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幕間

 誰もいない劇場の舞台に一人の男が上ってくる。その男は派手なピエロの衣装に白い仮面をつけ、道化に扮している。男は幕の下りた舞台の中央に歩み出ると、深々と頭を下げた。


「『おっぱい村の村長さんの乳搾り』いかがでしたでしょうか。おっぱいコンテスト優勝者であるヨリンデが、十数年の時をえて魔女となり復讐を成し遂げる。なんとも壮大な復讐劇でしたね」


 がらんどうの客席はしんと静まり返っている。


 男はくすくすと笑い声を漏らした。


「おやおや、これはどういうことでしょう? どうしてそのような表情をなさっているのですか? まさか今の『おっぱい村の村長さんの乳搾り』にご不満でもあったのですか?」


 がらんどうの客席は先ほどと同じようにしんと静まり返っている。


「大丈夫ですよお客様。ご安心なさってください」


 男が再びお辞儀をする。


「この『おっぱい村の村長さんの乳搾り』は二部構成となっております。お客様が今まで見てこられたのは第一幕。料理に例えるならば前菜みたいなもの。メインディッシュである第二幕はこれから堪能していただきます」


 男は咳払いをした。


「これからお見せする演劇『おっぱい村の村長さんの乳搾り』第二幕では、おっぱい村で起きた事件をいろんな人々動物達の視点で見ていただく事になります。そうすることでお客様はおっぱい村で何が起きてたのか、その真相を知るでしょう」


 男がこちらを見据え、首を傾げた。


「おやおや、どうなさいましたか。その怪訝な表情は。なになに、そんなことよりもお前の正体を教えろ……ですか。ご安心ください。私はこの物語に何も関わらないただの道化ですよ。ゆえにその正体を知る必要はありません。なぜならば私は脇役ですらないのですから。それでも知りたいというのならば、最後まで見てくれればわかるでしょう」


 男は肩を上下に揺らしながら、くすくすと不気味に笑った。


「私は道化。道化に気を取らわれ、本筋を見失なわぬようご注意ください」


 男はそう言うと、両手を広げた。


「さあさあ、よそ見は厳禁。瞬きすら厳重注意。一瞬たりとも目を離さぬようお願いしますよ、お客様」


 男が指を鳴らすと、舞台の幕がゆっくりと上がっていく。


「それではお客様。これより『おっぱい村の村長さんの乳搾り』第二幕開幕とさせていただきます。ぜひ最後まで見て堪能し、真実を知ってくださいませ」


 男が舞台を下り姿を消すと、幕が上がりきった。

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