第二幕 第二十七場
おっぱい村の教会の扉を乱暴に開いたのは、金持ちのヒルデブラントと白ヒゲを生やした老人の二人だった。
「出てこいこの不埒者め!」老人は怒りの声をあげると教会内を見回すが、誰もいない。「どこじゃ! どこにいる出てこい!」
「おそらく奥の部屋です」ヒルデブラントは教壇の横にあるドアを指差した。「行きましょ」
二人はずかずかと教会内を進んで行く。そしてドアの前にたどり着くとヒルデブラントがそれを蹴飛ばした。勢いよく開け放たれたドアは壁に打ち付けられ大きな音を立てる。
姿見の前で身だしなみを整えていた牧師ハインツは、突然の来訪者に面食らった様子だった。「いったい何事ですか?」
ヒルデブラントが牧師に詰め寄る。「僕の金を返すんだ!」
「いったい何の話ですか?」牧師はすました顔でとぼけた。
老人は部屋のドアを閉めると牧師に厳しい視線を浴びせた。「話は聞いたぞ。お前は神に仕える身でありながら、この男の妻と不倫し、淫らな行為にふけっていたそうじゃないか」
「このご老人はいったい何を言ってるんです?」牧師はとぼけ続ける。
「とぼけおって」老人は牧師に歩み寄る。「今日の話だ。知らぬとは言わせんぞ」
牧師は弱ったなといった様子で頭をかいた。「もしかして何か勘違いされてませんか。今日たしかにヒルデブラントさんの妻であるイルゼビルさんがこの教会を訪ねましたが、それはおっぱいコンテストにおけるおっぱいアピールのためですよ。そしてその際にイルゼビルさんが体調の不調を訴えたため、この部屋のベッドでお休みになっただけですよ」そこでヒルデブラントに笑いかける。「あ、大丈夫ですよヒルデブラントさん。奥様は私が介抱したおかげで気分が良くなり、先ほど出て行かれましたよ」
「とぼけるな!」ヒルデブラントは部屋の窓を指差した。「僕はそこの窓から見ていたんだぞ」
牧師の顔に露骨な侮蔑の色が広がる。「ふーん。のぞき見が趣味とは。成金はこれだから卑しい」そう言うと鼻で笑う。「っで、どうでしたか。奥様がご満足される姿は。あなたではご不満のようで、何度も何度も私を求めてくる。いやはや、疲れ果ててしまったよ」
「あんなグロテクスな脂肪細胞の集まりなんかどうだっていい。とにかく僕の金を返せ」
老人が怒声を発した。「貴様という輩は開き直りよって! 教会の牧師として、神に仕える身として恥ずかしくないのか」
「はいはい」牧師はうんざりといった様子で言った。「苦情なら聞きますよ」
その言葉に激怒した二人はがみがみと文句を言ったが、牧師はのうのうとした態度で適当な相づちを入れるだけだった。




