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早朝の練習後。俺は先に宿で朝食を終え、みんなが

食事する間に警備隊の詰め所に向かった。

船と操船出来る人をお願いしないと。警備隊の人は

分かりました!と快く返事してくれて、手配出来次第

こちらに連絡しに来てくれる旨を約束して宿に戻った。

戻ると、みんなが朝食を終えて食堂で待機していた。

テーブルの食事後の皿を見ると、いつもより皿の数が

少ない。緊張からか、みんなあまりちゃんと食べれて

なさそうに見える。

「ジュン様!おかえりなさい!」

「お待たせ。」

「ジュン、詰め所に行ってくれたんだろ?

ありがとうな!船の手配はどうだった?」

「うん、すぐに用意してくれるって。出来次第ここに

声かけに来てくれる手筈になってるよ。」

「そうか。じゃー待ってる間に準備進めておくか。」

小一時間程、こちらの準備が整った頃。

ちょうど警備隊の人が呼びに来てくれた。全員に一気に

緊張感が走る。俺はみんなを見回して

「これは、信用してないとかじゃなく言うね。

やっぱり不安だ、怖いって思う人は気にしないで

残ってくれていいからね?」

俺の言葉に、誰一人、周りを見回す事なくこっちを

見る。

「ジュン、行こうぜ?」

ロナールが俺の肩を軽く叩き、笑って言った。

「うん。よし、行こう!」


シスの港。

港町だけあって、たくさんの船が船着場に停まっている。

その中の1つ、俺のイメージでは漁船くらいの大きさの

船を出してくれた。

俺たち6人が乗るには少し大き目な感じがするけど

すぐに回帰の海域を抜けられない可能性を踏まえて

10日間寝泊まり出来る様にしてくれたらしい。

すごい気を利かせてくれてる。ありがたいな。

警備隊の人に頭を下げて感謝を伝え、船で出航準備を

している船長さんと思われる方に声をかけた。

「すみません!

警備隊の方にご紹介頂いて来たのですが!」

船長と、2人の船員さんがこちらに気付き

「おお!待ってたぞ!もう準備は出来てる。

すぐに出るんだろ?とりあえず乗ってくれ!」

そう言ってくれたので、みんなで乗り込んだ。

船員の人が船を止めてたロープを解く。

船は帆を張りゆっくりと進み始めた。

船長さんが甲板に降りてきて

「俺はこの船の船長のハイバースだ。そこの2人は

オルカとイラだ。よろしく頼む。」

と、握手を求めて来てくれた。俺はその手を握り

「ありがとうございます。

俺はオキタ ジュンといいます。仲間は」

と紹介しようとすると、それぞれが

「ロナールだ。」

「ヤムです。」

「メイラールといいます。」

「・・・コッツ。」

「セフィルです。」

それぞれ自己紹介してくれた。セフィルとコッツは

町中では目深にしてたフードを浅目に被って

ちゃんと顔が見える様にしてた。

「おー、なんだ!べっぴんばっかだな!」

船長の言葉に、ロナールが

「そーだろーそーだろー。だが、手は出すなよ?」

笑って言った。顔は笑ってたけど、目が笑ってない。

「ばーか言うな。冒険者になんて手を出したら

こっちがボロクソにされちまわー!」

ガッハッハ!と豪快に笑う船長。ちげーねーな!と

合わせて笑うロナール。

冒険者ではないけど、まぁ良いか。

「話逸れちまったが、ジュン。警備隊の奴に聞いたが

回帰の海域を抜けたいんだって?

その向こうにいるかもしれない流浪の魔術師を

追いかける為に。あの海域は俺も何度も抜けようと

試みたが、1度たりとも抜けられた事は無いぞ?

確かに、抜けたかもしれねぇって3人組の冒険者が

いるって話は聞いたが。」

ハイバースさんが、俺に話しかけてきた。

「そうなんです。おそらくはこの先にいるというのは

この石の光が指しているので分かっているんですが。」

と、石の光の事をかいつまんで説明した。

「なるほどな。確かに、光は回帰の海域を指している。

まー何にしても、俺らは雇われたんだ。必要な行動を

するだけだ。それに光を辿れば方向だけは間違いなく

進めるなら、迷う心配すらねぇ。」

「よろしくお願いします。」

「任せとけって!」

そう言って、俺の背中をバンバンと叩き、定位置?の

船室に戻った。

しばらく船は順調に進む。

空も晴れ渡り波もそこまで荒れてなく、程よく

吹き流れる風と波の揺れが心地良い。船酔いって

どうだろって思ってたけど大丈夫そうだ。

あ、そういえば

「セフィル。ちょっと聞いていい?」

フードを目深に被り直して、俺の隣で海を眺めている

セフィルに話しかけた。

「うん、どうしたの?」

「セフィルってさ?シルフに助けてもらって

素早く走れるでしょ?

あれって、俺もシルフに頼んだら出来るのかな?」

「うん。ジュンの親和性なら出来ると思うよ?」

「どうしたらいい?」

「1番確実なのは、あのジュンに懐いてる子にお願い

する方法かな。あの子が近くに居てくれたら、精霊語で

呼びかけるのが1番間違い無いと思う。まぁ他の子でも

ジュンの親和性なら聞いてくれると思うけど。」

「そっか。そしたらまず、あの子がいるかだね?」

俺は少し上を向き

「もし近くにいてくれてたら、この前みたいに姿を

見せてくれると嬉しいな。」

何も無い空間に向かって問いかけた。すると

ふわり

俺の横にまた、現れてくれた。

「ありがとう。さて、精霊語かぁ、覚えられ」

「は?・・・って!ジュン!?なんで

当たり前の様に自分の言葉で呼び出せてるの?!!」

あまりにも当たり前の様にシルフを呼び出した

ジュンを見て、セフィルが慌ててジュンに問うた。

「え?あ、この前声かけたら姿を見せてくれたから

今も見せてくれるかなって。」

ほんっとになんなの?この人は!!

100歩譲ってヴァルキリーはジュンの精神から

産まれてるから、ジュンの言葉でも届くかも

しれないけど、シルフは何も関係無いじゃない!

なのに当たり前の様に自分の言葉で召喚してるよ?!

物凄く呆気に取られた顔のセフィル。えっと

「何か、違った?」

俺の言葉に、はぁ、と深くため息を吐くセフィル。

この人の親和性は今更かぁ。

精霊が、精霊語の強制力無しに姿を見せるって

よっぽどのはずなんだけどなぁ。

苦労して精霊語覚えても、親和性の低さで召喚

出来ないでいる精霊術師の人が見たら怒り狂いそうね。

「ううん、大丈夫。

そしたらその子に、精霊語じゃなくて自分の言葉で

良いから 走る時に自分を運んで とお願いして

動いてみて。」

「分かった!

俺の事、走る時に運んでもらって良いかな?」

俺の問いに、シルフがニコリと笑った様に見えた。

シルフが俺の肩に乗る様に止まると、全身が優しげな

風に包み込まれた。

甲板の端に立ち、対角線の1番長い距離を

走ってみよう。肩幅より少し広めのスタンスに

軽く膝を曲げる。

懐かしい、バスケのパワーポジション。

ダッシュはやっぱりこの姿勢からだよな。

鋭く強く一歩踏み出した途端!

「うわ!」

身体が強烈な追い風に押される様に前進する!

船とは言え、バスケのハーフコートくらいある甲板の

対角線を飛ぶ様に走る!船のへりがすぐ目の前!

くっ!

ズザザザザ!

身体を横に向けてスライディングするかの様に

急ブレーキ!

ドンッ!

船のへりに前に出した足をぶつけて止めた。

あっぶねー!危うく船から落ちるとこだった!

振り返って走った距離を見る。この距離、俺3歩で

行ったよな!肩にいるシルフに

「すごい!すごいよ!ありがとう!

必要な時にまた、お願いしても良い?」

俺の問いかけに、シルフはまた

優しく微笑んだ様に見えて姿を消した。

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