環境維持ロボ
「かわいいねー」
シヴァはしゃがみロボのお腹あたりを撫でてみた。金色の水晶がついていた。
対して、パースは首を傾げていた。
いくら神の使いとはされていても、環境維持ロボにそこまでの機能が備わっているのだろうか?
* * *
「アグ爺さん? 来たぞー! ……いないか?」
パースがやってきたのは、ルウ族の北の外れ。
ルウの地は砂漠に囲まれているオアシスだが、そこは草がまばらに生えてる程度のほとんど砂漠といっても過言ではない場所だった。
砂漠に一個だけぽつんと井戸がある。
「誰もいないんじゃない?」
後ろにいたのはシヴァだった。
「ついてくるなって言ったのに。偏屈な人間嫌いな爺さんだから警戒するんだよ」
「なんか、この子がね、行きたそうだったから」
というシヴァ。
パースが視線を下に向けると、シヴァの前には環境維持ロボがいた。
「おいおい! これはルウの地だけで動くんだぞ。ルウの地の外に持ち出したら止まっちまう」
「ごめん。でも、この子、自分で来たんだよ」
「………?」
ロボットだしちょっとした誤作動だろう。
「爺さんもいないし、まあ、いい。戻ろう」
「そのお爺さんってルウ族の人ではないの?」
「ああ。遊牧民の爺さんでたまにこの井戸のそばでテント張って滞在してるんだ」
「一人で遊牧してるの?」
「ああ」
「そんなことしないで、ルウの地で一緒に暮らせばいいのに」
そこでパースは環境維持ロボがいないことに気づいた。
「ロボはどこに行った?」
「……さあ? その辺にいるんじゃない?」
二人は辺りを見回す。
広い砂漠の中、死角になる場所はなさそうなのに、どこにも環境維持ロボの姿はなかった。
シヴァは井戸の中を覗き込んでみるが、いなかった。
「ルウの地に戻ったんじゃない?」
と、シヴァ。
パースは腑に落ちないものを感じていたが、そうとしか考えられない状況だった。
「まあ、いい。俺たちも戻ろう」
パースとシヴァはルウの地へと戻るのだった。




