帰ってきた行商
* * *
大きな荷物を背負った十人ほどの男たちが砂漠を渡っていた。
足早に歩いて行く。
行商のようだ。大きな荷物は買い付けて来た物品だろう。
ふとその中の一人――パース・ソナリアは、足を止めた。
砂漠の地面がぬれているのに気づいたのだ。
――雨が降った?
砂漠のこの付近で雨が降るのは珍しい。
感慨にふける間もなく、そこへ三人の男たちが立ちはだかる。
「命が惜しければ、金を出せ」
男たちは武器を見せつけている。強盗のようだ。
三人の強盗の前に、栗色の髪の青年が歩み出る。
「ねえ? こいつら倒したら、ギャラを奮発してくれる?」
そうパースを振り返る。
「バカにしやがって!」
強盗が青年に襲い掛かる。
青年は強盗の腕をひょいとつかみ、体ごと地面に叩きつけるように投げた。
「僕は強いよ。逃げた方が身のため……あ! そうか、コテンパンにしないとギャラは下がるのか」
青年は再びパースのほうを振り返る。
強盗のうち一人は、青年の言葉にパースに襲い掛かってきた。そっちの方が弱く金目の物を持ってると判断したのだろう。
「言っておくが、俺はもっと強いぞ」
パースは強盗の刃物を取り上げようとしたが、大きな荷物で思うように体が動かなかった。
強盗の刃物がパースの左手に刺さる……いや、刺さらなかった。
強盗の刃物は確かにパースの左手に当たっていた。カンという音を立てて跳ね返る。
強盗はパースが武器を隠し持っていると思ったようだ。
後ろに回り込み荷物を奪おうとする。
パースは左手で強盗を弾き飛ばした。魔法だろうか?
栗色の髪の青年が、パースの前に立ち塞がる。
魔法で弾き飛ばした強盗がひるんだので、三人目の強盗に対しては青年は自ら攻撃した。
鳩尾に拳を叩き込む。
意識を失った強盗に回復魔法を施し、放り投げた。
「ほら、一人は気絶したよ。つれて逃げた方がいいんじゃない?」
青年が言うや、強盗二人は気絶した一人を抱えるようにして逃げて行った。
「よくやった、シヴァ」
と、パースが青年に笑いかける。




