニーが興奮して言う。
ダニー
「うわっ!」
「見た!?今の!」
ノエリア
「速すぎて見えなかった……」
フィアはふわっと笑った。
フィア
「流れだねぇ」
リングの中央。
Bクラス男子が少し苛立つ。
Bクラス男子
「ふざけるな!」
槍を拾う。
今度は連続攻撃。
突き。
横薙ぎ。
下段払い。
槍が風を切る。
だが。
ジェイドは全て避ける。
無駄な動きがない。
ほんの数センチずつ体をずらすだけ。
観客席が静まり返る。
ハイジが低く言う。
ハイジ
「見ろ」
「無駄ゼロだ」
ジェイドがついに動いた。
男子の突きを、剣で横に流す。
そのまま体を回す。
次の瞬間。
剣の柄が男子の胸に当たった。
ドンッ!
男子が後ろへ吹き飛ぶ。
リングの外へ落ちた。
砂埃が舞う。
静寂。
ウィリアムが言う。
ウィリアム
「勝者、ジェイド」
次の瞬間。
観客席がざわめいた。
「早っ!」
「一瞬じゃん!」
ノエリアはぽかんとしていた。
ノエリア
「……すごい」
ダニーが笑う。
ダニー
「だから言っただろ!」
ハイジは肩をすくめる。
ハイジ
「まだまだだぞ」
フィアがのんびり言った。
フィア
「でもねぇ」
「ジェイドくん、ちょっと楽しそうだった」
リングの中央。
ジェイドが剣を下ろす。
その視線が、観客席のノエリアに向いた。
ほんの一瞬。
目が合う。
そして。
ジェイドは小さく言った。
ジェイド
「次はお前だ」
ノエリアの心臓がドクンと鳴った。




