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第二幕 第四十場

 村長の屋敷の敷地に足を踏み入れた白い騎士。全身をガチガチの鎧で固めたその中では、爆乳女であるイルゼビルが、屋敷にいるであろう女中グレーテルへの復讐心を燃やしていた。白い騎士は手に持つ長く巻かれたムチを力強く握る。


 騎士が屋敷の扉を開け中に入ると、牧師ハインツと夫であったヒルデブラントが楽しげに会話をしている姿が飛び込んできた。二人は和気あいあいとしていたが、騎士を見るなり顔色を変えた。


「し、白い騎士様ではありませんか」牧師が尊敬のまなざしで騎士を見つめる。


「ああ、騎士様もいらっしゃたのですね」ヒルデブラントが感じ入った様子で言った。


 状況がつかめない騎士は首を傾げた。


「あなたのおかげで命を救われました。感謝しています」牧師が言った。


「あなたのためなら僕は何でもしますよ」ヒルデブラントが言った。


 しばしの間があった。騎士は二人に向かって床を何度も指差す。


「そ、それはどういう意味でしょうか?」牧師が言った。


「騎士様。つまりひざまずけってことですか?」ヒルデブラントが訊いた。


 騎士がうなずくと、二人はひざまずく。


「これでよいでしょうか?」ヒルデブラントが言った。


 騎士は首を横に振ると、地面を指差し円を描く。


「それはもしかして後ろ向きになれ、と言う事ですか?」ヒルデブラントが訊いた。


 騎士がうなずくと、二人はひざまずいた状態で騎士に背を向けた。すると騎士は二人の背中を蹴った。二人は蹴られた勢いで四つん這いの状態になる。


「な、なにをなさるのです。騎士様」牧師が言った。


「これはいったい何のマネですか」ヒルデブラントが言った。


 騎士は二人に向かってムチを振るい始めた。


 牧師がケツを叩かれる。「これはどういう仕打ちですか騎士様!」


 ヒルデブラントが背中を叩かれる。「な、なぜこんなことを!」


「もしや」牧師がケツを叩かれ悲鳴をあげながら言った。「魔女との戦いに、ただ黙って見ていた私たちをお叱りになっているのでは」ケツに強い一撃が加わり呻くも、どことなく嬉しそうだった。「もっと、もっとお叱りになってください!」


「ああ、そう言う事だったのですね」ヒルデブラントが背中を叩かれ、苦痛の叫びをあげながら言った。「騎士様は僕たちのふがいなさに、憤っているのですね」背中に強い一撃が加わり呻くも、どことなく楽しそうだった。「もっと、もっと罰してください」


 騎士は二人に怒りのムチを振り下ろし続けた。


「やめて!」そう言ってやってきたのは幼女ザンネだった。「二人をいじめないで!」


 ムチを振るう騎士の手が止まった。


「いいんだよザンネ」牧師がザンネに笑いかけた。「これは試練なのだから」


「そうなんだよザンネ」ヒルデブラントがザンネに言った。「これは僕たちが耐え忍ぶためのもの。これに耐え抜いてこそ立派な人間になれる。それになんだか気持ちいいんだ」


「絶対嘘」ザンネは二人の前に立つと、騎士に向かって両手を広げた。「二人をいじめないで」


 騎士は舌打ちする。


 そうこうしていると屋敷の玄関の扉が開かれ、ピエロの集団がやってきた。


「これはこれはおもしろい状況ですね」ピエロの一人がムチを持つ騎士と、四つん這いになっている牧師とヒルデブランドを見て言った。「そういうご趣味ですか。いえ失礼。私はそう言ったものには寛容ですよ。気にせず続けてください」


「こらこら、そうじゃないだろ」別のピエロがそう言うと咳払いをする。「なんでも新村長の歓迎の宴だと聞きました。私たちがお手伝いしますよ」


「陽気な音楽を奏でてやろうではないか」さらに別のピエロが言った。「陽気に陽気に」


 牧師とヒルデブラントは立ち上がり、向き直ると声をそろえて言った。「それはそれはありがたい。感謝しますよ。どうぞどうぞ奥へ」


 牧師とヒルデブラントはザンネを連れて、ピエロ達を奥の広間へと案内する。騎士も苛立ちながらその後に続いた。


 広間につくとそこには大勢の人々でひしめいていた。広間の中心には新村長であるハンスがなにやら皆に話をしている。そのすぐ近くでは村の重役達が並び、渋い顔をしてハンスの話を聞いている。どうやら天然ボケの馬鹿なハンスの話についていけないようだ。


 そこから少し離れた場所で、はおっぱいコンテスト出場者である猫耳娘のマリィー、巨乳少女のエルゼ、巨漢の老婆トリーネがいた。彼女らの背後にはたくさんの猟師達が陣取っている。他にも招待された村人達の姿があった。


 そんな一同の間を縫うように大勢の女中が慌ただしく駆け回り、料理やビールを振る舞っている。いそがしく、てんてこ舞いといった様子だった。そんななか、一人の女中が足を止め村長のヨハネスと何やら話し込んでいる。それはイルゼビルの憎い相手であるグレーテルだった。


「——ということで、俺は村長としてがんばっていくんで、よろしく」ハンスが大声で言った。


 広間に集まっていた人々は、ようやく終わったのかといった様子で拍手を送る。


「新村長ハンスの演説ありがとうございました」牧師が広間の中心に進み出るとハンスの横に立つ。「みなさんピエロ達が今宵の宴に駆けつけてくれました。盛大な拍手をお願いします」


 するとピエロ達が音楽を奏で始めた。突然の来訪者に人々は沸き、大きな拍手を送る。 


「それではこれより、おっぱいコンテスト優勝者から喜びのお言葉をお願いします」


 マリィーが人々をかきわけ前に進み出るとハンスの横に立ち、スカートの端をつまみあげてお辞儀をした。「おっぱいコンテスト優勝者のマリィーです」勝ち誇った笑みを見せる。

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