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第二幕 第三十七場

 おっぱい村の広場に集まった人々の間には、間近に迫った瞬間を控え緊張が走っていた。それは舞台に並ぶおっぱいコンテスト出場者も同じで、みな険しい表情を見せていた。舞台脇に陣取るピエロ達も演奏を止め、事の成り行きを静かに見守っている。


 牧師が舞台にゆっくりと上ってくる。一同の緊張が最高潮に達するなか、牧師は舞台中央に立つと咳払いをした。「みなさん大変長らくお待たせしました。これよりおっぱいコンテストの結果発表に移らさせていただきます」


 広場から大歓声が沸き起こった。


「総票数三千八百五十七票。そのうち有効投票数は三千五百二十票。無効投票数は三百三十七票となっております。それでは参りましょう。第六位の発表です」


 一瞬で広場にいる人々が静まり返った。ピエロの一人が打楽器であるティンパニをゆっくりと、そして次第にテンポをあげて速く叩き緊張感を盛り上げる。みなが手に汗握り牧師を見つめる。やがてティンパニの速度が最高潮に達した。


「獲得票数八十五票。第六位はザンネです」


 ピエロ達が祝福の音楽を奏で、広場から拍手が送られるなか、幼女ザンネは舞台中央に歩み出ると、もじもじとしながら頭を下げた。「あ、あの……ありがとうございます」そう言うと顔を赤らめ、そそくさと元の位置に戻っていく。


「ザンネちゃん少し緊張してたのかな。でもその姿がとても可愛らしいですね。将来が楽しみな逸材です。それでは次に参りましょう。第五位の発表です」


 再び広場にいる人々が静まり返った。ティンパニが鳴り響く。


「獲得票数百二十七票。第五位はトリーネさんだ」


 巨漢の老婆トリーネが舞台中央に立つと、腕を曲げ力こぶを作ってみせた。広場からはどっと笑いが起こる。


「トリーネさん初の最下位脱出おめでとうございます。そしてこれまでは同情票やネタ枠で数十票の票を集めることはあったけれども、今回のように獲得票数が百を越えるのは初めて。しかもその票のほとんどが猟師によるもの。いったいどんなアピールを見せつけたんだ」


 広場にいた猟師達からトリーネに声援が送られた。


 トリーネは投げキッスでこれに応えた。「みんなありがとね」


「それでは次に参りましょう。第四位の発表です」


 広場が静まり返り、ティンパニが鳴り響く。


「獲得票数四百九十三票。第四位はリーゼだ」


 その瞬間、広場にいた猟師コルベスと猟犬ズルタンの顔に暗い影がよぎった。


「大丈夫心配しないでお父さん、ズルタン!」舞台中央立った貧乳少女リーゼが叫んだ。「借金は全部返したから。私たちこれからも一緒だよ」


 コルベスとズルタンは顔を見合わせると、再びリーゼを見つめる。


 リーゼはにっこり笑いピースサインを作った。「今日は本当に楽しかった。みなさんありがとうございます」


「とてもいい笑顔ですね」牧師が言った。「最初の時のおどおどとしていた様子がまるで嘘のようだ。それでは次に移りましょう。続きまして第三位の発表です」


 広場にいる人たちが固唾をのむ。みなは知っている第三位の発表の意味を。三位が決まれば残り二人の一騎打ちとなる。いったいそれは誰なのか。


「獲得票数八百十五票。第三位はエルゼです」


 人々が歓声をあげるとざわめき始めた。そんななかハンスが巨乳少女エルゼに手を振る。


 エルゼは舞台中央に立つと両手を前に突き出して手を振った。そのたびに両腕に挟まれた大きな胸がぷるぷると震える。「みんな今日はとっても楽しかったよ」そう言うとお辞儀をして後ろを振り返り、歩き出したかと思いきや転んでしまう。


「やっぱり最後の最後までドジッ子だ。ということで、優勝争いはマリィーとグレーテルの一騎打ちとなりました。両者ともに舞台の前に進んでください」


 猫耳娘マリィーと女中グレーテルの二人が舞台前へ歩み出ると人々が沸き、自然と拍手が起こる。そして二人が互いに向きあい、にらみあうと、人々の間からは感嘆の声があがった。


「これはどういうことだ。二人ともお互いに敵意をむき出しだ。隠そうともしない」牧師が煽り始めた。「なんという緊張感。なんという緊迫感。二人の一騎打ちは因縁の対決なのか」


 マリィーがグレーテルを指差した。「あんたなんかに絶対に負けないんだからね。優勝するのはこの私、マリィーよ」


 グレーテルが鼻で笑った。「そうですかお嬢様。たいしたご自信ですね。自信を持つ事は悪い事ではありませんが、自分を過信しすぎるのはうぬぼれに繋がりますよ。今のお嬢様はうぬぼれております。お気をつけ下さい」


 二人の険悪なやりとりに人々は大いに盛り上がる。


「それでは先に獲得票数の発表を行いたいと思います。二位の獲得票数九百九十七票。一位の獲得票数千とんで三票。その差はなんとたったの六票差です」


 感嘆の声があがった後、接戦をほめ讃えるかのように拍手と歓声があがった。


 二人は前へ向き直り軽く頭を下げた。


「それでは発表します。第八十五回おっぱいコンテスト優勝者は」牧師はそこで口をつぐんだ。


 ピエロが叩くティンパニの音が響き渡る。さらにそれを煽るかのようにヴァイオリンが、チェロが、シンバルが、次々と参加していく。そして緊張感を煽る音楽が最高潮に達した。


 牧師は大きく息を吸った。「おっぱいコンテスト優勝者は——」

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