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第一幕 第八場

 広場の少し離れた建物の物陰には村長と女中のグレーテル、それに猟師十八人が集っていた。


「村長さん」猟師の若者であるハインリッヒが言った。「みんなを呼び出したりして何かあったんですか」


「村長様に代わり私が説明します」グレーテルが一歩前に出る。「猟師のみなさまにお伝いしなければいけない事が二つあります。まず一つ目ですが、村の外の警護にあたっていた猟師より、巨大狼ビッグウルフの襲撃に見舞われたがなんとか撃退したとの事。その際にビッグウルフは今日中におっぱい村の住人を皆殺しにすると予告したとの事です」


 猟師達がざわめき始める。


「お静かにお願いします」グレーテルが一同を制する。「二つ目ですが、猟犬ズルタンの協力のおかげで脅迫状の送り主が絞り込めました。犯人はおっぱいコンテスト出場者の中の六人のうちの誰かです」


 猟師達が先ほどよりも大きな声でざわめき始める。


「そんな馬鹿な」ハインリッヒが信じられないといった様子で言った。「どうしておっぱいコンテスト出場者がそんなマネを? いったい犯人は誰なんです?」


「残念ながらおっぱいコンテスト出場者が集まっていたテントに、強烈なニオイの香水が充満していため、犯人の特定にはいたりませんでした。ですがおっぱいコンテスト出場者の中に脅迫状を送りつけた人間がいることは間違いありません。ですから猟師のみなさまにはおっぱいコンテスト出場者の監視にあたっていただきたいのです」


 猟師達が互いに顔を見合すと力づくうなずく。


「これはあくまでも私の推測ですが、おっぱい祭りを狙っての脅迫状に狼達の襲撃。あまりにも出来すぎていると私は考えています」


「まさか!」猟師の一人が大声をあげた。「この二つの事件は何者かによって仕組まれたとでもいうのですか。しかもそれがおっぱいコンテスト出場者の手によって」


「おそらくは」グレーテルはうなずく。「そう考えるのが自然かと」


「俺には信じられない」ハインリッヒが言った。「そこまでしてなぜ、おっぱいコンテスト出場者が、おっぱい祭りをめちゃくちゃにしようとするんだ」


「それは皆目検討もつきません。ですが犯人を捕まえればわかること」グレーテルは広場を指し示す。「今現在所在が明らかになっているのは広場にいるマリィーお嬢様とエルゼの二人だけです。みなさまには幼女ザンネに貧乳娘リーゼ、それに爆乳女のイルゼビルを探し出し、監視にあたっていただきたい。きっとおっぱい村のどこかにいるはずです」


「あれ?」ハインリッヒが言った。「トリーネさんは?」


「トリーネさんには村の外にいます。ですがご安心を。ズルタンが監視についています」


「ズルタンがどうして?」猟師の一人が言った。「村で待機を命じられていたはずだ」


「ズルタンは賢い猟犬です。私たちが猟師から狼襲撃の報告を聞いているところを、トリーネさんに盗み聞きされてしまい、彼女が狼狩りに参加すると言ってきました。脅迫状を送りつけてきた人物がおっぱいコンテスト出場者にいることを突き止めても、それ以上わからなければ全員を監視するしかない。しかし村の外へ出てしまえば監視は難しい。ならば自分がお供する事で監視しようと、老いた体に鞭打ちトリーネさんについていきました」


 ハインリッヒが渋い顔をする。「ズルタンのやつ無茶しやがって」


「嘆いている暇はありませんよハインリッヒさん。ズルタンの行動を無駄にしないためにも、みなさまには火急速やかにおっぱいコンテスト参加者の探索と監視をお願いします」


「しかしグレーテルよ、やってみてわかったんだが」ハインリッヒが言う。「これだけの人数で村の全域を探索をするのは人手が足りなすぎる」


「村長様」グレーテルが村長に顔を向ける。「他の村人の協力を得るのはどうでしょうか?」


「だめだ」村長は首を横に振る。「そんなことをすれば皆パニックに陥ってしまう」


「ならばいたしかたありません。私が広場にいる二人の監視にあたります。猟師のみなさまは他の出場者の探索と監視をお願いします。念のため二人ほど村長様の護衛についてください」


「それはかまわないがグレーテルよ」猟師の一人が言った。「広場を監視するっていったって、女中のあんたがずっと広場にいるのは目立ちすぎるぞ」


 グレーテルは口元をにやりと歪める。


「大丈夫です。私に考えがあります」そう言うと村長に顔を向けた。「村長様。私におっぱいコンテストの飛び入り参加の許可をお願いします」


「なんじゃと!」村長は思わず叫んだ。


「おっぱいコンテストの出場者は人の多い広場でアピール行為を行うのが慣例です。それならば私もおっぱいコンテストに参加し、広場にいる他の参加者を監視するのが一番かと。それならば女中の私が広場にいても怪しまれません」


「しかしな、それだと娘のマリィーの優勝が……」


「村長様」グレーテルは語気を強めた。「今はおっぱい祭りを無事執り行う事。そして命を狙われているご自身の身の安全を第一に考えてください」


 村長はしぶしぶ了解する。「……わかった」


「それでは私はおっぱいコンテストに飛び入り参加してまいります。村長様は護衛の猟師とともに屋敷で待機しておいてください」グレーテルはそう言うとにっこりと笑う。「大丈夫ですよ。狼達の事も脅迫状の犯人も私たちにまかせて、村長様は自宅でくつろいでてください」


「……うむ、わかった。みんなたのんだぞ」


 一同は声をそろえて返事するとあたりに散っていく。


 村長は二人の護衛役の猟師とともに屋敷へと戻っていく。

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