第一幕 第七場
広場の少し離れた建物の物陰で、村長と女中のグレーテル、老いた猟犬ズルタンは猟師から報告を受けていた。
「我々が怪しい者がいないかと森の中を探索したところ、森の奥で狼達の焼死体を発見しました。我々がその焼死体を調査していると、突如巨大な狼が出現し、おっぱい村の人間を皆殺しにすると殺害予告しました。その巨大な狼はおそらく人食い狼として名高いビッグウルフだと推測されます。我々はビッグウルフと交戦になりましたが、なんとかこれを撃退。ビッグウルフは退却する際に、仲間を率いておっぱい村を今日中に襲撃すると予告しました」
「なんじゃと」村長の顔が青ざめる。「どうして狼がおっぱい村を襲おうとするのじゃ」
「村長様」グレーテルが言った。「おっぱい祭り当日を狙っての脅迫状に狼の襲撃予告。偶然にしては出来過ぎではないでしょうか?」
「グレーテルや、まさか同一犯とでもいうのか?」
「いえ、そうではありません。おそらくは村の内部に狼達を手引きした者がいるのではないかと。たぶんそいつが脅迫状を送りつけた人物」
「なんてことだ。それが本当だとしたら敵は村の中と外、両方にいることになるではないか」
「ほ、ほ、ほ。話は聞かせてもらいましたよ村長」
唐突に頭上高くから声が聞こえた。みなが上を見上げると、建物の屋上に巨漢の老婆トリーネが腕を組みながらこちらを見下ろしていた。
「とう!」
トリーネはかけ声とともに屋上から飛び降りると、一同の前になんなく着地してみせた。
「村長。この私が狼どもを始末してきましょう。せっかくの祭りを台無しにされては困りますからね」そこでトリーネは猟師に顔を向ける。「さあ、現場に案内しておくれ」
「おお、トリーネさん」猟師は感激した様子だった。「村一番の戦士が力を貸してくれるとは、これはありがたい。すぐに現場に——」
「待ってください!」ズルタンが叫んだ。「私も行きます。連れて行ってください」
「ズルタンよ」村長が言った。「年老いたお前には狩りなど無理ではないか。無謀すぎるぞ」
「よいではないですか村長」トリーネが言った。「老いたとはいえこの子も猟犬。きっと役に立つはずですよ。それに私もついています。何の心配もいりませんよ」
「村長様」グレーテルが言った。「行かせてあげましょう」
「ほほほ、決まりですね」トリーネはそう言うとズルタンを連れて猟師とともに行ってしまう。
「グレーテルよ、これでよかったのかね」
「はい。おかげで助かりました」
「ん?」村長は疑問符を浮かべる。「どういうことじゃ?」
グレーテルがくすっと笑う。
「村長様私に提案があります。村にいる猟師達を集めましょう」




